第1章 楽しい学園生活の始まりが、実は波乱の予感?!

-第1話-


 高等部1年生になってから初めて迎えた秋。11月22日のお昼休み。

 

 ミリターニャはようやくアデリアーナを見つけて挨拶した。


 「あの、私、こころからあなたに憧れて美を磨いてきました。宜しくお願いします」

 

 すると、返ってきた言葉は思いもよらないものだった。


 「ようやくあたしと同じステージで戦えるのね、この浮かれ者が!」

 

 いきなり罵られたミリターニャは走ってその場から逃げた。

 あんなに憧れていた人に、こころを傷つけられるなんて。

 あぁ、私は馬鹿なんだろうか。

 いや、そんなことはない。

 そもそも浮かれてなどいない。

 さらなる高みを目指しているだけだ。

 ただそれだけなのに。

 

 傷心のまま授業を終えたミリターニャは、寮の隣室のニーナに会いに行った。

 ニーナの心配そうな表情を見てすぐに抱きついて泣いた。

 

「恥晒しなのはアデリアーナのほうよ。あんな性格の汚い女がぺーラ領主の血の繋がった娘なんて信じられない!!

もう憧れなんか抱かなくて良くない? ターニャなりの美を追求して、アデリアーナからモデルの仕事奪っちゃえばいいのよ」


「ありがとう、ニーナ。心の友よ……」


  ミリターニャはニーナから少し離れた。


「私、他のモデルさんの美を参考にして頑張る。絶対私なりの美を追求してみせるわ!」

「その意気よ、ターニャ! 頑張って! 応援してる。だっていつだってターニャの味方だから」


 ミリターニャは気を取り直して自室に帰った。





 翌日の放課後、アデリアーニャとそのとりまきたちを見つけたミリターニャは、彼女たちに近寄って本心を言った。


「私は浮かれてなどいないし、むしろ高みを目指していますわ!」


 するとアデリアーニャはまたもや酷いことを吐き捨てるように言った。


「パパもよくこんな娘を私の妹として養子に迎え入れたわね。あなたはぺーラ領の恥晒しなの!! 美を追求したいだけなら好きなだけすればいいのよ」




 やはりまだまだアデリアーナに認めてもらえないミリターニャ。


 完全に嫌われてしまった以上お近づきになることを諦めたミリターニャは、寮の自室に帰ると伝書鳩が窓から飛んできた。


 机の上で伝書鳩がじっとしている間に足首にくくりつけられた手紙を解いて帰した。


 伝書鳩の足首にくくりつけられた手紙の主は、まさかのフレデリコ。しかも、デートの誘いの手紙だったのである。

 

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