第2話:兄に知られてしまった①

 ある日、私達3人と母であるノヴァ・ヒメリア・ルトランドと共に街に服を買いに出掛けた。母はとにかく私達を溺愛しており、兄弟でお揃いの服を着させることが趣味だ。

 たまに、家族全員でお揃いもすることがある。基本、パーティーの時はそうだ。

 なので、その日も普通に服を買いに来ていた。


『セスちゃん、ザウ君、ルム君。今日は次に行くパーティーの服を買いましょう』


 と、母は楽しそうな顔で微笑む。

 母は、身体が強い方ではなく無理をして欲しくないのだが……。自由に行動したいという母の意見を聞き入れた父は、自身の騎士が母と共に行動するという条件で承諾した。

 もちろん、騎士は女性だ。男性なら父が許していないだろう。結構嫉妬深いのだ。父は……。

 そして、服を買い終えた後、ザウ兄様がこのようなことを言い始めた。


『探索しようぜ! ルムとセス!』

『『えっ?』』

『だから、探索だよ。た・ん・さ・く!』

『いや、探索なのは分かったよ? ただ、今からかい?』

『あぁ! 護衛なら安心しろ! 最近俺、師匠から高評価なんだぜ☆』


 ザウバア兄様の師匠とは、現騎士団長であるグラディウス・ヤルティヌ・ロングルッタだ。彼はロングルッタ家の当主であり、50歳手前とは思えない身体能力を有している。

 現国王が王太子時代だった頃から忠誠を誓っており、ソードマスターでもある。国宝の1つに数えられる使徒の豪剣アポストルソードを保有しており記憶が正しければ、代々当主にはロングルッタ家守護神オラーケルから加護が、与えられている。

 私でも、倒せるかどうか怪しい程には強いのだ。


『早く行こうぜ☆』

『分かったよ。ただ、あまり離れないようにするからな』

『分かったよ!』

『セス……ごめんけど、一緒に行こうか』

『うん』


 そう言って、3人で街を探索した。新しいものもたくさん見ることが出来て、私はとても満足だ。

 ただ、それだけでは終わらなかった……。

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る