第19話 矢沢
「おっと、今日は当たりだ!」
「え、何だって?」
その声を聞いた
わざとらしい台詞。それが合図でなくて何なのか?
奇声を発したのは男子高校生だったが、彼は連れを先にレジに向かわせてわざわざ真ん中のレジに向かった。
矢沢は彼とカウンターの女子店員とのやり取りを何気ない
「いらっしゃいませ、こんにちは。店内でお召し上がりですか?」
「はい」
「では、ご注文をどうぞ」
「ヒューストンバーガーのセットで」
「お飲み物はいかがなさいますか?」
「これで」
ドリンクの選択に彼は紙切れを見せた。
「承知しました。お会計は六百円です」
女子店員は通常の営業スマイルだ。
これは間違いなく怪しい。
矢沢たちは最近この
矢沢は同僚とともにこのファーストフード店で腹ごしらえしつつ、注意深く目を走らせていたのだった。
合図には敏感になっている。以前には「ポテトはいかがですか?」「ジャーマンポテトで」というふざけた合言葉もあった。
とにかくあの男子高校生と女子店員は要チェックだ。
「お待たせしました。ごゆっくりお召し上がりくださいませ」
しかし思わぬ展開になった。
「だよねー」を合図に別の男が立ち上がったのだ。
その男が先ほどの女子店員から紙切れを受け取るのを矢沢は見た。これは当たりではないか。矢沢はその男を追うことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます