第12話 使い魔の 見た目モモンガ 超可愛い
「ピャッ!?――なっ、ななな何しゅるでしゅか! まだ話のとちゅーでしゅよ!? ええーい、放しぇっ! 放しゃないかっ、コラーーーッ!!」
「アハハハ! ジタバタしてる! ジタバタしてる可愛いーーーっ! 目ぇクリクリ! 可愛いーーーっ! ねえねえ、これ何? この子何なの? もしかして君のペット?」
両手の中で暴れている可愛らしいそれを、楽々と押さえ込み、私は相変わらずオドオドしている金髪碧眼ショタを振り返った。
「えっ?……あ、あの……。えっと、その子は……ペットとかじゃ、なくて……」
胸の前で両手を組み合わせ、モジモジしながら答える金髪碧眼ショタ……って呼ぶのも、いい加減長ったらしくて面倒ね。
え~っと……この子、名前はなんてったっけ?
確か、最初に〝エリ〟が付く名前だったような……。
エリ……エリ……エー……エリンギ?
――なわけないって!
この世界にエリンギがあるかどーかは知らないけど、もしもキノコ類の名前付けられようものなら、私だったら一生親を恨むわ!
だから、もっとこう……外国人の、エリから始まる名前……。
エリン……でもなく、エリ……エリア……いや、エリオ……あっ、そうそう!
エリオット! エリオットって言ってたっけ、あのメイドっぽい人……じゃない、ヴァーベナさん?
「あなた、え~……っと、エリオットだったわよね? エリオットって名前で合ってる?」
一応確認してみると、金髪碧眼ショタはきょとんとした後、無言でコクコクとうなずいた。
見た目モモンガそっくりのモモンガもどきは、私の両手の中から逃れようともがきながら、
「なっ、なんでしゅか今のはーーーっ!? ご婚約者であるご主人しゃまの名を、ましゃかましゃか、忘れたとは言わないでしょーねッ!?……まったく、しゃきほどからしちゅれーしゅぎましゅよ! ねっねっ? ご主人しゃまも、しょー思いましゅよねっ!?」
まるで自分が
ご主人とやらのエリオットは、眉毛をハの字にし、体の前で両手を重ね合わせながら、モジモジと体をくねらせている。
「う、うん……。ボクのこと、わすれちゃったんだったら、かなしい、けど……。でも、レッタちゃんは、おたんじょーびにバタンってなってから、ずっと、ねむっちゃってたんだし……。それだけねむってたら、わすれちゃうことも、ある……の、かな……」
「ないでしゅよっ! ふちゅーはないでしゅよしょんなことっ! たった三日眠ってたくらいで、ご婚約者のお名前をわしゅれるなんて、じぇったいじぇったいないでしゅーーーッ!!」
ジタバタジタバタ。体を左右にくねらせ、私の両手の中から抜け出そうとするモモンガもどき。
それでも私は、彼(?)を解放するどころか、ギュッと胸に抱き締め、
「ねえねえ、エリオット! 私もこーゆー子欲しいんだけど! キミ、どこでこの子を手に入れたの⁉ この世界にも、ペットショップってあるの⁉ あるんだったら、私も連れてってくれないっ⁉」
やや興奮しつつ、
モモンガもどきは、今度は私の胸元でジタバタもがき、
「んぎゅっ!――ム、グググっ、放しぇっ、コラァーーーッ!! しゃっきから、何度も言って――モギャッ。……ボ、ボクは、ペットじゃな――っ、ないっ、でしゅッ! ボクはっ、ご、ご主人っしゃまのっ、ちゅっ、使い――っ、魔っ、でしゅーーーッ!!」
最後のセリフを叫ぶと共に、モモンガもどきは、シュポンッと私の両手から逃れ、猛スピードでエリオットの元へ。
エリオットは、飛んで来たモモンガもどきを両手で受け止めると、そっと自分の右肩にのせた。
それから、私をチラチラと
「あ、あの……。この子は、ペット、とかじゃ……なく、て……。ボクの、あの……つ、ツカイマ……なの。レッタちゃんに、みせるの……は、はじめて、だった……よね?」
「――ん? そりゃ、初めてだけど……。でも、使い魔って? ペットじゃなくて使い魔って、どーゆーこと? 使い魔……って、魔女とか魔法使いとかに従ってる、生き物とかのこと……じゃなかったっけ?」
ファンタジーにはそれほど詳しくないけど、確か、そんな感じだったはず。
首をかしげて訊ねると、エリオットは何度か小さくうなずいた。
「うん、そう。この子は、ボクのツカイマで、〝ミック〟ってゆーの。ミックは、ボクがはじめてしょーかんした、ツカイマ、なの……」
「しょーでしゅ! ボクはご主人しゃまの、初めてにして、ゆいいちゅの使い魔なんでしゅ!」
〝どーだ、すごいだろう?〟とでも言いたげに、モモンガもどき――もとい、ミックは、エリオットの右肩で胸を張る。
私はミックをあえて無視して、エリオットに次の質問を投げた。
「使い魔って、どーやって召喚するの? この世界の人って、みーんな、そんなすごいことできるの? できるんだったら、私もやってみたいなー! ねえ、教えてよエリオッ――」
最後まで言わないうちに、
「ふ――っ、じゃけるなぁーーーーーッ!!」
ミックが大声を上げながら、野球の
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