第11話 家に帰る
瑠璃が、俺の腕を掴んで、橋を通り切った。振り返ると、そこには元のように、田畑はなくなり、家が立ち並んでいた。
「帰ってきた……」と瑠璃は言った。
日が沈み、辺りは既に真っ暗になっていた。俺と瑠璃は遠回りして家に帰った。
俺らは家を見て笑った。台風の後、みんなで作った家だ。曽祖父母、一郎さん、梅子さん、それに近所の人たちで力を合わせて作った家だ。
「ただいま!」と瑠璃は玄関を開けて言った。
台所からカレーのにおいがした。
「おかえり。今日はいちご買ってきたから後で食べようね」と母は言った。「そうだ、今日ね、お父さんと役所に行ってきたんだけど、おじいちゃんね、三男だったんだよ知ってた?」
「知らない」と瑠璃は言った。
「一郎さんと、おじいちゃんの間に1人いたみたいなの。小さなころ亡くなっていたみたいなんだけどね」
「まじかよ」と俺は笑った。
「俺ら、じいちゃんのことなんも知らねぇな」
太鼓橋を通る 夏目海 @alicenatsuho
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