第一章 第9話 戦場の出会い

戦場となる地域は熱帯に近い場所だ。

昔から戦争と雨が絶えないところだけど、今は災害後で色々な難民を吸収して大国まで登り上げた。

そして資源の枯渇により、侵略戦争を始めた。

国の宣伝はこう書かれた。

よく考えてみれば、こんな小さな島国から侵略戦争を仕掛けるメリットが乏しいなはずなんだけどね。

それでも戦争は人が弱っているところから始める。

弱ってる人々が始まった戦争は誰かが消えるまで終わらない。

半分も残ったこの世界で、いまだに闘争を求める人々が向かう先には、希望が存在しているのか。


初めての空の旅はとても快適と言い難い。

降りて、整列して、自分のテントへ向かう。

2ヶ月の間叩き込まれた内容と同じで、栖都にとっては戦うより速やかに動くことが大事だ。

成島栖都は極めて自己主張が低い人で、能力を超えることをやらせない限り、彼は軍隊の生活への順応が早い。

実は軍内の人事を務める人も彼の扱いに手を焼いている。

順従で器用ではあるが、身体能力が極めて低いため、今必要な人材ではない。

そして、厄介事のたねである。

なぜなら後方のサポートは大体女性に任されることが多い。

「お邪魔します!」

「…え?」

一瞬、両方とも頭が真っ白都なった。

テント内には栖都と同じくここへ配属した先輩たちが2人いる。

金髪で柄が悪そうな目をしているが、歳はかなり若い。

もししいなが生きていればこれぐらいだろう。

…そして、今は着替え中である。

あ、ラッキー…と思うわけないだろう!

性犯罪、軍事法廷、処刑…

「ぎゃああああ!!」

「なんでそっちが悲鳴するんだよ!」

「誰だよ、あんた!ここ女性テントだぞ。」

フッとその瞬間ハッとして、栖都は外の番号を確認した。

「いや、本当にここ配属らしいです!」

「何でも一回入るのだよ!出ていけ!変態!!」

「はぁ、ないわー」

自分のため解釈させていただきたいと申しますが、本当に迂闊です!

信じてください!軍事法廷は嫌だ!

疲れが溜まったせいか、メンタルのストレスで栖都は気を失った。

……

「信じられない!こっちが被害者なのに!」

「レイも落ち着いて、彼が持っているファイルから見ると、嘘は言ってないよ」

「それぐらい知ってるわよ!でもよ、ゆいちゃん…せっかく今日のタスクを早めに終わらせたのに…」

「仕方がない、また今度だな」

有耶無耶な意識を漂わせている栖都は、少なからず自分のそばの会話を拾った。

そして、頑張ってこれまでのことを思い出す。

やはりただ疲れが溜まった上でストレスを抱えたせいかもしれない。

ストレスの原因は何なんだろう?

後少しで思い出せそう…

「み…水…」

「水ね、レイ」

「はい〜どうぞう〜」

顔面にかけられた水の涼しさに、一瞬で意識が戻ってきた。

「はっ!…ここは?」

「住む場所?」

「はぁ…何でこんなのまで徴兵されるのよ、どう見ても持病じゃない?男なのに、ここまで細いし」

「まぁいいじゃないか?一緒に住む身としては安心できるし」

「それもそうね」

綺麗な軍服を纏った二人の若い女性が仮設ベッドの隣で寛いでいる。

二人とも金髪を染めてギャルって感じであるが、案外表情の方から性格が出ている。

元気でアクティブな子はレイで、冷静で不愛想っぽいに見える子はゆい。

2人の氏名はまだわかってないが、そのうち聞いてみよう。

そう言えばここに着くごろはもう夕焼けだったな。

「ここでの飯は、皆はどう済してますか?」

「うん?ああ、急だな。そうだな…大体“あれ”だな…」

「というより“あれ”しかない…」

彼女らがなぜか顰め面になるのか、それは視線の先は山のように積み上げた缶詰のせいである。

ああ、飯は全部これになるのか。

一個取って見たら、缶詰自体はスーパーで普通に売られているもので、ちょくちょく地方の特産も混ざっている。

少し期待している戦闘糧食と違くて少ししょんぼりしたが、これなら色々できそうだ。

「鍋とコンロはありますか?」

「うん?何?あんたこれで料理したいの?」

「一応野営用のものはかなりあるよ」

火を使うなという命令もないので、許される範囲だろう。

「やるだけやってみるよ、そのままよりはましと思いますよ」

「まぁ、ありがたいだけど、あんな缶詰何かマシなものができるとは思えないけどね」

「一応試したこともあったから、最後諦めた」

「そうそう、やるだけ無駄よ無駄」

30分後

「何これ!?これが缶詰めだけでできた料理なのか?!」

「うっま…うっま…」

「ゆっくり食べてください、まだたくさんありますから」

この近くは砂漠でできている、遠くは山脈が阻まれて、天然の障壁となった。

向こう側は密林らしいけど、ここら辺は全部砂漠。

そのせいで昼は茹るような暑さで、夜は凍えそうな寒さになる。

しかし、唯一良いところは食品の一夜保存には適している、冷蔵庫はないからね。

「ああ、寒…」

昼間は真夏だったら、こちらは真冬だ。

2人さんはさしぶりの暖かい食事で腹一杯になったせいか、すぐに眠りに入った。

残したスープを蓋をして丁寧にテントの外に置いた。

「月は綺麗ですね」

『いやだ〜口説いても何も出せないよ〜』

「あんた平常運転か」

なんと、しいなちゃんを呼び出した。

それも仕方がないことだ。

飯を作るのに、まさかライターが壊れるなんてね…

貴重な火魔法が…

『でもよかったじゃない?みんな仲良くなれるし』

「まぁ、そうだね…」

なぜか、今回長く居てくれた。

『不安の顔だね』

「後方支援だけどよ、いつか前線行かないといけないだろう?」

『ビビってる?』

「ビビってるよ」

『情けないなー!あんたは今この世界で唯一の魔法使いかもしれないだぞう!』

「いや、魔法選べないし…」

『使い方選べるだろう?元々この火は1平方キローメイトルーを消し炭にするのもできるはずだよ!』

「こっっわ!俺核弾頭かよ!」

『なりたいならギリ行けるよ?』

「なりたくないわい!」

器用に小声で叫んでいる。

『ふんふん、冗談だよ』

「そのふんふんは誰かさんを思い出すな…」

一回しか見たことない、ムカつくガキだが、最後に見せた泣き顔と助けを求める声が心を少し抉った。

『優しいね、お兄ちゃん』

「人の頭を勝手に覗くな」

『ふふ、そうそう、もし想像しにくいだったら、ゲームの特大なエフェクトを思い出して〜では次の魔法ねー』

魔法を言い残して、彼女は静かに消えた。

「次は氷か…ヘックシュ!そろそろ寝るか、凍えそうだ…氷だけに」

やべ、さらに寒くなった。


ここでの寝方少し特殊である。

寝袋は支給されたが、レイとゆいはそれを開いて一枚の食パンに挟まれるハムみたい寝ている。

言うには普通に寝袋に入ったままにしたら、朝になると暑すぎてそのまま熱中症になりかけたらしい。

確かに理にかなっている。

そして、これは他にもたくさんの利点がある、たとえば緊急命令が出た時の対応とか、或いは動物がテントに忍び込んだ時とか。

そう、今の状況はそれかもしれない。

「貴様は誰だ!」

レイの叫び声を聞き、栖都は目を覚ました。

まさか、敵襲?!

寝ぼけている状態で魔法書を持っていった、こいう突発の状況は銃も持っていくべきだったが、幸いそこまでの状況じゃなかった。

テントを出て、目に入ったのはひっくり返した鍋とレイに抑えられた一人の子供の姿だ。

これだけで何となく状況は掴めるが、彼女たちは別の考えがあるようだ。

「所属を言え!」

「いや、だめだ、言葉が通じない」

「どうする?上官のところに突き出した方がいいのか?」

その子が羽織るマントが剥がされ、濃いめの褐色肌をもつ一人の女の子だ。

「その子は大丈夫と思いますよ」

「あ、栖都さん。起きたか」

「おはよございます」

こいつらも器用だな。

「で、大丈夫ってどう言う意味なのよ!こいつは私たちの飯に毒を混ぜようとするかもしれないのよ!」

その線も考えられるが、彼女は違うな。

「冷静に考えてみましょう、本当にただ毒を混ぜようとしたら、この小さい鍋より水タンクの方を狙うでしょう?」

「そして、よく見てください。これほど痩せて、火傷と凍傷だらけの作業員居るはずがないでしょう?」

「…一理ある」

「しかしっ!何でこいつがここにいるのよ!」

ここが戦略拠点とするのは、そこそこ広い砂漠と山脈が広がっているから。

あの山を越えたら、ジャングルと敵陣になる。

この国にはまだ安定できない難民でできた村がたくさんあると聞いた。

自分の力で乗り越えて、ここに来たと言うのか。

「命の不思議さというものなんでしょう。この子を中に運びましょう。尋問なり、拷問なり命あってのものだ、まだ鍋の中に料理は少し残っているだろう?出してあげてくれ」

「仕方がない」

「ああ、もう!私たちの朝ごはんなのに!」

レイの言い方は少し冷たく感じるが、栖都にとって少し嬉しい言葉だ。

よく考えたら、戦場でこんな独善なことをする栖都の方がおかしいかもしれない。

彼女から何かを感じていた。

放って置けないと。

何だろうね、自分と重なったのかな?社会のはみ出し者とか?馬鹿馬鹿しい。

朝の訓練まで、まだ少しある。

薄暗い外にはまだ月が少し見える。

その子供は至って大人しい、暴れてもいないし、何かを企んでもなさそうだし。

いや、子供と接触が少ない僕にはわからない。

「こう見ると、なんか不気味な子ね…まるで感情が死んでいるようだ」

レイには弟が二人いて、二人とも赤ん坊から成長を見守った。

彼女からもそう見えてしまう。

「鍋を狙っているのなら、食べる気力があるのだろう」

もしかして、僕らを怖がっているだけかもしれない。

まだ残っている料理を目っいっぱい大盛りして、彼女に差し出した。

彼女が初めてこちらを見ていた。

少しだけ、希望を見えた表情だ。

「…もし、もしものことだけど彼女を報告したら、難民として迎えられそう?」

「どうだろうね」

「難しいですね」

市内で銃殺を目撃した栖都からしてみれば、そんな余裕はこの国にはないかもしれない。

ここの物資もいつか減らさるかもかわからない。

悩ましいものだ。

でも打てる手はある。

「よし、訓練してみましょう!」

「ええ?!いいの?見つかったらどうなるのか…」

「いや、これは意外と黙認されるよ、動物の場合だけど」

この提案をした栖都もかなり不安だけど、現時点彼女を生かすにはそれしかない。

よくも悪くも、現場主義なものだから、見つかった場合、有用性を示せば何とか僕らの罰だけで済ませる。

「その点に関してですが、あなたたちにすまないとしか…」

「別にいいよ、ガチで軍に忠誠がある奴はこの場にいないから」

「それはガチで外で言わない方がいいと思うけど」

「ですな」

まだ一日の縁しかなかったが、彼女たちは良い人でよかった。

実は軍の中にはこう言った友情を芽生えるのは珍しいことだ。

徴兵された人は不満を抱えている人が多い、そしてそれなりのことをやらかしたことも多い。

そのせいか、軍犬をこっそり自分に馴染むように訓練したり、手作りの煙幕をこっそり持っていたりする人もいる。

他人への信頼はないから。

そして、いつか僕らもそれについて真剣に考えなければならない。

後方支援にも訓練を受け続けなければならない理由は、前線支援のためである。

戦闘は稀ではあるが、戦場では不測のことばかりだ。

準備があるかどうかで、最終的に道が分ける。

彼女に対して、多くは望まない。

簡単な手当、荷物の整理法、そして投擲…その他には、道案内もしていただきたいが、言葉を教えないといけないとなると、時間がかかりすぎる。

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