第4話 消えた太鼓橋

 真紘と瑠璃は橋に向かって帰り道を歩いた。


「ねぇ、真紘……橋が、ない」と瑠璃。


 そこにあるはずの赤い太鼓橋が消え、ただの石でできた橋がかかっていた。向こうから走ってきた一郎さんが2人の横を通り過ぎていく。


「そういえばあの橋って、昔あった大型台風で壊れて作り直したんじゃなかったっけ?」

 瑠璃は言った。


「じゃあ、太鼓橋ができるまで、帰れないってこと?」2人は青ざめた。


「だから通るのをやめようって俺は……。いや、そんなこと言ってる場合じゃないか。俺らのこと、見えていないみたいだしさ、俺らの家に居座らね?一応、俺らの家だし」


「あんたほんと、こういう時頼りになるよね」と瑠璃。「お腹空いてない?」


「空いてない。全く。姉さんは?」


「私も」

 2人は、じいちゃんの家へと帰っていった。古いじいちゃんの家は、庭園付きの大きな日本家屋だった。


「あれ、今の家となんか少し違う……」


「この家も台風後に作り直したって言ってた気がする」と瑠璃は言った。


「おじゃましまーす」というと、真紘は家を開けて入った。


 家の中では、女の人たちが、夕飯を準備していた。2人のことにはまるで気がついていないようだった。


 夕飯が出来上がったころ、40代の曽祖父が居間にやってきた。一家は食卓を囲んだ。


「あれ、一郎は?」と曽祖母。


「遅くなるって」

 武雄が言った。


「遅くなる?」と曽祖母。勘がいいようだった。


「待たなくていい、食べよう」

 曽祖父がそういうと、皆は食事をとり始めた。

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