第8話 宿泊部1
放課後。
始業式だというのに、血気盛んな生徒達は入学早々部活動の見学に行ったり、練習を体験させて貰ったりしているようだ。この
しかもその部活動に入ることになるとは未だに信じられない。
ウェイウェイするキャラじゃないしな。
とは言っても俺は校舎内をふらふらと当てもなくふらついたりすることがないので、当たり前と言えば当たり前のこと。知ろうとしなければ、どれだけ見たことがあっても、どれほど聞いたことがあろうとも記憶には残らない。
「っと、何これ。開けづら」
ゴッゴロゴロと遠雷に似た音を立て、滑りの悪い扉が開く。生徒から存在を忘れ去られ、使われていなかった教室は少しばかり寂しく
そこに左から数えて四番目の窓の前で一人佇み、外を望む
一瞬、誰か分からないまでの
彼女の姿に俺は視線を奪われて────。
「……もー、おっそ~い!何分待ったと思ってるの」
……前言撤回。ダメだこりゃ。
「早すぎんだよ」
また終礼が終わってから一〇分も経ってない。最速で準備をすれば間に合うには間に合うが、余程熱心に部活をして居る生徒じゃなければそんな早くには来ないだろう。
ましてやこちらは今日設立された謎部活で、俺は強制的に入部させられた部員だ。
「友達居ないからね~」
「俺と同じかよ。だっせ」
「ほよ、違うし~。転校生の私が友達居るわけないでしょ?馬鹿じゃないの~」
「っ!」
ド正論に返す言葉もなく、俺は奥歯を噛みしめる。
見た目可愛いのに、ほんと中身は可愛くない。沈黙していれば
それにしても、と自らの墓穴を誤魔化して言う。
「この部屋何年使われてなかったんだろうな」
机は整頓されて端に並んでいるけど、大掃除されている形跡はない。
唯一埃が取り払われているのは、教室の中央で向かい合わせに並べられた二つの机だけ。
「使われていなかった期間は知らないけど、多分
「そんな長らくぼっち生活してるわけ無いだろ」
「ほよ、その見た目で?」
「良くもなく悪くもない見た目だと自負してる」
「その中身で?」
「俺の事なんて知らないだろ」
「さあって~?それはどうかな~?」
そう言って彼女はこちらに近寄って座りつつ、
まさか……。
「じっつは実はコピー持ってるんだよね~。残念でした!」
「なんで」
「う~ん、
「そんな紙切れ一枚で何を守るってんだ」
「そりゃ勿論恋愛成就でしょ?縁結びでしょ?告白妨害でしょ?安産祈願でしょ?それからそれから……」
「強欲すぎだろ。変なの混じってたし」
安産祈願も大概だけどな。考える時期早すぎ。
「あ、でもでもお守りとして持つためにコピーさせて貰った訳じゃないよ。同じ部活動のメンバーなんだし、折角なら持っておけば?って顧問の
月涙さんの口から告げられた
「ならそっちの
俺にだって知る権利はある筈だ。内容に興味はないが情報を握っているという事実はいくらでも有効活用できるし、相手の行動を制限する抑止力になる。それに俺だけ知られてて向こうのは知らないなんてフェアじゃない。
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