2.幸せな結末のために




 ある日、わたしたちの庭に春が芽吹いた。

 それは暖かくて、愛らしくて、ずっと待ち望んでいた大切な春だ。

 ひとりで静かに空を眺めていた秋の庭の王子様は、春の訪れにようやく表情を綻ばせて、春の庭のお姫様の手を取った。


 王子様はずっと、ずっと待っていたのだ。


 そのままの自分を愛してくれる、美しく彩ってくれる愛すべきお姫様が現れるのを。

 わたしは実は、それまで秋の庭の王子様がほんの少しだけ苦手だった。何ひとつ望まない、期待しないその冷ややかな瞳に凍えてしまいそうで、恐ろしかったのだ。

 けれどお姫様を庭に迎えた王子様は、今までに見たことのない、これ以上ないくらいに幸せそうな表情をしていた。


 王子様を目覚めさせたのは、暑い夏でも厳しい冬でもなく、穏やかな春だったのだ。


 わたしはそれがとても嬉しくて、春のお姫様にお礼を言おうと思った。

 あんなに可愛らしくて優しい、愛すべきお姫様。初めて出会った瞬間駆け寄って跪いた夏の庭の騎士に、彼女は困ったような笑顔をくれた。

 そんなわけでわたしは、すぐにお姫様を大好きになってしまったのである。




「蛍乃佳ー、部室鍵閉めるよー!!」


「はーい!」



 廊下の向こうから先輩の声が飛んできて、わたしは大声で返事をした。

 吹奏楽部の部活の時間が終わり、そのあとの自主練習も終わった夕方。

 吹部は決められた部活時間が終わったあとも自主練習のために部室が解放されていて、それも終わったあとは生徒で施錠し鍵を職員室に返すことになっている。

 季節は秋から冬に移り始め、外も暗くなるのが早くなってきた。

 吹部が部室としてあてられているのは校舎別棟の一角で、教室数もそこそこあるので、早めに片付け始めないと日が落ちて先生が帰ってしまうのだ。


 吹部は文化部にしては活動時間が長くて、運動部のようにハードだというのが生徒の間での一般的な認識だと思う。

 そして少し前まで、校内は学校祭期間で生徒みんな慌ただしくしていた。

 吹部も、学校祭当日は開幕式でファンファーレとテーマソングの演奏があったから、練習のために直前ぎりぎりまで部活が入っていたし。他の部活は直前になると軒並みオフになるけど、学校祭中に役割を持つ部活はそうもいかないのだ。

 写真部なら全体を通しての記念写真の撮影、放送局なら放送機器の管理や場内アナウンス、動画撮影、記念ムービーの編集。それから、なゆちゃんのいる生徒会は全体の統括の他に生徒会企画の進行もあったから、なゆちゃんも期間中はとても忙しそうだった。

 わたしたちは帰宅時間が合わないことも多いし、大抵ばらばらに帰っていた。


 そうしてわたしが今日みたいに部活を終えて下校しようとした学校祭期間中のある日、わたしは玄関先で唯春せんぱいと出くわしたことがあった。






『──……もしかして、唯春せんぱい?!』



 よく知った後ろ姿を見つけて声をかけると、振り返った唯春せんぱいがぱっと表情を明るくして微笑んだ。


『蛍乃佳ちゃん』


 せんぱいは部活はしていないし、図書委員も遅くまで残るほどの仕事は特になかったはずだから、駆け寄って聞いてみる。


『せんぱい、珍しいですね?! どうしたんですか、学校祭準備とか?』


『うん……実はね、演劇部に、行ってて』


 唯春せんぱいは可愛い。大好きだ。

 この時間に会えると思っていなかった。嬉しくてぐっと近付いて、照れたように話すその声を聞いた。


『演劇部ですか? ……せんぱい、演劇部に入ったんですか?!』


『ううん、違うんだ。演劇部の公演で、ひとり出られなくなってしまったみたいで、ぼくが助っ人で代役をすることになって』


 そういえば薫ちゃんが、演劇部の部長さんが入院してしまったという話をしていた気がする。

 まさか。──それなら代役というのは、部長さんが務めるはずだった主役の、ということになる。


『わあ……素敵です!! 何の役ですか?! わたし、絶対見に行かなくちゃ!!』


『ふふ』


 胸がどきどきしてきた。

 唯春せんぱいなら絶対、絶対素敵に決まっている。誰よりも可愛くて、誰よりも綺麗に決まっている。わたしの大好きなせんぱいだ。やっぱりせんぱいは、すごい。


『かぐや姫の、お姫様……。らしくないよね、ぼくも、すごく不安なんだ。本当は断ろうかと思って、けど、台本を見せてもらったら、やってみたいな、って……』


『すっごくいいと思います!! 千秋ちゃんには言いましたか?! 絶対可愛いです、千秋ちゃんもメロメロですよ!』


 絶対絶対、やめちゃだめだ。

 唯春せんぱいがやりたいなら、わたしはそれを応援したかった。それに何より、彼女にお姫様の役はすごく似合うと思ったから。

 わたしが必死で言葉を繋ぐのを、唯春せんぱいは嬉しそうに、どこかほっとしたように聞いて、それから小さく笑った。


『そうかな? 千秋くんも、いいって言ってくれるかな』


『はい!!』


 千秋ちゃんは唯春せんぱいを独り占めしたい人だから、もしかしたら少し困ってしまうかもしれないけど。

 それでも、唯春せんぱいがやりたいことにだめだと言ったりはしないはずだ。

 こんなにせんぱいが楽しそうなのだ。

 諦めるなんて、そんなのはだめ。

 瞳の奥に滲んでいた強い不安は、わたしが言葉を尽くすにつれてどんどん薄くなっていった。


『うん。──頑張らなくちゃ』


 確信。決心したようにひとつ頷いて、唯春せんぱいが表情を和らげる。

 きっと唯春せんぱいは、やりたいことをやりたいと言うのが少しだけ苦手なんだと思う。いつも少しだけ躊躇いが滲んで、まず先に相手に許可を求めるような仕草をするから。それで少しでも渋られると一気に身を引いて、抱きしめていた大切な想いを自分からごみ箱に投げ込んでしまう。

 でも最近は、少しだけ、そんなせんぱいの表情が変わった。


 きっとそれは、千秋ちゃんがせんぱいを抱きしめているから。


 千秋ちゃんが唯春せんぱいにだめだと言ったところを、わたしは一度も見たことがない。

 もちろん何か良くないことや危ないこと、譲れないことに関しては簡単に頷かないけれど、それでも千秋ちゃんは唯春せんぱいの話を最後までちゃんと聞いて、否定せずに抱きしめてあげるのだ。



『……ぼくね。ずっと、お姫様になりたかったんだ』



 ぽつり、ふいに唯春せんぱいが小さな声で呟いた。


『小さい頃の話だよ? 御伽噺を見てね、ぼくにもいつか、ぼくだけを深く愛してくれる王子様が現れないかなって』


 あぁ、彼女も、ずっと待っていたのだ。

 そして唯春せんぱいは、この場所で千秋ちゃんと出会った。

 それはまるで、緻密に編まれた物語の糸を手繰り寄せるように。運命の針が、ぴったりとお互いを指し示すように。


『それで、千秋ちゃんが現れたんですね!』


『うん。千秋くんは、ぼくの王子様なんだ。すごく格好よくて、可愛くて……大好きな、ぼくだけの王子様』


 せんぱいの全身から、強い愛情が滲む。

 匂い立つ美しい春のお姫様に、夏の騎士は跪き、冬の魔法使いは敬意を表した。

 ずっと独りだったわたしたちの大切な秋が、ようやく顔を上げて笑ってくれたから。こんなに深く、秋を愛してくれたから。


 なゆちゃんが言っていた。

 唯春せんぱいと付き合ってからの千秋ちゃんは、どこか角が取れて丸くなったようだと。前よりも人間らしくなったと。

 なゆちゃんもずっと、千秋ちゃんのことが心配だったみたいだから。

 高校からまたこっちに戻ってきた時、なゆちゃんは”千秋が変わった”と言っていた。私もそう思う。千秋ちゃんはきっと、ずっと無理をしていた。

 そして長い時間を共にしておきながら、わたしたちはずっと、千秋ちゃんをひとりにしていたのだ。

 彼女はきっと、わたしたちが謝っても何でもないような顔をして笑うんだろう。──何、急に? そんなの全然考えたこともなかったけど。……多分千秋ちゃんなら、そうやって苦笑する。

 そういう人だ。

 分かりにくいけど、千秋ちゃんは優しい。



『唯春せんぱい。──千秋ちゃんのところにきてくれて、ありがとうございます』



 ふたりが引き離される日は、来ない。

 御伽噺のエンディングが、めでたしめでたしで終わるように。

 ふたりにとってきっと、”一緒にいること”以外に大した価値はないんだと思う。だからもしふたりのことを否定する人がいたら、ふたりはその人のことを容赦なく切り捨ててしまう。そうして、しまえる。

 物語の最後、お姫様と王子様が手を取り合って微笑むように。


 でもわたしは、その結末に待ったをかけたいのだ。


 わたしはその時、そばで幸せを祝う人でありたい。ふたりを支えられる人でありたい。物語が心の底からのハッピーエンドで終わらなかったら、騎士は、魔法使いはどうやって幸せになればいいんだろうか。

 千秋ちゃんと唯春せんぱいは、時々危うい。きっともうお互いがお互いの一部だから、切り離したら血が出て、痛くて、死んでしまうのだと思う。


 それでも、



『ふふ。あきくんは、ぼくだけのものだから。どこにいても、どんな姿をしていても必ずぼくたちは出会うんだ。

 ぼく以外との幸せなんて絶対にありえない。ぼくが、あきくんを幸せにするの』



 ふたりはきっと痛みさえ、幸福の一部分にしてしまえるのだ。

 それはなんて危険で、献身的な愛なのだろう。わたしの知るそれとは違う、触れたら切れてしまいそうなほどに鋭い愛。


『──あれ、いはるちゃん? 蛍乃佳ちゃんも! どうしたの、こんなところで?』


 と、靴を履いて出てきたらしい霞せんぱいがわたしたちを見つけて駆け寄ってきた。

 霞せんぱいは演劇部の副部長だから、きっとやることが多くて遅くなってしまったのだろう。……けど、それならわたしたちは、それだけ長い時間こうして玄関先で話してしまっていたことになる。


『あ!!! 唯春せんぱい、ごめんなさい! わたし、お話できるの嬉しくて!! もう帰りますよね、ごめんなさい!』


 引き止めすぎてしまった。せんぱいはどうやって帰るんだろう。時間は大丈夫だろうか。せんぱいは可愛いから、あんまり遅くなると変な奴に狙われてしまう。

 わたしが慌てだすのを、唯春せんぱいは楽しそうに見つめて、それから首をふるふると横に振った。


『ううん、大丈夫。ぼくも楽しかったから。実はこの後、お母さんが迎えに来てくれることになってるんだ。蛍乃佳ちゃんは?』


『わたしは、家が近いので!』


『そっか。気をつけてね』


『はい!!』


 唯春せんぱいが霞せんぱいと話し始めたから、わたしはそっと離れて帰る準備を始めた。

 ふたりはお友達同士だし、演劇部の公演の関係でも話すことがあるみたいだから。わたしはそろそろ帰った方がいいだろう。

 そうしてわたしがカバンを持ち直して小走りで数歩離れたところで、後ろから引き止める声が届いた。



『蛍乃佳ちゃん!』



 唯春せんぱいだ。

 心がざわめく。これは何だろうか。強い緊張と、恐れと、それから……喜び、感謝。


『長い時間引き止めちゃってごめんね。あの……、ありがとう!!』


 あぁ、本当に愛らしい、わたしたちのお姫様。

 両手をぎゅっと握りしめ、目を赤くしながら唯春せんぱいが言った。わたしは心の底からあふれ出す感情のまま、大きく息を吸い込む。


『いいえ! 公演、楽しみにしてます!!』


 こんなにも愛おしいのに、どうして彼女は愛されてこなかったんだろうか。何が彼女を、ここまで自己否定させるんだろう。みんな見る目がない。彼女はこんなに、愛されて当然のひとなのに。

 そうして彼女がずっと守ってきた心の中の空っぽのコップに、きっと今は千秋ちゃんが溢れるほどの愛を注いでいるのだ。


『……っ、』


 あぁ、耐えられない。

 わたしは走ってせんぱいのもとまで戻り、そのままぎゅっと抱きついた。

 大好き。大好きな、唯春せんぱい。


『わっ! ……ふふ、どうしたの?』


 千秋ちゃんにまた怒られてしまう。

 けど、わたしだって唯春せんぱいが大好きなのだ。すりすりと擦り寄ると、せんぱいは優しく頭を撫でてくれる。


『唯春せんぱいなら、絶対絶対、大丈夫です!! あっ、心配なら千秋ちゃんも一緒に参加すればいいじゃないですか! ね!』


『でも、』


『それ、いいかも。千秋ちゃん、目立つのはあまり好きじゃないんだっけ? なら見学とか、軽いお手伝いなら平気そうかな』


 多分始めは面倒がると思うけど、唯春せんぱいがお願いしたら頷いてくれるだろう。だって千秋ちゃんは、優しいから。


 その後、わたしと霞せんぱいで色々今後の作戦を練って、申し訳なさそうにする唯春せんぱいを一生懸命説得して、唯春せんぱいのお母さんが学校に着いたところでみんな解散になった。




 そして、学校祭本番。


 わたしは開幕式での演奏の準備、なゆちゃんは生徒会の仕事がそれぞれ朝から入っていたから、始まる前の時間はあまりわくわくに浸る余裕もなく走り回っていた。

 やがて、吹部のファンファーレで学校祭が開幕。

 なゆちゃんはそのまま生徒会企画の進行に入って、わたしは片付けを済ませ一足先に学校祭の展示巡りに入った。

 一緒に歩いていたのは、薫ちゃんと、そのお友達の雨田響ちゃんだ。響ちゃんは言葉が強くて、少しだけ怖くて、けどいちばん薫ちゃんにとって気兼ねない人。


 わたしが唯春せんぱいのシフトを聞いていたから、みんなで唯春せんぱいのクラスのカフェに遊びに行ったりもした。

 ポニーテールの唯春せんぱいもすごく可愛くて、ワッフルを出してくれる手つきが慣れていて格好よくて、薫ちゃんの無茶ぶりにもばっちり応えてくれる。

 そうして唯春せんぱいがにっこり笑ってくれた瞬間、きゃあっと歓声が起こったのだ。薫ちゃんは『もう思い残したことはない』と倒れそうになって、響ちゃんはその首根っこを掴みながら静かに涙を流して、わたしは慌て出す唯春せんぱいのフォローに入った。


 唯春せんぱいは楽しそうだった。

 だからわたしは、安心していたのだ。


 ──けど。




 それは唯春せんぱいに『行きます』と約束した、午後一番の演劇部の公演。


『ほの』


 隣に座ったなゆちゃんと強く手を握って、舞台上をまっすぐ見つめた。


 痛い。──痛い。

 こんなにも、胸が、痛い。


 望まない結婚を強制されそうになったお姫様が、喉の奥からあふれさせたもの。それは、全てを捨ててまで切望する、ただひとつだけの愛だ。

 強く強く伝わってくるのは、寂しさ、苦しさ、恋慕、そして希死。


 どうして結ばれてはいけなかったの。

 どうして、”わたしたち”でなくてはいけなかったの。

 どうして。……どうして。


『ほの、大丈夫? 出ようか?』


 なゆちゃんがわたしの目もとを拭いてくれながら聞くのに、わたしは首を横へ振った。

 せんぱいに、応援しに行きますと言った。だからきっと、わたしが途中でいなくなったらせんぱいを悲しませてしまう。


『だいじょうぶ』


 強く手を握った。

 わたしは彼女じゃない。わたしはわたしで、わたしにはなゆちゃんがいる。彼女の悲しみは彼女だけのものだ。大丈夫。

 なゆちゃんの指が、優しくわたしの手を撫でた。それだけでひどく安心してしまって、わたしはその手のひらの温度を感じながら、静かに泣いた。


 やがて、お姫様は愛する王子様と悲願の再会を果たした。

 迎えに来た王子様に縋りながら涙を流すお姫様を見て、わたしの涙腺もとうとう決壊してしまった。

 きっとずっと、ずっと待っていたのだ。

 他の全てがどうでも良くなってしまうほどに追い詰められて、許されなくて、それでも手放すことができなかった。

 だって既に、お互いがお互いの一部になってしまっていたから。だから別れは体を切り離すようなむごい痛みを帯びて、最後ふたりは悲しい結末を”ハッピーエンド”に選んでしまった。


 お姫様を引き止める夫婦の声が、いっそう悲しく舞台上に響いた。

 けれど王子様とお姫様は、それに不釣り合いなほどに幸せそうな表情のまま、ふたり手を取り合って舞台を降りていった。




 演劇部の公演が終わったあと、わたしたちはすぐに体育館を出た。

 なゆちゃんが先生に頼んでくれて、荷物を置いている控え室の鍵が開けてもらえることになったので、ふたりでそこへ逃げ込む。


『ほの、大丈夫。もう終わったよ。大丈夫、大丈夫』


 抱きしめてくれるなゆちゃんの温度が、暖かい。

 その唇がわたしの唇へ宥めるように触れて、少しだけしょっぱい味がした。

 ──あぁ、安心する。

 なゆちゃんはきっと、きっとわたしを離さない。わたしと一緒に戦ってくれると言った。わたしが不安な時は、こうして手を繋いでいてくれる。

 世界一大好きな、わたしの凪雪。


『ほの、ごめん。私はきっと、何かあってもほのの死は願えない。それでもいい?』


『うん、大丈夫。わたしは、なゆちゃんと生きていたい』


 わたしは、太陽なんて明るい存在にはなれない。それはささやかな光で、決して強くはなくて、気付けばふっと力を失ってしまうかもしれない。けど、



『好き。大好き。なゆちゃん、大好き』



『私も。私も大好きだよ、ほの』



 この想いはきっと、鮮やかに記憶に残る美しい輝きを放つだろう。

 こんなにも胸が踊って、こんなにも心を揺さぶられるのだ。そんな感情が悪だなんて、そんなの絶対にありえない。

 なゆちゃんの手が優しく頭を撫でて、それから何回かキスを重ねた。


 なゆちゃんが教えてくれた、わたしだけの幸せな感覚。ぽわぽわと胸があたたかくて、嬉しくて、つい笑ってしまう。


『唯春せんぱいと千秋ちゃんに会ったら、また、泣いちゃいそう』


『泣いたらいいよ。ほのを泣かせるあの人たちが悪いんだから』


 ふたりは、周りに味方なんていないと思ってるのかもしれないけど。

 ここに、わたしとなゆちゃんがいるのだ。

 ふたりがそれを忘れて悲しい結末を選ぼうとしたら、わたしは全身で止めにいく。たくさん怒って、目の前で泣きわめいてやる。


 そう、決めた。



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