球技は怖いって話


皆は体育という授業は好きだろうか?

体を動かせる唯一の授業ということもあってスポーツが好きな人やアウトドア派の人などにとっては好きであろう。

ちなみに僕はである。

そう、苦手。別に嫌いという訳では無い。かといって好きかと言われるとそういうわけでもないのだが·····


「それじゃあ皆適当にチーム組めー」


っと、ここで先生の指示で適当なチームでバレーをすることになったらしい。この学校の体育は運動が苦手な人でも単位を取らせるために自主的に見学をしてもいいことになっているのでもちろん僕は見学をすることにする。


「よっしゃ、それじゃあこのメンツで行くか!」

「それじゃ俺はこっち入りまーす」


どうやらあちらもメンバーが決まってたらしい


·····上手いぐらいにバランスがいいメンバーになってる。

キラキラメンバーの藤川幸樹くんと東堂誠くんがお互い別れてパワーバランスが一定になるようにチームが組まれてる。

この2人、基本的に運動神経が良く人気なのもあって体育の時間はこの2人が中心になって色々決まったりする。


「それじゃ、俺の100%の本気見せますか」

「いーや、俺は120%の本気を出すね」


クラスの皆もやる気満々のようです。何時もはこんなに皆やる気じゃないんだよ?

じゃあ、なんで皆こんなにやる気なんだって?

そんなの


「はーい皆、男子達の事見てないでこっちもやるよー!」


女子達もいるからなんですよねー。

今回の体育は男女合同なのです。とは言っても体育館の半コートを男子達が、もう半コートを女子達が使う形でネット越しではあるんですけどね。けれども男子というのは単純なもの、女の子にいいとこを見せたい、もっと言うなら好きな子がいるならカッコイイ所を見せたい。そんな思いで見栄を張ったり、何かを頑張ったりする。そういう生き物なのである。

実際、藤川くんと東堂くんに女子達の視線が集まっているので女子達もこちらが気になっていたりするのだろう。


「それじゃあ、ゲーム始めー!」


先生の声と共に一方のチームがサーブをし始める。その一連の行動を僕は端の方で静かに見ている。流石に1人で見学だと目立ちそうと思ったが、僕だけではなく他の運動が苦手な人達も見学しているので特に目立つとかは無さそうだ。

まぁ、こんな悲しい話を置いとこう。それより昨日の話をしよう。

昨日の早瀬さんとのデート(?)の件である。

とは言ってもあの後は特に何も無く服を買って直帰しただけなのだが、、、

1つ気になるのが結局あのデートという言葉の真意は一体なんだったのだろうか?

単に冗談で言ったのか、はたまた他の意味があったのか、帰ってからもよく分からなかった。


まあでも


楽しかったです。


いや、仕方ないやん(言い訳)。初めて女の子とお出かけしたんだよ?しかもあんなに可愛い子と。


楽しくないわけないやん!


····

··········


ふぅ、ついつい1人で盛り上がっちゃった。


「よっしゃサーブいくぞー!」


男子達が一生懸命バレーをしてる傍らチラッと女子達の体育を見る。


「夕ー!スリーいけるよー!」

「ん、任せて」


柊さんの綺麗な声が聞こえてきた。

どうやら女子達はバスケをしているらしい。

バスケって難しいよね、攻守が入れ替わるスピードが早いし沢山走らないといけないしで。


「はーい!ナイススリー!!」


おぉ·····、早瀬さんがスリーを決めた。

スリーポイントって決めるの難しいのにすごいな·····。僕だったら絶対に外す自信がある。自慢じゃないよ?


「·····」チラ


·····


え、何?早瀬さんがこっちみてるんだけど


「·····」ジー


ほんとに何!?めっちゃ見てるんですけど·····。

こうなったら


『すごい』


一応口パクで言ってみたけど果たしてこれが正解なのか??


『ありがと』


ちょっと笑顔で返してくれた。どうやらこれが正解だったらしい


「夕ー?どうしたのー?」

「ん?いや、何も無いよ」


ふむ、一体なんなんだこのやり取り。


「うっしゃ、サーブいくぜー!」

「東堂、お前無駄に上手いんだから程々になー」


すごいくすぐったいやり取りだけど、やっぱりこういうの憧れちゃうから嬉しい気持ちでいっぱいなんだよな


「わかってるよって、やべ!」

「っておま!」


ていうか、やっぱり人の運動見てるとちょっとやりたくなるよな。後で入れて貰おうかな


「坂本避けろ!」














「·····へ?」






ボン!





「痛ッッ!!」




てえええええええええ!


え?何??天誅??生意気にも女子の方見てたから天罰でも食らった???


「大丈夫か!?」

「あはは、、大丈夫だよ藤川くん、、」


いやごめん全然大丈夫じゃないかもしれない。めっちゃ痛いわ。


「うわっ、痛そー、、」


おい、そこで哀れみの目を浮かべてるやつ、そんな目で僕を見るんじゃない!!

てか鼻水垂れてきたかも



·········いやこれ鼻血だわ



「坂本ほんっとすまん!」

「いや、いいよ東堂くん。余所見してた僕も悪かったし」


実際、バレーの方を見てたら手で防げた可能性もあるから余所見してた僕にも非がある。


「おーい、坂本大丈夫かー?」

「あー、先生大丈夫です。でも鼻血出たから保健室には行かせて欲しいかもです、、」

「おう、行ってこい、行ってこい」


よかった。保健室には行かせてもらえるみたいだ。これで行かせて貰えなかったら泣くところだったよ










「すごい音したけど坂本くん大丈夫かなー?」

「はぁ、、あのバカは、、、」

「·····優香、つぐみ」

「んー?どうしたの?」

「どうかしましたか?」

「ちょっとお花を摘みに行ってくるから先生に言っておいてくれないかな?」

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