図書委員は意外と大変
色々とハラハラしたお昼休みを終え、6限の終わりを告げるチャイムがなり帰宅する人や部活動を行う人達などで別れる放課後、僕は委員会の仕事をがあるため図書室へと向かった。
と言ってもわざわざ放課後に図書室に来る人は余りおらず勉強をしに来る人や単に本が好きな人など少しだけしかいないが。
図書室のカウンターの席に座り、本を返却する人などを捌きながら静かな時間を過ごしていく。
僕はこの静かな時間が好きだ。賑やかな所で他の人の話を盗み聞きていたりするのも好きだが静かな方が心が安らいだり落ち着けたりする。
本の返却や貸し出しを終えて本の整理などをし、その作業を終えるとさっきまでいた人達は帰っており僕一人だけになっていた。
(やっぱ一人だと時間かかるよな~)
基本的に委員会は二人一組なのだがクラスの人数が31人のため一人余ってしまうことになるので仕方がないのだがやはり少々しんどい物がある。
そんな事を考えながらやり残した事がないか確認をし、スマホでネットサーフィンをしながら時間を潰す。この学校は音さえ出さなければスマホが使ってよかったりするのでいい暇つぶしになったりする。
そんなこんな時間を潰していたりすると
ガラッ
「あ、いたいた」
ドアが開き早瀬さんが入ってきた
「いらっしゃい早瀬さん」
「ふふ、おじゃまします坂本くん」
来ることは何となくわかっていたけど実際来ると緊張してしまい変なことを言った気がするが振り返ったら恥ずかしさで自爆しそうなので触れないようにしよう
「隣、座ってもいいかな?」
「えっと。うん全然構わないよ」
そう言うと持っていた荷物を下ろし隣に座る早瀬さん。若干距離が近い気がするが、気にしないでおこう。
「あ、そういえば早瀬さんお昼は結局大丈夫だった?」
「ん?ああ、全然間に合ったよ。優香達にも何も聞かれなかったし気にしてないんじゃないかな?」
実はお昼の別れた後、若干気になっていたことである。貴重な時間を使わせたり気を遣わしたりして無かったか不安だったり
「ねぇ、坂本くん」
そんな事を思っていると早瀬さんが
「もしかしてだけど、私に『迷惑かけてしまった』とか思ってない?」
僕が何を思ってるか見透かすように言い当ててきた
「えっ。あ~、まあ、そう...ですね」
「一つ勘違いしないで欲しい。私は君に迷惑をかけられたなんて思ったことなんて無い、逆に君になら迷惑をか──、いや待って今の無し。と、とにかく私は君のことを迷惑がってたりはしないよ」
少し怒っているような有無を言わせない早瀬さんの言葉に嘘をついているなんて思えるはずもなく
「あ~、ごめんね、早瀬さん。僕あんまり気軽に喋れるような人がいなくて、どうしても不安になっちゃうんだ。でも、早瀬さんがそう言うならそういう事は考えないようにするよ」
「ふふ、ごめんね。少し熱くなっちゃって。うん、そうしてくれると嬉しいかな」
そんな会話をし、ふとある疑問が湧いて来た。
「そう言えばなんで早瀬さんは僕が思ってることがわかったの?」
「ん~。本当に何となくだよ?坂本くんの目を見てそう思ったんだ。」
「目?」
「そう、目。坂本くんの目。君は綺麗な目をしているからね、何となく不安そうな目をしているな~、なんて思ったんだ」
「...ッ」
そんな口説き文句の様なセリフに思わず顔を赤くし顔を背けてしまった。
(やっば...。そんなセリフ言われたら惚れてまうて...)
「な、なるほど、、分かりました...」
「おや?もしかして恥ずかしがってるのかい?」
「!そりゃ...恥ずかしくもなりますよ。今までそんな事言われたこともなかったし...」
「そ、そうか...。まさか正直に言ってくれるなんて思わなかったよ」
今度は早瀬さんが顔を赤くしそっぽを向いてしまった
「.......」
「.......」
「あ~、帰りましょうか...」
「そ、そうだね。」
窓が閉まっているか確認していき、パソコンの電源を落としていく
「あ、そういえば私たちのクラスの図書室って坂本1人だけだったよね?」
「...?確かにそうですけど。」
「そっか...。ねぇ、良ければなんだけど私もこれから図書委員の仕事手伝おうか?」
「...へ?」
突然の提案に困惑する僕
「いや、この学校の図書館って広いでしょ?1人で図書館の整理をするには些か時間がかかりすぎると思うんだ。」
「いやいやいや!?確かに1人だと少し大変だけど、わざわざ大丈夫だよ!」
「そうか...。それじゃあ私が坂本くんの手伝いをしたい。」
妙に食い下がらない早瀬さん。確かに1人で図書委員の仕事をこなすのは大変だし、早瀬さんに手伝ってもらえたらとても嬉しい。
(僕個人としても早瀬さんと話せる口実を作れるのは嬉しいし...。)
「ダメなら別にいいんだが...」
少し悲しそうに言う早瀬さん。そんな表情をする彼女が見ていられなく
「!全然ダメじゃないよ!えっと...、それじゃあ次から良ければ手伝って欲しいかな」
少し慌てながら言う僕。その言葉を聞いた早瀬さんは
「...うん!それじゃあ次から手伝うことにするよ」
誰もが見惚れる様な、そんな笑顔を浮かべた
(あ~~。その顔は反則だ)
「っ...。そ、それじゃあ僕は図書室の鍵を返しに行ってから帰りますので...」
「そっか...うん。それじゃあ、また明日、坂本くん」
「さ、さようなら早瀬さん。」
その日の帰りは家に着くまで頬の火照りが落ち着くことは無かった。
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