2時限目は算数

 早苗はダイニングテーブルで大きなマグカップにチャイナティーをなみなみと注ぎ入れ、ボールペンで頭皮をがしがしと掻きながら家計簿と格闘中である。

「手強い相手だよ」

もちろん手強いのは家計簿ではなく、緩やかにしか増えない収入を嘲笑うかの如く加速度的に増える支出である。

「今月もボーナスレスキューか」

毎月の手取りだけでは赤字の月もあるため、賞与の一部を割り振って何とか帳尻を合わせている。

「あの頃は家計の点では良かったよ」

 夫婦に子供ができるまでの3年間は、年2回の賞与は自由につかえた。大手食品メーカーの社宅は家賃が驚くほど安い。賞味期限が残り数ヶ月となった自社製品を夫が時々持ち帰ってくれるので助かる。たまに「戦利品だ」と様々なメーカーの商品を段ボール箱一杯に抱えて帰ることもある。

「これ買おうと思っていたやつ、助かる。これも、あっこれも欲しかったやつ」

展示会や見本市などで出展するメーカー同士が展示品やサンプルを交換した物のようだ。そんなこんなで出費は比較的少なくて済み、旅行を楽しみ大きな買い物をしてそれなりの貯蓄も出来た。

 初めての子育てには早苗の想定以上に出費が嵩んだ。

「社宅だから先輩から“おさがり”をもらえるんだよ」

「ブランド品がもらえると良いね」

あてにしていたベビー服やおもちゃは結局どこからも貰えなかった。

「社宅近くの大手買取チェーン店で売っていたんだって」

「何それ」

仕方なく新品は貰ったお祝い品だけにして、普段着は買取チェーン店で中古品を購入した。

「これってもしかしたら貰えるはずだった服かも知れないね」

「まさか」

そんなことを言いながら中古品を買うのは早苗には何とも複雑な心境であった。

 紙おむつ、病院代、離乳食などなど。子供の成長に連れて、出費は増え続けた。そして夫が30才を過ぎた頃のこと。

「お前は転勤がないんだから早く城を持て」

「まだ早いんじゃないかな」

「早くローンが終わった方が老後は楽だぞ」

夫の両親が持ち家を勧め、相当額の資金を提供してくれた。

「そういうことならうちも出さないと格好がつかないだろう」

早苗の両親も張り合うように同額の援助をしてくれた。十分過ぎる程の頭金が出来たので、住宅購入はとんとん拍子に進んだ。

 早苗は郊外に広がる整備された街並みの庭付き一戸建てに憧れた。4LDKも可能だ。

「枝豆とかとうもろこしとか作ろうよ」

「駅までのバス通勤は絶対に嫌だよ。それ以外は早苗の希望通りで良いから」

強く反対した夫の希望で、駅近くの新築マンションに決まった。郊外の一戸建てより確かに何かと便利ではあるが、マンションにはローンの他に管理費や修繕積立金がある。

「駐車場代もか」

「一戸建てならローンだけだったのに」

「一戸建だって修理費やメンテナンス費用も掛かるんだから、積み立てしておいた方が安心だよ」

早苗も夫もこれらの出費は想定外であった。いやそんなことはとっくに知ることとなったのだが、もう後戻りなど出来なかった。

「まあ何とかなるか」

「うん、何とかなるよね」

もちろん何ともならず、これらは家計にずしりと重くのしかかった。賞与の過半が生活費に充当されるようになり、先々の支出が見通せないので、大きな買い物も控えざるを得なくなった。


 青木家は、夫の圭太に3歳年下の早苗、大学生で長男の一真、そして7歳違いの長女ゆかりはまだ中学生と、子供の歳は離れているが、いたって平凡な4人家族である。圭太は大手食品メーカーの地域限定社員である。

「仕事だけでもだめ。プライベート中心でもだめ。地域限定は理想的な働き方なんだ。ワークライフバランスって言うんだぜ」

「そう生き方の問題だよね」

転勤がないので、子供たちが転校で苦労することはなく、慣れ親しんだ地元で安心して家を買うことも出来た。唯一にして最大の難点は給料が少ないことだった。

 この難点をもう少し正確に言えば、昇級や昇格が全国採用社員より遅く、どんなに頑張っても営業の場合は課長級の営業所長止まりであることだ。

「それで良いんだよ。仕事だからと言って、家族や健康を犠牲にしてはいけないんだ」

「うん、そうだよね・・」

かつて早苗も地域限定社員として勤めていた、つまり二人は社内結婚で、会社には新入社員から部長級まで1から12の等級がある。地域限定も全国採用も高卒なら1、短大卒は2、大卒は3から等級が始まる。給与体系も共通なので、毎年同じだけ定期昇給があり、最初の昇級までは基本給に差は出ない。

 地域限定と全国採用では、昇級のスピードが違うのだ。全国採用の大卒は入社後3年から4年で主任級の等級4に上がる。将来の幹部候補なので、上位の仕事を早く経験させようとの考えである。一方の地域限定は早くても主任までに6年はかかる。現場を支える実務者として深い知見を積ませるためだ。

 等級が一つ上がると基本給はぐんと上がる。全国採用の同期とは直ぐに差がつき、同じく後輩には程なく追い越されてしまう。

「納得していたつもりだけど、目の当たりにするとやっぱり辛いもんだな」

「でも・・」

「仕事を教えたり飲みに行ってたまに奢ってやっていた後輩の方が給料多いんだぜ」

担当する業務のレベルにも次第に違いが出て来る。大きなプロジェクトに地域限定社員が招集されることはほとんどない。

 地元で生まれ育った早苗と圭太は、二人は入社後に知り合ったのだが、転勤がない地域限定社員制度に対する考えは大きく違った。出世よりも生涯地元暮らしに価値を見出した圭太に対して早苗は、大手企業に確実に就職して社内結婚するための手段として地域限定社員制度を利用したまでだ。早苗の社内結婚の相手は当然のこと全国採用で出世が期待出来るエリート社員であるはずだった。

「愛の前では冷静も打算も無力だよ」

結局早苗は地域限定社員の圭太と結婚した。

 早苗が入社した頃は、定年を2年後に控えた営業所長に30代の所長代理、夫となるまだ若手の圭太を含めて5人の営業担当者と2人の事務員がいた。既に結婚退職していた事務員の後任が早苗で、合わせて10人が勤務する比較的規模の大きい営業所であった。

「早苗ちゃん、見積書をこの番号にファックスしてくれる?」

「早苗ちゃん、頼んでおいた新商品のサンプルはまだ届かない?」

「はーい今直ぐ」

「ごめんなさい、確認します」

 本社にはエリート集団の営業統括本部があり、販売戦略や予算の策定など営業の中枢機能を果たしている。その本部長をトップとした販売部隊は、全国6支社の下に20の支店と営業所が配されている。本部の方針は幹部から末端の営業担当者まで徹底される。本部の作成する提案書とセールストークは絶対で、個人の工夫やオリジナリティは厳しく禁じられている。業界で“金太郎飴営業”と揶揄される所以である。

「言いたいやつらには言わせておけ。商品力でも販売戦略でも、どこにも負けない。自信を持って売って来い」

 

 現在の営業所は、所長代理と若い2人の営業担当が全国採用である。彼らは平均3年で異動を繰り返し、営業所や支店でキャリアを積み重ねて昇級して行く。支社には全国採用社員しかいない。支社は管轄エリアの支店と営業所を統括し、本部の方針を落とし込み、予算の達成に責任を持つ。また取引先である大手チェーンの本部担当も支社の役割である。

 圭太は今年48になるのだが、肩書はまだ営業係長で等級は6である。営業所に部署としての係はないので、部下はいない。等級7の所長代理になれば、事務員が部下となり、営業担当をしながら、営業所内の事務や庶務を統括することになる。現在の所長代理は圭太より一回りほど年下の全国採用社員である。

「高橋さん、先日ご一緒して頂いた接待の請求書が届きましたので、承認をお願いします」

「嫌だなぁ、青木係長。その敬語はやめて下さいと言ってるじゃないですか。以前のように“高橋”でお願いしますよ」

「いや、今はそういう訳には・・・」

この高橋は嫌味な男で、社内では“さん付け”で呼び合うことになっているのだが、敢えて肩書を付けて呼ぶことによって立場の差を思い知らせているのだ。圭太にも、周りの社員にも。

 早く所長代理となり、定年までに地域限定社員の最高位である所長になることが、圭太の望みである。所長は支店の課長と同格だ。支社会議にも出席出来る。早苗も同じ望みを抱いているが、その理由はただ一つ、年収が大幅に増え、暮らし向きが楽になることである。


 住宅ローンとマンションの管理費、修繕積立金や駐車場代に工夫の余地はない。決まった額が毎月決まった日に情け容赦なく引き落とされる。

「固定資産税も結構効くのよね」

子供達の学費も同様である。

「学費はどんなに苦しくても絶対に節約しないから」

幸にして家族全員が健康で歯も丈夫なので、医療費はほとんど掛からないのだが、もちろん将来何が起こるか分からない。

 ここ数年は圭太の年収と年間の支出が抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げている。貯蓄の小山が平地になるのも時間の問題である。そして今年はゆかりの塾代や夏期講習の費用が乗っかって来るので、夫に内緒のへそくりを取り崩すことも考えないといけない。実家の両親が「何かの時に」と持たせてくれたもので、これまでは手を付けずに頑張って来たのだが、遂に“その時”か。

「パートでもすれば良いのに」

早苗が生活の苦しさを愚痴る度に、実家の母親が繰り返す台詞だ。

「フルタイムで働かなくとも、毎月数万円でも収入が増えれば生活は楽になるじゃない」それは早苗も分かっているのだが、“専業主婦で子育て”という信念は曲げられない。

 現在のところ、長男の一真は早苗が思い描くストーリー以上の道を歩んでいる。長女のゆかりは本人の努力次第だが、これからの数年でその後の人生が決まるとも言える大切な時期なのだ。早苗が働いて、そのことによってゆかりの教育に支障をきたす訳にはいかない。

 早苗にとっての唯一の誤算は、せっかく安定の大手食品メーカーに就職出来たのに、出世と高収入が期待出来ない地域限定社員と結婚したことである。圭太には恨みもなく、もちろん今でも愛している。ただ結婚前は魅力的に感じられた“おおらかな性格”が、次第に“のんびり”から“覇気がない”と映るようになった。

 圭太と早苗の価値観に少しずつズレが生じており、それは圭太が変わったのではなく、早苗の焦りに原因があると言える。早苗もそのことは分かっており、誤算とは圭太ではなく、早苗自身に向けられた言葉である。


 先月はこれまでの最高額となる十万円以上の赤字であった。新幹線に乗って遠方に住む親戚の葬儀に夫婦で参列したためだ。

「不謹慎だけど想定外の出費は正直きついね。こんな時に逝かないでとも言えないし」「日帰り強行軍で何とかホテル代は節約出来たんだから良しとしないと」

 早苗が愛用している家計簿は、ひと月毎に収支を使用目的別に、つまり勘定科目毎に合計して記入するタイプである。レシートや領収書は必ず入手し、銀行口座の引き落としはスマホのサイトで確認して合算する。

 結婚した最初の月から家計簿は欠かしていない。

「ねぇママ何書いてるの?」

「家計簿っていうのよ。どんなお買い物をしたかを書くの」

綺麗な字で家計簿を付けていた母親を毎晩見ていたので、早苗にはそれが主婦の義務と思い抵抗なく受け入れた。ただし毎晩は続かないと思い、月単位で記入するタイプの家計簿にした。

 収支に余裕がある間は、翌月への繰越残が貯蓄となるので、その数字を見ることが誇らしく、ささやかな幸せでもあった。

「よし、今月も黒字黒字と」

「旅行でも行くか。思い切ってハワイとか」「食洗機を買いたいのよ」

夫婦に子供が産まれてからは毎月の繰越残がどんどんと少なくなった。しばらくは限りなくゼロで持ち堪えていた。が、やがて赤ボールペンでマイナスの金額を初めて書き込み、下の行に“賞与より補填”として同額をプラスで記入して帳尻を合わせた。

「あー何とかしないと」

 赤字。本来は赤字で記入すれば、数字の頭にマイナスを付ける必要はない。赤字がマイナスを表しているからだ。早苗もそのことは知っていたのだが、自戒の念を込めて、敢えて太いマイナスを書き足した。

 やはり月末にならないとその月の収支が分からないという今の家計簿では、やりくりに限界があるのかも知れない。毎日記入するタイプの家計簿にするか。これまで家計外としていたスーパーやネット通販のポイントも収入とし、使ったら支出として家計簿に記入するか。

「そもそもボールペンで手書きの家計簿なんて今時どうなの」

「スマホでアプリとか」

銀行もクレジットカードもポイントも全て大手流通系列で統一すればどうだろうかと、早苗の悩みは尽きないのである。


 「革靴の底が擦り減ったのでそろそろ買い換えなくちゃ。2足廻しだと直ぐ擦り減るから、3足廻しにするよ」

「一度に3足も買い換えるって・・」

「ゼミ旅行だけど思い切って韓国にすることになったから。沖縄に行くよりプラス5万円なら絶対韓国だよね」

「プラスの旅費が5万円って簡単に・・」

「ママ、夏期講習のお金、今週中に振り込んでおいてね」

「うーんまぁこれは仕方ないか」

 今月も先月以上の出費になることはもう確実だ。早苗は今朝記帳して来た通帳を眺めながら、圭太の銀行口座に革靴3足代、一真に現金で卒業旅行代、ゆかりの塾に夏期講習代を振り込みと、通帳の余白に書き込んで行く。それから各種引き落としの銀行口座にも必要額を振り込まないといけない。

「はぁー」

 給与振り込み用の銀行口座は端数を残してほぼゼロになるのは、ここ数ヶ月の見慣れた光景だ。

「はぁーー」

早苗の溜め息はどんどん深くなる。今朝記帳した銀行口座は余裕資金をプールしているが、その残高はみるみる少なくなる。定期預金を解約するか、そうか少し前に解約したんだった、いよいよ早苗のへそくり預金から充当するか。どんなに溜め息を吐いても、残高は増えない。

「はぁーーー」


 早苗は悩んだ末に、自身のへそくりを家計に充当することにした。結婚する時に両親が持たせてくれたまとまった現金で、これまでに手を付けたことは一度もない。早苗のためだけでなく家族みんなのために使う積もりだ。

「まさかの時のために渡すのよ。車を買い換える時の足しとか、思い切って旅行に行こうかとか、そんな使い方をしないのよ」

「大切にとっておくわ」

「圭太さんには言わない方が良いわよ」

 圭太に言わずに使えるものだろうか、早苗には検討もつかないが、あれこれと思考を巡らせる。

「やましいお金ではないし、家計のピンチなのだから、まさにまさかの時だわ。正直に話そう」

しかし根が楽観的な圭太である。

「旅行でも行くか。車を買い替えるのも良いな」

母親の見立て通りのことを言いそうだ。せっかく節約生活が家族に浸透して来たのに、贅沢に逆戻りなど出来ない。

 いや待てと早苗は折角の決心を、へそくりの取り崩しをご破算にした。まさかの時のためのへそくりを、日々の生活費に充当して良いものかと、またしても早苗は堂々巡りに陥った。今の収支では一時凌ぎとも言えず、へそくりを度々取り崩さなくてはならない。根本的な改善策を、そんなものあれば既に実行しているが、考えないことには長続きしないだろう。

 支出の雑巾はまだ絞れるのか、早苗がパートに出るべきか、圭太の生命保険をグレードダウンしたらどうなる、城を手放して県営団地に都落ちなんて、よし宝くじに賭けるか。早苗は頭の中で可能性の限りを語り掛けるが、誰も、もう1人の冷静な自分さえもどこに行ってしまったのか、応えてはくれない。

 それから更に数日悩みに悩んだ末、早苗は青木家収支大改革の断行を決意し、ほぼ徹夜して概ね満足の行くアクションプランを策定した。


 早苗が書き上げたアクションプランは次の通りである。

・家計簿は毎日記入するタイプに変更し、項目毎に月単位の予算額を決めて記入する

・総支出額が圭太の月給と夏の賞与の範囲内で収まるようにする。冬の賞与は臨時の支出と貯蓄にあてる

・収入欄には圭太の給与の他に、ポイント、もらった商品券、ネットのフリーマーケットで得た金額なども記入する

・車は手放し、自転車や公共交通機関を利用し、必要に応じてカーリースも活用する。

 その他にも外食を控える、無駄な食材を買わないよう1週間のメニューを決めてから買い物をするなど、必ずやり抜く10項目を定めた。そして家族全員に徹底するため、A3サイズの用紙にマジックで手書きしてリビングやトイレ、夫婦の寝室に掲示した。

「これでよしと」

 圭太にはしっかり働いてもらわねばならないし、節約への協力も欠かせないので、お小遣いの減額は一旦見送った。そして車を手放すことは最大の難関と早苗は腹を括って圭太に切り出した。

「休みの日くらいしか乗らないもんな」

車好きの圭太があっさりと理解を示した。

「ありがとう、そしてごめんね」

「余裕が出来れば、また買えば良いよ」

車の売却代金は給与の数ヶ月分になり、そう臨時ボーナス、貯蓄額がぐんと増えた。教育費には手を付けなかったので、子供からも特に異論はなかった。

 あとは強い意志を持って実行あるのみだが、早苗は正直計画通りに実行出来るか自信はなかった。大胆な計画を立てたつもりだが、家族には単なる努力目標くらいの感覚かもしれない。仮に上手く行かなければ、更なる強化策を考えなければならない。

「よし、頑張るぞ」


 まさか自分がこういうことを、との思いで早苗は夕方のスーパーマーケットで“20%引きシール”の貼られた鶏肉を買い物バスケットに2パック入れた。“お徳用”と大きなシールも貼られている。従業員用のスイングドアを挟んで、豚肉売場では5人ほどの中年女性が、担当者が値引シールを手に現れるのを今かと待っている。親しげに手を口許に当てて隣同士で話しをしている。

「おたくも値引シール待ちですか?」

「えぇ。品質には何の問題もないんだから買わなきゃ損だわよねぇ」

「そうよ。売れ残らないように値下げしているだけ。賢い主婦の買い物よ」

「それSDG sとか言うんでしょ」

どうやらお互い知り合いではないようだ。偶然居合わせた同好の士たちが、何やかや言いながら結局は物価高を嘆き、ささやかな節約のために値引品を買わざるを得ないと愚痴を言っている。

 早苗は少し離れたところで、“私はあなた達とは少し違うのよ”という雰囲気を醸し出していた。ここで待っている限り、こんな雰囲気もあんな雰囲気もないのだが。

 このスーパーでは今日がポイント2倍となり、精肉売場が恒例の“お得市”初日で賑わう。早苗はこの日を待ち侘びて肉のまとめ買いに来たのである。鶏肉と豚肉は何かと使い勝手が良いので、小分けにして冷凍保存する。

 唐揚げに生姜焼きと定番メニューを口ずさみながら、豚肉に値引シールが貼られるまでの間、早苗は精肉売場の端まで行き、餃子の皮を品定めする。餃子の皮はもちもち感のあるタイプが好きな早苗だが、圭太も子供も透き通るくらいの薄い方が良いという。

「このタイプの皮は包むのも焼くのも難しいのよ」

しかし多数決には従わざるを得ない。25枚入り“極薄”3つをバスケットに入れる。

 安い豚肉や鶏肉で節約しているのだが、家族のテンションが下がらないように豚肉ならでは、鶏肉ならではの料理を早苗は心掛けている。鶏肉のすき焼き?などと言わせない。今晩の献立は焼き餃子だが、出来合いのミンチ肉は買わず、包丁で叩いて作る特製ミンチに挑戦しようと早苗は考えている。

 少し粘りが出るまで豚肉と鶏肉を包丁の背でとんとん叩き、別に取っておいた脂身も小さく切って混ぜ込む。これを大きめのボールに入れて細かく切ったニラ、さっと火を通した白菜、おろしニンニクと生姜、ごま油、そして豚肉の小片をぱらぱらと入れてよくかき混ぜたら餡の完成である。ネットで作り方を見た早苗は一度やってみたいと思っていたのだ。歯応えが良くてジューシーな餃子が出来るらしい。

 専業主婦なのだから調理の手抜きは絶対にしたくない。手間をかけ、心を込めたメニューを考えることは早苗の楽しみでもある。バターナイフを右手に、薄くて丸い皮を慎重に左手で持ち、75個の餃子を作る。餡を入れ過ぎないのが形良く餃子を作るコツである。早苗は無心で餃子包みに没頭した。


 前回の美容院から既に1ヶ月半が過ぎている。早苗は手鏡で色々な角度から髪型を確認している。これまでは1ヶ月毎にカットと毛染めをしていたが、大改革の実行中ではそうもいかない。午前中に行きつけの美容院から電話があった。

「体調でもお悪いのですか?」

「何かとばたばたとしていて」

曖昧に答えたものの、早苗がもう10年以上も通っている美容院である。相手の顔は見えない電話ではあるが「しばらく行けません」とはとても言えない。かと言って度々確認の電話をもらうのも気まずいし、申し訳ない。

 早苗の髪は細くて艶やか、ストレートヘアーが自慢で、これまでパーマをかけたことは一度もない。肩甲骨が隠れる辺りまで伸ばしていて、早苗のこの髪型は結婚前からずっと変わらなかった。たまにポニーテールに結んで気分転換をしていたのだが、5年程前からは白いものが目立ち始めたので、思い切って肩にかからない程度に切り揃えて毛染めをするようになった。

 節約のためには、最近よく見かけるようになったカットオンリーのチェーン店に行き、ヘアカラーを買って来て圭太に手伝ってもらい自宅の風呂場で染めようと早苗は考えている。年間で数万円の節約になる。問題は行きつけの美容院をどうするかであるが、2ヶ月も行かなければ向こうでも察してくれるだろう。もう一度くらい電話があるかも知れないが、曖昧作戦で乗り切ろうと早苗は腹を括った。

 美容院の前はもう通れないので迂回しなければならない。家族でよく行った安くて美味い町中華には、お店は美容院の斜め向かいにあって、もう二度と食べに行けないのかと早苗は惜しいやら寂しいやら悔しいやら複雑な思いである。早苗は「よし」と声に出して勢い良く立ち上がった。

「明日は天気が良さそうだからディスカウントショップまで自転車を飛ばしてヘアカラーを購入だ」

「家で染めるならショートカットだな」

早苗はミュージカルのようにステップを踏んで台詞のように言って気分を高めた。

 土曜日の夕方、早苗は圭太に手伝ってもらって風呂場で毛染めをしている。

「自慢のストレートヘアだろ。そんなことまでしなくても良いのに」

圭太が後ろから話し掛ける。

「無理してないって。自分で染めても美容院でやっても出来映えは同じだから。世間話をするために高い料金を払うなんてもったいないよ」

 白髪の多い頭頂部はどんなに鏡の角度を変えても自分では見えない。圭太は両手にビニール手袋をはめて、独特の鼻を刺す匂いに顔をしかめながらも早苗の毛髪に2色の溶剤を丁寧に擦り込んで行く。

「1年で数万円、10年で数十万円。こんな節約術はそうないよ。これからも毎月手伝ってね」

「はいはい」


 朝からの雨も昼過ぎには止んだのだが、どんよりと重たげな暗雲が空一面を覆っている。この時期としては肌寒く、昼間とは思えないほど薄暗い。

 リビングでは圭太が録画しておいたサッカーの試合を観ている。勝敗はもちろん試合展開もスポーツニュースや新聞で確認済みである。

「行けー、上がれ上がれ、いやそこから回り込め」

「何で右サイドに行かないんだよ。がら空きじゃないかよ」

普段は温厚な圭太も好きなサッカーを観戦する時は人が変わったように熱くなる。圭太は度々不思議がる早苗に語って聞かせる。

「試合結果が知りたい訳ではないんだよ。サッカーというスポーツそのものを観て楽しみたいんだ。世界中すべてのチームと選手のファンだから」

テーブルに置いたホットコーヒーからの湯気は既になくなり、表面には埃が浮いている。

 早苗はリビングに入る際にドアを開けて左側にあるスイッチをオフにした。サッカーに夢中になっていた圭太も倒れ込んだ選手の応急手当による中断により、ようやくリビングの違和感に気付いた。

「何で電気を消したの。暗くてテレビが観にくいよ」

「だってお昼だよ。部屋の電気は消すって大改革に書いてあるでしょ」

今日は薄暗いからと反論する圭太に早苗は優しく諭す。

「馴れの問題よ。リビングに入って来た私には眩し過ぎたわ。新聞を読んでいる訳じゃないんだから、節約のために我慢してね」

どれくらいの節約になるんだよと圭太はぶつぶつ文句を言っている。

「ありがとう」

 早苗は大改革を始めてから意識して“ありがとう”と感謝の言葉を言うようにしている。節約を煩がられるのは覚悟の上だが、実行には家族の協力が欠かせないので家庭内がぎすぎすしないように気を配っている。

「そろそろマヨネーズがなくなりそうなんだけど、貰える当てはないかな。最近は特売が減って高いのよ」

「いいよ。展示会が来週あるから業務用のどでかいやつを貰ってやるよ」

「うわー嬉しい。ありがとう、助かる。あとかつお節とかもお願い出来るかな」

「はいはい、お任せください」


 キッチンのごみ箱を覗き込んだ早苗はマヨネーズのボトルを手荒く取り出し、ダイニングテーブルでお好み焼きを食べているゆかりを睨み付けた。

「だめだめ」

荒々しい言葉をぐっと飲み込んで頭の中でゆっくりと3秒数える。

「いち、にい、さん」

最近早苗が覚えたアンガーコントロールというやつだ。怒りの塊が霧のようなもやもやに昇華し、程なく消えてなくなることが実感出来る。

「ユカ。マヨネーズを間違ってごみ箱に落としちゃったの?」

われながら気の利いた表現が言えたと早苗は内心ほくそ笑む。

「ママ何言ってるの。もう空っぽになったから捨てたのよ」

「これが空っぽ?」

「いくら節約だからって、“エアー”マヨネーズでお好み焼きを食べろなんて言わないでね」

 テーブルには圭太が昨日持ち帰った業務用の大きなマヨネーズが置いてある。今日の夕飯は子供達の大好きなお好み焼きにした。ソースとマヨネーズをたっぷりと載せて食べるのがゆかりのお気に入りだ。塾があるのでゆかりだけ先に食べている。

 普段は大人しくて気持ちの優しいゆかりだが、先程の物言いには早苗に対して僅かだが皮肉めいた響きがあった。節約には家族が一致団結して取り組まなければならない。ゆかりは節約に協力するとは言いながらも、心のどこかで節約を軽んじているのかも知れない。家族の理解がなければ、一人一人が自主的に節約を実行しなければ、効果は限定的になる。

 早苗は改めてゆかりに節約の大切さを、いやそもそも食べ物を大切にするということを丁寧に教えようと思った。

「ユカ、いい?よく見てて」

早苗はマヨネーズのボトルの底を持ち、スナップを効かせ、素早く上下にボトルを振る。ばさばさ、ぽこぽこと賑やかな音を立て、ボトルの底や側面にへばり付いていたマヨネーズが少しずつキャップの方に寄って行く。

「ママ、凄い」

「まだまだよ」

 今度はキャップを外し、中に空気を入れるようにボトルの形を整えながら膨らませる。

「これで良しと」

早苗は前傾姿勢をとって両手でボトルを持ち、キャップを下にして慎重にボトルをテーブルに立てた。

「このまま置いておけばマヨネーズがキャップの近くに集まって来るから」

 早苗はキッチンに戻り、ゆかりは食事を続ける。目の前に立てられているマヨネーズのボトルを、いやボトルの中のマヨネーズの固まりを眺めながらゆかりは口を動かしている。

「どう?」

「まだまだ」

ゆかりはお好み焼きを食べ終え、グラスの氷水を一息で半分ほど飲んだ。席は立たずに目の前の小さなドラマを凝視し続けている。ゆかりは早苗を真似て、ボトルの底を持って勢いよく振ってみた。マヨネーズはかなりキャップに近付いた。

「遠心力ってやつか」

「何か言った?」

「何も」

「まだ?」

「もう少し」

残りの水を飲み干し、立ち上がったゆかりは渾身の力でボトルを繰り返し振ってみた。ゆかりの目が大きく見開かれた。

「ママ見て、たくさん集まったよ」

早苗はぱたぱたとスリッパを鳴らしながらテーブルに駆けて来る。

「ほら、まだこんなにあるじゃない。もったいない、もったいない。食べ物は大切にしようね」

「うん」

ゆかりの笑顔には皮肉の欠片も微塵もない。


 青木家長男の一真は大学一年生。いわゆる“非の打ち所がない”と言っても決して過ぎることのない好青年である。小学生の頃から成績優秀でありスポーツは何でもハイレベルで出来た。そして両親の良い所だけを取ってさらに磨き上げたような爽やかなイケメンと来ている。歳の離れた妹のゆかりをとにかく可愛がったので、今でも変わらずに可愛がっているが、そのせいかどうか誰に対してもフレンドリーで包み込むように優しい。

 当然モテモテと思いきや、いや余りにもモテモテ過ぎて、中学・高校とも女子生徒の間で“抜け駆け禁止”との話し合いがなされたので、本人も特に不満もなく、一真は誰とも交際が出来なかった。登下校には交代で“警護”が付いたので、一真親衛隊と自ら称していたのだが、完全ガードで他校生もおいそれと近寄れなかった。

 圭太と早苗の遺伝子では、どんなに濃縮しようが培養しようが、一真のような完璧な子は生まれるはずがない。

「トンビが鷹を産むとかかな」

「せめて藍より青しと言おうよ」

 一真は勉強もスポーツも人並みの努力しかしていない。両親が教育したり、指導や助言、ましてや言動を注意したことは一度もない。かつて妹のゆかりが一真にずばりと質問したことがあった。

「マー兄ィは、どうしてそんなに完璧な人間なの?」

「完璧な人間ではないけど、ただ人の真似をしているだけだよ」

「人の真似って、何それ」

 一真が言うには、漫画でも小説でも、ドラマや映画でも、とにかくかっこいい人、憧れる人、こんな人になりたいと思う人の真似をしているだけとのこと。

「別に顔や声を真似る訳ではないんだから、簡単だよ。誰にでも出来るよ」

「でも主役が不良で喧嘩ばかりしていて、それでもかっこいい人とかもいるよ」

ゆかりは最近流行りのテレビドラマで話題になっている人気俳優の名前をあげた。

「そんな生き方ってかっこいいとは思わないよ」

「いつも良い人でいるのって疲れたりしないの?」

「ぜんぜん」

一真の資質は持って生まれたもの、そして突然変異と言わざるを得ない。これが家族、一真を除いた3人の結論である。

 ゼミ旅行を2週間後に控え、一真にとって初めての海外なので、旅行費用以外にも何かと出費が伴う。

「スーツケースが欲しいんだけど無理かな」

「パパのじゃだめなの?」

「あれだと大き過ぎて」

韓国に3泊4日なので荷物は少なく、機内持込サイズが良いと言う。10年以上前に圭太に海外出張があり、その時に買った大きくて古いタイプのスーツケースしかない。

「大は小を兼ねる。この先も海外出張があるかも知れないから、大きいのを買っておこう」

その後圭太に海外出張の機会はなく、大きなスーツケースが狭い収納スペースを占領することになった。

「中古品でも良いよ」

「俺もまた海外出張があるかも知れないから、良いのを買っておこうよ」

結局、一真が短期のバイトをすることにして、イベントの警備をちょうど募集していたので、最新のスーツケースを買うことにした。

「そう言えば一真はバイトしたことがなかったね」

早苗は一真がこれからもバイトをしてくれたら、それで自分の欲しい物を買ってくれたら、家計には大助かりだと今更ながら気付いたのだ。何とも迂闊な話である。いやそれでも早苗自身が働こうとは思わないのが不思議だ。


 青木家収支大改革は、家族が協力して取り組んだものの、今のところ成果はない。収入は変わらず、支出ばかりが増え、節約出来る額はわずかであるのだから、当然と言えば当然である。大改革とは名ばかりで、結局は節約と賢い買い物程度であったようだ。

 早苗は温めていた第二弾の改革を実行する時がいよいよ来たと、家族会議を開催して発表した。前回のような前向きな明るさはなく、後がないと鬼気迫るものが早苗の表情にも表れている。それもそのはず、月々の支出は収入を大きく上回り、夏冬の賞与でもカバーし切れない。貯蓄は既に使い切り、まさかの時の早苗のへそくりにも手を付け始めている。生活が立ち行かなくなることは明白で、いや時間の問題である。

 早苗は厳かに家族会議を始め、青木家の家計が破綻寸前であることを具体的な数字を交えて説明した。

「ということで、青木家収支大改革の第二弾を実行に移したいと思います。まずはじめに」

「ちょっと待って」

圭太は右手を軽く上げて早苗に発言の許可を求めた。

「私の改革案を聞いてからにしてもらっても良い?」

「いや根本的な質問だから今させてくれないか」

「根本的?じゃあ良いわ、どうぞ」

圭太は軽く咳払いをし、お茶で喉を潤してからゆっくりと語り出した。

「会社にはわが家と同じくらいの収入で暮らしてる人はたくさんいる。4人家族もいれば5人家族だっている。東京で家を買ったり、車を定期的に買い替えているやつもいる」

「それは単純に比較出来ないと思うわ。実家が裕福な人もいるだろうし、それに」

「まあ聞いてくれ。そんなことは俺だって分かってるよ」

 圭太はお茶を飲もうとしたが、グラスが空になっていたので、冷蔵庫からポットを持って来てこぽこぽと冷たいお茶を注ぎ入れた。早苗や子供達のコップにも継ぎ足しながら、話を続けた。

「うちの会社の給料は悪くない。むしろ良い方だ。地域限定社員の年収が上場している食品メーカーの平均と同じくらいだと言われているんだ」

早苗には初めて聞く話である。

「大手企業の平均的な収入なんだから、普通に暮らしていれば生活に困るはずはないんだ」

「つまりわが家は世間より贅沢な暮らしをしているということ?」

「そういうことになるのかな」

「そんな実感はないけどなあ。それに大改革を始めてからは、いろいろ節約しているよ」

「ママを責めてる訳じゃないよ」

 圭太はお茶で唇を濡らすかのように、少しグラスを傾けただけで直ぐにまたテーブルに置いた。

「この家は親の援助があったから広い間取の部屋を買えたけど、その分管理費や修繕積立金の負担は大きいんだ。占有面積に比例するからね」

圭太は他に、既に手放してはいるが以前所有していた車を例にあげた。一番高いグレードを購入したのは、単なる見栄、見た目の違いはエンブレムがゴールドであるだけだったらしい。早苗は車の知識が皆無ないので、全てを車好きの圭太に任せていた。装備の差はあるが、売れ筋のグレードより30万円も高かったと言うのだ。

「そんな装備はほとんど使わなかったよ」

 それまで両親の会話を黙って聞いていた一真が口を開いた。

「それならゼミ旅行の話をした時、沖縄に5万円足すだけで韓国に行けるなんて言ったのは、浪費家の典型だね。家計のことを考えずにごめんなさい」

ゆかりも意を決して発言した。

「私はそういうことがあったのか分からないけど、これからは贅沢にならないようにします」

「そうだよ。過去のことはどうしょうもないから。これからどう賢い出費をするか、皆んなで考えようよ」


 昨日の家族会議で決めた主な改革案は次の通りであった。まず早苗は遂にパートで働くことを決心した。早苗の古い友人が経営しているイタリアンレストランで午前10時から午後2時まで、簡単な仕込みとレジ係をすることにした。平日の週3日だけなので家事に支障はない。以前から手伝って欲しいと頼まれていたので、友人に連絡したら明日からでも来て欲しいとのことであった。これで月に6万円程の収入になる。

 また一真もバイトをしてお小遣いは家計から支出しないようにする。欲しい物は自分の働いたお金で出来るだけ買うと言うのだ。

「授業や成績に影響が出ないか心配だわ」

「大丈夫だよ。家庭教師を2軒掛け持ちでやろうと思うんだ。中学生と高校生。学生課に募集が出てたから明日早速申し込むよ」

一真のバイト代は6万円程になるようだが、家計は少なくとも3万円が助かることになる。

 毎月の家計は単純に9万円程の改善となり、収入の範囲内での生活をした上で、久し振りの貯蓄も出来そうである。先々のために貯蓄は必要で、節約生活は手を緩めず更に徹底しなければならない。早苗は家計簿の1ページ目から順にページを繰りながら、どこを削ろうか、無駄はないかと目を光らせている。早苗のスマホがピコンと鳴り、圭太からのラインが来たことを知らせた。仕事中に圭太から連絡が来る事は珍しい。何か嫌な知らせではないだろうかと、早苗はドキドキしながら画面を開いた。

「来月から俺、所長代理だって」

「圭太ぁ」

一真が物心ついてから、圭太をパパと呼んでいたのだが、何故か久し振りに名前で呼び、早苗は声に出してわんわんと泣き出した。

「給料が増えるからじゃないよ、昇格したことが嬉しくて泣いているんだよ。おめでとう、圭太ぁ」

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