潜入

人の影はない。装填を確認し、グリップを確かめる。柱から飛び出し、足早に次の柱へ。身を隠しながら、物陰に注意しながら進む。


階段にさしかかると、とびかかってくる影が、脇目に映る。後退し、そばの壁に身を隠す。通路から頭を出した瞬間、風穴を空けてやる。


出てくる気配がない。


ゆっくりと確認すると、ビニール袋がぶら下がっていた。


肩透かしだが、気をぬくわけにはいかない。


階段を上る。上方、下方に気を配り、挟み撃ちなどにならないように。


上階には、明かりがあるようだ。ランプか。ほんのりとしたオレンジが、壁の一部を染めている。


標的は近い。


一呼吸して、自らを整える。


さあ、クライマックスだ。

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