第2話妹の鈴菜は昔病弱だった
「えっと確かここだよな」
妹から指定された指定された場所に来るとやけに人気が少ない校舎裏に辿り着いた。
携帯で連絡しようとしたや先に林の物陰から何者かの声が聞こえてきた。
「にゃー、怖くないですにゃーよ」
「おい、そんな所で何やってるんだ、鈴菜」
声をかけると体がビクッと震えて、林の中から野良猫が飛び出してその場から逃げていく。
「もうお兄急に声かけないでよ、猫ちゃん逃げちゃったじゃん」
ぶーと顔を膨らませ文句を言う、林の中から体を起こして顔を出した俺の妹、
腰を下ろして鈴菜の頭と髪についていた草木などを払い落とす。
「たくっ、もしかして猫を追いかけてこんな所いるなんて連絡したんじゃないだろうな」
「違うよ、お兄の事待ってたら猫ちゃんがねこの壁から林の中に降りてきたの、で頭を撫でさせてもらおうと思ったのにお兄が声なんてかけるから」
「はぁ悪かったよ、それよりも母さんと父さんは」
「二人ともお兄と一緒なら大丈夫だろって言って先に家に帰ったよ、そうだ今日は私の入学を祝って寿司だーってお父さんが言ってたよ」
「そうか、んじゃまぁ案内ささっと終わらせて帰るぞ」
「はーい、お兄よろしく」
恋人のように腕を組んでくる鈴菜、別にこのくらいは昔から変わらないので気にならないが鈴菜のこんな嬉しそうな顔は久しぶりに見るそして俺は鈴菜に学校の案内を始める。
「屋上は普段から解放してるからな昼は学食かここが一番人が多い、あとたまにさっきの校舎裏とか屋上にサボりにここに来る奴も多いが鈴菜に限ってサボるなんて事ないか」
「お兄、何それひどい。私だってたまにサボりたくなるかもしれないじゃん」
少し案内して俺もよく使っている屋上に鈴菜を案内する。鈴菜は膨れっ面を浮かべる。
「まぁ、そう怒るなよ」
少し笑いながら鈴菜の頭を優しく撫でる。鈴菜は微笑んで組んでいた腕を離して屋上のフェンスに近付く。
「危ないから気をつけろよ」
「お兄に言われなくてもわかってるよー」
鈴菜は目を輝かせて屋上から街の風景や学校を見下ろす。
実は鈴菜の体は昔から病弱で小学校卒業から最近まで祖父達の住む田舎町の病院に入院していてこの街に戻ってきたのもつい最近なのだ。理由はその病院に凄腕の医者がいるとかで鈴菜の病弱の理由も何かの病気でそれを治す為だ。そして病気も治ったはいいものの中学には全く通えておらず、だが勉強だけはしていたらしい。
そして受けた俺の通う学校の受験には難なく受かっていた、でも俺は鈴菜が俺の学校の受験を受けていることは知らずにいて、受かった時に初めて鈴菜からの定期連絡際に聞かされて驚かされた。
「ねぇお兄、この制服どう」
「どうってうちの制服じゃん」
「いや、だから。うーんお兄って昔からそういう所に気が利かないっていうかさ」
鈴菜はその場でくるりと一回りして聞いてくるが別に俺が着ている制服と一緒である唯一違うのは男子制服と女子制服の違いであろう。
「なんだよ」
「別になんでもなーい、それより次はどこを案内してくれるの」
「そうだな、あらかた案内は終わったし、あと残っている所だと学食か」
「学食」
鈴菜は学食と聞いて先程までと打って変わり目を一段と輝かせて食い気味になる。
「おう、俺は普段はあんまり使ってないけどな」
「お兄それ勿体ないよ、学食なんて今の時代高校では中々お目にかかれないものなんだよ。それに学食は出会いの場でもあるんだから」
「ふぅん、まぁいいや行くぞ」
「お兄真面目に聞いてよ」
鈴菜を置いて屋上を後にして学食に向かおうとする鈴菜は後ろから置いて行かれないように付いてくる。
鈴菜は入院して勉強している間に漫画などを読みふけっていると祖父から内緒で聞いた。どうやらこれはそれの影響でも受けているのだろうと俺は思う事にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます