休日
皆は休日は好きだろうか?
この質問をしたら大半の人が好きと答えるのではないだろうか。部活がある人は部活に行き、また趣味がある人は趣味に時間を使ってもいい。あ、友達と遊びに行ったりするのもいいね。
僕?もちろん僕も好きだよ。学校に縛られずのんびりしていてもいいし、いつ起きてもいいからね。
そんな折角の休日、僕は近所の本屋に来ていました!漫画が好きな僕は今日が自分の推してる漫画の新刊が発売される事をマークしていたのでウキウキで向かいました。初日で買わないとネットでネタバレを踏んじゃうかもしれないからね、ネタバレ、ダメ、ゼッタイ。
話が逸れたが本屋で漫画を買い、適当にご飯を食べて帰る。
たったそれだけ
それだけのはずだったのに
「ん?どうしたんだい?坂本くん」
「あーいや、別になんでも無いよ?」
どうしてこうなったんだろうなぁ····
時は遡り
─────────────────────
「それじゃあ、お母さんはお仕事行って来るわねー」
「いってらっしゃーい」
母親を見送り僕は特にやることもないのでリビングで大きめのソファに1人寝そべっていた。休日も1人働いてくれている母親には感謝してもしきれないほどである。流石に僕もアルバイトなどをして家計の足しにでもしようと話したのだが
『お金の事は気にしなくていいから颯は早くお友達でも作りなさい』
なんて言われちゃった。泣いちゃうよ、ホント。いやまぁ正論なんだけどさ
「えーっと、今の時間は、、」
10:30
これまた微妙な時間である
今日は新しく発売する漫画の新刊を買う予定があるだけなので特に時間を気にする必要は無い。かと言って家で何かやることがあるかと言えば特に無い。
(本屋に行って適当にブラブラしてどこかでご飯食べて帰るか)
うむ。我ながらいい計画だと思う。そうと決まれば善は急げだ、財布を持って行こう
「あ、服·····」
流石に部屋着のまま行くのは気が引けるし、適当な服を着ることにしよう。近所の人とかに見られたら恥ずかしいからね
「う~ん」
黒のスウェットに黒のパーカーと黒のズボン
うん
「センスがない!」
でも言い訳をさせて欲しい。確かに僕にセンスが無いことは認めるし、夜に出歩いたら不審者だと思われても仕方ないと思う。だけど僕はそもそも出かけることがそこまでないから服装なんて気にしないんだ。
·····ダメだ。対して言い訳になってないや。
「行こ·····」
昼飯食べる前に服屋にでも寄ろう
「~🎶」
鼻歌を歌いながら目的の本屋へと足を運ぶ。本屋は家から多少近く、30分もかからないうちに着く距離にあり、その近くにはデパートがあり周りには商店街が並んでいる割と賑やかな場所にある。
「あのー、すいませーん」
そんなことを説明してるうちに目的の本屋に到着したので店員さんを呼び、求めている本があるかを確認する。
「はーい、少々お待ちくださーい。ってあら、颯君じゃない」
「うっす、どうもです。一之瀬さん」
僕が普段通っている本屋に務めている大学生の
「今日来たってことはあの本の新刊目当てってことかな?」
「まぁ、はい。そんなとこっすね」
「ん、持ってくるからそこで待っててね~」
なぜ僕が年上の、しかも大学生の人と知り合いなのか疑問に思う人もいるかもしれないが特に大した理由もなく、ただ単に僕がこの本屋によく来るので彼女が顔を覚えたらしい。今は特に違和感なく喋れているが最初の頃は
『あ、いつも来てくれてる子じゃん。何か欲しい本でもあるの?』
『え、あ、、まぁ、そんなところです、はい···』
なんてたどたどしく喋っていたっけ。そこからこの本屋に来る度に何かと気にかけてくれるので徐々に慣れて来たのかもしれない
「はーい、おまたせー」
「ありがとうございます」
慣れた手つきでお会計を済ませていく
「今日はこれでおしまい?」
「そう、ですね。適当に服屋にでもよって昼食でも食べて帰るつもりです」
そう言い、若干の苦笑を浮かべながら自分の姿を見る
「あはは、、まぁ、いいセンスだとは思うよ?」
「いいセンスだと思うなら疑問形なのやめてくださいよ·····」
やっぱり他の人から見てもイマイチな服装らしい。少し暗い気持ちになっていると
「まあまあ、ほら!シャキッとして!服とか分かる?お姉さんがついて行かなくて大丈夫?」
「う、うっす。あんまりわかんないけど最悪店員さんに聞くつもりなんで大丈夫っす」
一之瀬さんの勢いのある言葉に押されながらも何とか受け答えしていく。大丈夫、最悪マネキンの服装を丸々買えばいいでしょ
「うーん、ちょっと不安だけどお姉さんは颯君を信じることにします!」
「そうしてくれると助かります」
よかった、よかった。どうやら信じて貰えたらしい。今度ここに来る時は買った服装で来ることにしよう
「それじゃあ、私も他の仕事があるからそろそろ行くねー」
「あ、はい。ありがとうございました!」
その会話を最後に僕は本屋を後にした
◇
「お~ん·····」
結論から言おう
全く服が分からなかった
流石の僕もこんなに服のことについて分からないとは思わなかったよ。マネキンに飾ってある服を見様見真似で着てみるもなんとなく違和感があったし、かといって少し変えてみても酷くなるだけだしで·····。オシャレって難しいネ。
結局何も買えなかったしでホントに時間を無駄にした感じだった。
「はぁ·····」
陽キャって呼ばれてる人ってなんであんなにオシャレなんだろう。やっぱり教えてくれる人がいたりするのかなそれともそういう雑誌を良く見たりしてるのかな
「·····昼飯食べよ」
今僕は商店街のハズレにあるベンチに座っている。こんなところを誰かに見られたりしたらたまったもんじゃない。
昼飯を食べようとベンチから離れようとしたところで
「あれ?坂本くん」
最近はよく聞く聞き慣れた落ち着いた声、周りの人が思わず振り返るような端正な見た目をした彼女が
(こんな偶然あってもいいのか·····?)
「あー、どうも、、、」
「やぁ、こんにちは坂本くん」
「こ、こんにちは早瀬さん」
どうやら神は簡単には僕に休日を過ごさせてくれないようだ
─────────────────────
そして時は戻り
「...?それならいいんだが」
「うん、別に気にしなくて大丈夫だよ。それより早瀬さんはなんでここに?」
「私かい?買い物に来ていてね、ほら」
そう言い早瀬さんは手に持っていた手提げのカバンを見してくれた。中には色とりどりの野菜などが入っており、どうやら食材を買いに来ていたらしい
「おつかい?」
「そうそう、そんな所。坂本君は?」
「あー、僕は、、、」
そりゃ、逆質問来ますよね。えぇわかってましたよ。本屋のことはいいとして服の事はどうしようか
「そのー、本屋で本を買いに来まして、、」
「本?いいじゃないか。どんな本か聞いても?」
「え、、あー、、、その、、、ッスね~」
「!あ~、もしかしてえっちなやつだったり?」
「いやいや違うから!!漫画だよ!」
早瀬さんから以外な単語が飛び出して来たので思わず勢い良く反応してしまった
「ふふっ、冗談だよ」
「おぉ、早瀬さんがこんな冗談を言うなんて·····」
「意外だった?私だってこんな冗談くらい言ったりするよ」
意外過ぎます。早瀬さん
「それにしてもいいじゃないか、私も好きだよ?漫画」
「あ、そうなんだ」
これまた意外。なんとなく早瀬さんはそういうのに興味が無いかと思ってた
「あ、今坂本くん意外って思ったね?」
「へ、まぁ、はい·····」
「ふふっ、まあいいや。それじゃあ坂本くんは本屋に寄ってきたところなのかな?」
「あー、いや一応服屋にも寄りましたね」
なんも買えなかったけど
「おぉ、服屋!あれ?でも服は買っていないようだけど?」
「どんなの買えばいいか分かりませんでした·····」
正直な所、ここで別れて終わりかと思っていた
「なるほど····」
でも、そうじゃなかった。
「それじゃあさ」
彼女放った一言は
「僕とデートしないかい?」
僕の心を大きく震わせた
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