ゴブリン

剣閃。命を絶つための刃がぶつかり合う。皮膚一枚かすめとられたくらいでは、その刃の鋭さが鈍ることはない。相手の首を絶ちきるまで。心の臓を貫くまで。月夜に照らされる剣の煌めきは、冷たく夜風を切り裂く。


何合目の打ち合いだろうか、ついに、片方の刃が軌道をずらされ、大きな隙を生じた。そして、もう片方の刃が、首を深々と突き刺した。なけなしの皮一枚で繋がっているだろう首の持ち主は、かっと目を見開き、力が少しずつ抜け、崩れ落ちた。


月明かりに滴る雫は、神々しくも見える。


残された方は、倒れた体から、ペンダントだろうか、いくつかの品物を奪い、しばらく地をなめる体を眺めていた。


ようやく時が動いたかのように、さっと、露ばらいをして、納められた剣は、持ち主と共に、どこかへ去っていった。


その様子を、草影からずっと見ていたものがいる。

一匹のゴブリンが、おどおどと、草影から身を出してきた。


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