寝顔とカメラ。
朝起きると、布団を押し退けて寝間着のボタンが外れている鼎さんが眠っている。仕事用PCと、氷を入れた珈琲を机の上に置いて、仕事を始める。
生憎、深煎りのコーヒーしか無かったので、渋々それを入れる。
「マジで苦い、、、、。」
普段は入れる事のないミルクを入れて、カフェオレにして珈琲を飲み干す。空っぽになったカップの底に、少しだけ残ったが、気にすることなく、パソコンを開いて、昨日の遅くに送られてきた電子書類(パソコンなので当たり前なのだが)に目を通す。クリエイター業に友人からスカウトされ事務などをこなしているが、この旅行に行く時に、この会社のPRも兼ねるよう言われたので、絶賛それに取り掛かっている。社員の一部の顔、仕事風景、内容、色々書いたが、肝心の、リモートワーク大賛成な姿勢をアピールするために、たった今起きた鼎さんに、仕事している感じの写真を撮るよう頼む。
「寝起きを撮ろうたってそうはいきませんよ?」
なんかこの人、めちゃくちゃ心配だ。色々。
「……と言うわけです。」
順を追って説明すると、
「あぁ、そう言うことでしたら。」
と、納得してくれたみたいだ。なんかテンション下がったかな?きっとしっかり起きたのだろう。
パソコンの方を向き、仕事に取り掛かる。フリをする。
「は~い、OKで~す。」
「ありがとうございます、撮影協力してもらって。」
定時。久しぶりに投稿しなきゃ、と思い、
しかし、今日はいつもと違って、とても自分でもいいものが書けそうな自信があった。
「新しく書いてみるか。ジャンルは恋愛X異世界転生かな、、タイトルは、、『隣の美人と異世界転生した件』、みたいな感じでいいかな。」
いつもより筆乗りが良く、(パソコンだけど)わずか一時間で、2000文字を超えていた。どうやら実体験と言うのは書きやすいらしい。まぁそれじゃダメなんだけどね。
今日二杯目の珈琲は変わらず苦いが、それ以上にしっかりとした味わいが口に残って、ここまで珈琲を美味しいと感じたことは初めてだ。気づけば、8時になって、鼎さんが部屋に戻ってくる音がしたので、パソコンをしまい、珈琲を淹れていたカップをシンクに下げる。
「袴さ~ん、ご飯いきましょ~う」
彼女の明るい声に、付いて行く。彼女には、感謝しないとな。
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