龍脈

その後私は、3か所ほど見て回り、それぞれズドンズドンと魔力の砲撃を大地に撃ち込んだ。

土は掘り起こされ、魔力が霧散する。


何となく原因が解ってきた。

これは龍脈だ。大地の魔力の循環路それがなにかの拍子に詰まったことで地表に噴出したのだ。


私の世界と同じ理屈なら龍脈は世界中に繋がっている。

対処療法だけではいずれは確かに疲弊するだろう。しかし、聖女がいなくても危ないところの土を掘り返していけば十分に対処可能な内容な気がする。

私は帰ったらグナーデ王子に相談することに決めた。


そして私を聖女と崇め始めたグレイと、恭しく接し始めて気持ち悪いガーランドのことも。

王城にこそこそと侵入した私はまた、王子の私室へ通されるとそのまま浴室へと移動させられた。

森の瘴気が少し服に染みついて確かに臭い。

私は侍女たちにもみくちゃにされるように洗われ、丁寧にマッサージを施された。

流石に疲れた顔のまま王子の相手をさせるのは不敬であろう。

私はその気持ちよさに寝入ってしまった。


しばらくすると私は起こされる。

鏡を見ると疲れが取れたのか、目の皺が随分和らいでいた。

ぼさぼさの髪もきれいにキューティクルが復活している。

なんでも魔法の香油らしい。


(異世界すごいな。 私もこういうの作れたらいいのに)


私は5歳は若返ったような気がする。

とても身体が軽い。

そして湯殿から上がると、着替えさせられる。

どこで調べたのか私のサイズにあったドレスが用意されていた。

背中が大胆に空いたドレスは少々、恥ずかしかった。


その後私は小さめのダイニングに案内される。すでに王子が待機していた。


「あぁ聖女様……。まさか本当にあなたが聖女だったとは!」


そういって、私の近くに来る王子。

正直年下のイケメンに近づかれるのはどきどきとして心臓に悪い。

あ……まつ毛ながっ。まじまじと見つめてしまった。


「はは、やめてください。私は聖女じゃないです」


魔法少女です。

正直この年になって少女というのは憚られる。


「しかし、あの沼を一瞬で浄化したと報告されておりますが?」


少し後ずさり、王子は報告の内容を確認してくる。


「浄化じゃなく消し飛ばしたんです。 そのことで少しご相談があるんですけどいいですか?」


「? それはいいですが、先に食事にいたしましょう。 お疲れでしょうし、歓待させていただきますよ」


そして優雅な会食が始まった。

しかし私にテーブルマナーなどない。

その事に気付くと、王子は気にしなくて結構だと優しく微笑んだ。

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