第1話:これからどうしよう

 私、セラス・エヴィ・ルトランドはルトランド家の第三子として生まれた。年の離れた兄が2人と弟が1人おり、とても仲良くしている。兄は双子で2人とも父親似である。母親似である私と弟のことを驚くほど溺愛しており少々困ることもある。母も父もとても仲良く、見ているこちらも顔を赤らめてしまう程だ。

 そんな中で生まれた私、セラス。実は転生しているとは言えない。私が最後にこの世を去って200年ほど月日が流れている。

 転生した為この世界でも楽しい生活を暮らそうと思っていた。しかし、200年前の私を知っている人物が1人いるのが少し難しいところだ。

 その人物は、魔法塔の管理人セヘル・アーヴォをしているノイギーア・ガルトリ・ア・サトロンだ。見た目は気のいい老人だが、彼はこの世界でも珍しいエルフである。コレに関してはある童話があり、その童話とはこの国が建国して間も無い頃の話だ。前世である200年ほど前にもあった。




『セス……お前はどうしていつもそんな難しい本を読んでるんだ? 一緒に遊ぼうぜ!』

『ザウ、セスも立派な令嬢になる為に勉強しているんだ。お前も、剣術だけじゃなくて魔法の勉強をしろ』

『うるせーぞ、ルム』

『シュトゥルムお兄様、ザウバア兄様……』


 双子の兄の方であるシュトゥルム・テリ・ルトランド。弟の方のザウバア・ロルド・ルトランド。

 この2人の性格は真逆と言っていいだろう。似ているとことがあるというなら父親似の顔ぐらいだ。

 シュトゥルムは父と同じ薄緑色の髪に緑色の瞳をしており、ザウバアは母と同じ銀髪に金色の瞳をしている。能力でも同じで、魔法では風を中心に全体的に高度な魔法を扱えるシュトゥルムお兄様と風だけに魔法を全振りして他の魔法がほとんど扱えなくバフに頼っているザウバア兄様。戦闘では剣を中心に扱うシュトゥルムお兄様と殆どの武器を扱うことが出来るザウバア兄様。

 2人とも魔法と戦闘とのバランスが良いのだ。年に2回行われるルトランドリ領では毎回優勝するので出禁になった程。今は、幼いながらも主催側になっている。

 そして私は……。


『一緒に剣術しようぜセス! セスは俺よりも強いのに実力隠してるからな〜早く戦おうぜ!』

『ザウ、セスは僕と一緒に魔法の勉強だ』

『昨日もそうだったじゃねーか。今日ぐらいはいいだろ?』

『お兄様達、私はもう部屋に戻ります』


 今の私には、そう言って本を閉じることしか出来ないのだ。2人は私の実力を知っている。どうして2人に私の実力が知られたのか。

 それは、3人で街を散策している時だった。

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