第4話 デート決行
週末、土曜日午前。
予報の通り、天気は晴れ。夏本番で気温が高いのが心配点ではあるものの、今回はショッピングモールをメインに据えたので適度に休憩を取れば問題ないだろう。
金曜日のうちに一応最終確認はしたものの、当日朝も先輩に一応連絡をして、今日のお出掛けを予定通り決行することを確認した。
目的地はファッション系のショップが多く集まる場所であり、今回は以前先輩から要望があった通り服選びを中心にモール内をぶらつくことになる。
普段あたしはこういった買い物は自分ひとりでさっさと済ませることが多いから、今回は先輩の希望を聞き合わせていく形でゆっくり見て歩くつもりだ。彼女の好みも聞きながら、合いそうなショップをあたしの方で事前に色々調べてみた。女性らしい系統の服が集まるようなブランドがいくつかあるのだ。そこを巡るつもりでいる。
着ていく服選びにも時間がかかった。
あれこれ持ち出しては悩み、置き、持って鏡の前に立ち熟考すること数刻。
最終的には、ロングジレとセンタープレスパンツを手に取って納得した。色合いはブラック、オフホワイト、それからカーキ。アクセサリーはゴールド系、デザインはごくシンプルなものを。そこに合わせるメイクはマットに、けれど厚すぎずナチュラルに見えるように。
……気合を入れすぎだろうか。変じゃないだろうか。一瞬正気に戻って、けど今日はあの美人と一日並んで歩くんだからと思い直し、自分にそう言い聞かせた。
待ち合わせは11時だ。そこから少し見て回り、昼を挟んで午後から大体5時くらいまでを目安にふたりで遊ぶことになっている。
「はー……」
今まだ、9時を過ぎたばかりなのだ。
待つ時間が長い。……いや、単にあたしの準備が早すぎただけなんだけど。
言葉にしようのない妙な緊張がずっと腹の辺りを這い回っていて、どうにも落ち着かなかった。意味もなくスマホを持ち、置き、手持ち無沙汰になってテーブルにあったチョコレートを手に取り口に放る。
「姉ちゃん今日デートだっけ」
「そう、先輩と買い物」
ソファにごろりと横たわった小学生の弟が、ゲームをしながら聞いてくるのに頷いた。
「ちゃんとエスコートしないと、駄目だよ」
「分かってるっての」
「姉ちゃんちょっと強いから、ちゃんと優しくしてあげないと嫌がられるよ」
「言われなくてもそうするし。てか、小学生のくせにませすぎなんだよお前は」
弟と軽口を叩きあっていると、いくらか気分が落ち着いてくる。
ブブ、とスマホが鳴った。
『今日、楽しみにしてる』
先輩だ。可愛らしい絵文字とともに送られてきたメッセージについ笑って、あたしもメッセージを返す。
『あたしもです』
それから無難なスタンプを押して、既読がついたのを確認しスマホを置いた。
時間が近付いてくる。
鏡の前で最終確認をして、時計を確認しつつ出掛ける準備をした。少し早めに着くようにしなくては。先輩を待たせるようなことだけは、ないようにしたいし。
「んじゃ、夕陽。行ってくる」
「行ってらっしゃーい」
弟の気の抜けたような返事に苦笑する。
今まで友達と出掛けたりした時も、こんなには緊張しなかったのに。胸を締めるような、このコントロール不能な感情の正体が分からなくて、尚更混乱してしまう。
でもまさか、弟に救われるとは思わなかった。
あたしの弟であり、あたしよりも大人びた茅岡家の末っ子だ。
「────……」
おかしい。
病気かもしれない。
駅で待ち合わせていた先輩と落ち合い、ふたりで色々話しながら目的地であるモールに到着したのが大体1時間前のこと。
あまり足が向かなくてこういうところを見て歩くのが初めてだという彼女は、少し不安そうにあたしの隣を歩いた。
あたしはよく来る方だから、任せてください、と声をかけて先輩の手を引いた。
彼女が目を留めたのは、比較的可愛らしい雰囲気の、けれどあまり子供っぽくない系統が揃えられたショップだった。ほんの一瞬だけ立ち止まった後に通り過ぎようとしたから、あたしが引き止めてそこへ入ったのだ。
そうして、中々手が伸びない様子の先輩を連れ、彼女が見ていたものやあたしが似合いそうだと思ったものを色々手に取り熟考すること小一時間。
あたしが選んだ服を着た先輩が、恐る恐る試着室から出てきたその瞬間、強い衝撃であたしの心臓は止まった。
「ね、千秋くん。似合ってる、かな……?」
白の甘めブラウスに、ベージュのチュールスカート。小物はベーシックカラーのものを。あたし自身こういう系統の服は触れたことがなかったから、先輩の意見もたくさん聞いて、宛てがい確かめ、これはと思ったものを彼女に持たせてとりあえず着てみてくださいと試着室へ押し込んだのだ。
店員さんが隣から、とてもよくお似合いですよ、と言ってくれるのにも反応できないまま、あたしは先輩に目を奪われてしまう。
「千秋くん……?」
心配そうな顔になった彼女が、あたしの顔を覗き込んで名前を呼んだ。
「いや……」
あぁ、心臓が痛い。
今日来た時の彼女は、白シャツにデニムというシンプルな服装をしていた。それには彼女らしいなとどこか納得したんだけど、やっぱり彼女には可愛らしい服装がとてもよく似合った。
本当にあたしと同じ人間なんだろうか。
ただでさえ美人な彼女は、こうして着飾ると言葉を失うほどに綺麗だった。
「凄え可愛い。めちゃくちゃ似合ってます」
これは購入で決まりだろう。
あたしが素直な感想を伝えると、先輩はみるみる間に顔を赤くしてしまった。
「そ……そうかな。可愛い? ぼく、」
普段はなかなか自分で手に取ったりしないんだろうけど、彼女はきっとこういった可愛らしい服が好きなんだと思う。見て歩いている時も、こうして着てみても、彼女はずっと普段よりほんの少しだけはしゃいでいるように見えたから。
不慣れにスカートをつまんでひらひらさせながら、彼女が頬を緩ませる。嬉しそうだ。
「えぇ。唯春先輩、可愛いです」
ありえないくらいに心臓が鳴っていて、うるさい。こうしてあたしが選んだ服を着て、可愛いという言葉に表情を崩して嬉しそうにする彼女がひどく愛おしかった。
これをあたしがさせているのだ。他の誰でもない、あたしだけが独り占めしている。
そういえば朝から、ずっとどこか落ち着かなくて変だった。
この感情になんて名前をつけたらいいんだろうか。もう誤魔化しようがないくらいに身体の中で暴れ回っていて、手が付けられないくらいに大きくなってしまっていた。
彼女が目元を微かに緩め、嬉しそうに服を眺めながら『これ、買おうかな』と呟く。それを見つめながら、あたしはぼんやりした思考のまま目の前にある丸い頭へ手を伸ばした。
「──……、」
着替えをして乱れた髪を指で梳いてやって、そっと頭を撫でる。髪が指を滑り、するんと跳ねた毛先はあたしの手を離れた。
「ちあき、く……?」
戸惑ったような彼女の表情。柔らかな感触をもう一度追って、その頭に触れた。
「ん……っ」
覚悟を決めたようにぎゅっと目を瞑って、彼女が頭を差し出してくる。
バクバクと心臓が鳴っていた。
目の前のこの愛おしい存在を、一体どうしてくれようか。先輩の頭を撫でているなんて、普通であれば失礼なことだ。けど彼女の表情は、どこか嬉しそうに緩んでいて。
「かわい」
先輩の綺麗な顔がこうして崩れるところが、好きだ。そしてそれは、あたしの手で、あたしの前だけでがいい。
ふとどこかから、『うわ美人』という声が耳に届いた。
「先輩」
彼女を試着室に入れて、カーテンを閉める。他の誰にも見せてはいけない。だってこれはあたしの、あたしだけのものだから。
「あたし以外にそんな可愛い顔見せたら、駄目すからね。妬きそう」
──あぁ、本当に駄目。
ぽろりと口からこぼれおちた言葉に、彼女はきゅうっと表情を甘くして小さく頷いた。
「うん。……わかった」
この感情の名前を。
この強い衝動の意味を。
あたしは今、ようやく掴んだ。
「先輩、もうそろそろお昼ですよね。お腹空きません? ご飯にしましょ」
先輩後輩なんて遠すぎる。友達じゃ物足りない。それよりももっと近くで、もっとその内側へ踏み込みたいのだ。
そしてその柔らかいところを、あたしだけのものにしたい。
「ん、そうだね。お腹空いたかも」
「よし。じゃ、そろそろ出ますか。──すみません、これ全部お会計で」
夏休みの間もコツコツバイトして、お金を貯めていてよかった。といっても、大して使う先がなかったというのはあるんだけど。
「千秋くん? 代金はぼくが、」
「いーえ。良かったら、あたしにプレゼントさせてください。それで……また一緒に出掛ける時とかに着てきてくれたら、嬉しいかな」
お会計を済ませて商品を受け取り、時計を見た。ちょうどいい時間帯だ。時間を忘れて昼を過ぎるようなことにならなくてよかった。
あたしはいいけど、先輩を我慢させるのは非常によくないから。
事前に話していた通りショッピングモール内にあるカフェへ向かうことにして、あたしたちは店を出た。
ショッパーを提げていたあたしの手を掴んで、先輩があたしを呼ぶ。
「ね、千秋くん。ぼくに、持たせてほしいな」
「そうすか?」
こくりと頷いた先輩にショッパーを手渡すと、先輩はそれを抱きしめてほうと息を吐いた。可愛い。どうやら気に入ってもらえたようだ。けれど彼女はしばらくじーっとあたしを見つめて、かと思えばそれから唇を尖らせてしまう。
「千秋くん、こなれてる? ぼく、全然余裕なくて……先輩なのに、」
「こなれてなんかいませんよ。でもまぁあたしなりに準備はしてきたんで、楽しんでもらえてるなら嬉しいですけど」
あたしの恋愛経験は、それほど多くない。
中学生の時に一度だけ彼氏ができて、それは告白されたから応じただけだったんだけど、いまいち相手にそういう感情が持てなくて数ヵ月後に別れてしまったのだ。
初めは『俺の事、好きじゃなくてもいいから!』などと言っていた男子が終わりにかけては『温度差を感じてつらい』と言い出してしまったので、申し訳ないことをしたなとは思う。
いい人ではあったけど、その時は恋愛的に好きになることはできなかった。時期も悪かったと思う。あたしはあたしで、自分を見失っていた頃だったから。
これまでにあたしが魅力を感じた相手は、男子も女子もいた。
性別に関してはあまり重要じゃない、というのがあたしの率直な感覚だ。好きになった人が恋愛対象。誰かを好きになる時に、性別を条件付けたことはあまりない。
けど今までのちゃんとした恋愛経験はたった一度、男子と付き合ったことだけだったから、あまり実感はできていなかった。
「まー、こういうのはあたしも初めてかも。ありがとうございます、唯春先輩」
こんなに色濃い感情があたしの中にあったのかと、自分で驚くくらいなのだ。
先輩を独占したい。あたしだけのものにしたい。そうやって笑うのも、照れるのも、嬉しそうにするのも、甘やかな表情まで全て……すべて、あたしがそうさせたあたしだけのものであってほしい。
こんな感情を抱いたのは、初めてだった。
「ぼくの方こそ……ありがと、千秋くん。千秋くんといると、すごく、すごく楽しい」
あたしにだけ聞こえる声で小さくそう言った先輩は、あたしがプレゼントした服を抱きしめて幸せそうに微笑んだ。それはまるで、固く閉じていた蕾がふわりと花開くように。
初めて、彼女の心の柔らかいところに触れられた気がした。
こうして一歩ずつ近付いて、彼女がほころぶ度その蜜の甘さに酔う。もう分かりきっていた。あんなにも綺麗で高潔だった蕾は、本当はこんなにも愛らしい花だったのだ。
「よかったです」
伸びそうになった手を押さえて、平静を装いながら返事した。
彼女はあたしが触れる度に少し体を強ばらせて、緊張する。スキンシップが苦手なのかもしれない。ならむやみに触れるのはやめた方がいいし、友人の距離感としてもあまり近付きすぎると違和感が湧くだろう。
人でざわめくモール内を並んで歩く。妙に気がはやるのを抑えながら、そっと隣を見た。
先輩はあたしよりも少しだけ背が高いから、自然と見上げる形になる。楽しそうに話す彼女に相槌を打ち、また前を向き直した。
「っわ、」
ふと声を上げた先輩が、隣でふらりとよろける。ぶつかられたのかもしれない。足がもつれて転びかけたところを咄嗟に抱きとめて、引き寄せた。
「大丈夫ですか、先輩?」
「ん……、大丈夫。ごめん、よろけて」
「いいえ。足とかくじいてません? 怪我は」
「何もないよ。大丈夫」
触れたところから、じわりと体温が上がる感覚。姿勢を直しあたしの手から離れた先輩が、髪を耳にかけて前髪に触れ、それからカバンを持ち直すのをじっと見つめた。
もし彼女があたしだけを見て、あたしに愛をくれたとしたら。
それはどんなに、幸せなことだろう。けれどきっと、そんなことがあったらあたしは彼女を手放せなくなってしまう。
今までは安全なところから冷静に見下ろしていたはずが、些細なきっかけから背中を押され足を踏み外してしまった。その先にあるのは、深い、深い沼だ。きっともう二度と出られない。こんな激情は知らない。割れてしまった果実は、二度と元には戻らないのだ。
「唯春先輩、どんな気分ですか? あたし、結構がっつりいきたいかも」
「うーん……ぼくもかな。お腹空いたね」
ぐるる、とお腹が鳴った。それを聞いた先輩が楽しそうに笑って、あたしはお腹を押さえながら『笑わないでください』と返す。
あぁ、本当に、飢えてしまいそうだ。
先輩の、桃色の唇がふわりと笑みを形づくる。今日はいつもと違い、艶やかなルージュを乗せていてひどく色っぽかった。
普段はあまり身なりに気を遣わない彼女があたしとのお出掛けのためにおめかししてくれたのかと思うと、それだけでもう胸の内側がぐつぐつと揺らいできてしまう。
彼女のその美しい曲線を包むにはあまりに質素な白シャツとデニム。けれど余計な装飾がない分美しさは尚更強調されているように見えて、こんな綺麗な人があたしの隣にいていいのかと思ってしまう。
いっそ学校で、制服を着たいつも通りの先輩を眺めている方が何倍も良かった。その距離感のままならあたしは、最後まで彼女とただの友人同士でいられたはずなのに。
「ね。午後は、今度はあたしの買い物に付き合ってくれません? 先輩にあたしの服、選んで欲しいなって」
「え」
お願いしてみると、先輩は想定外という表情であたしを見て、考え込んでしまった。
「でも……千秋くん、格好いいから…………ぼくが選ぶより、その……」
「じゃあ、無理?」
「む、無理じゃない! ぼくでいいなら、一緒に選ばせて、ほしいな」
あぁ、可愛い。今あたしの隣にいるのは、学校でよく話す『先輩』じゃない。あたしの隣で無邪気に笑って、いちいち動揺して、表情をころころ変えるあたしだけの女の子。
──教室を出て制服を脱いだ、ただの”桃沢唯春”だ。
「ふ。ありがとうございます、唯春先輩」
まだ少しだけ保たれている、あたしと先輩との距離。それはどうにももどかしくて、でも、あたしから詰めることは許されない。
先輩が嫌なことを、あたしが暴くことはできない。
「……な、何食べようか。ぼく、あまり来たことがなくて。何があるんだっけ?」
「パンケーキですかね。ご飯系、スイーツ系、あとはバーガー、サラダとか」
誤魔化すように先輩が話を逸らしたのに流されてあげながら、あたしはスマホを開く。
直前になってごたつかないよう、入るお店は事前に決めていた。けど気分が変わったりしていないか一応再度希望を聞いてみて、その上で当初話していた場所がいいと言うので昼食はふたりでそのカフェに入った。
「こういうの……初めて」
向かいの席で、先輩がぽつりと呟く。
「外食が、ってことすか?」
「うん。ふだんはあまり、こういうところで食事したりはしないんだ。だからすごく、新鮮」
照れ隠しみたいに両手でアイスティーを持って、彼女は笑った。
「そっか。じゃあ先輩、これも食べてみて」
「ん……はむ、」
バニラアイスに、蜂蜜のかかったパンケーキ。先輩はご飯もののパンケーキを選んだけど、あたしはどうしても誘惑に勝てなくてデザート系の甘いものを注文したのだ。
昼にしては甘いかもしれない。けど、あたしとしては大満足だ。
「美味し」
あたしの差し出したパンケーキを頬張った先輩が、ふわりと表情をほころばせた。
普段はあたしが色々もらってばっかだけど、こうして時々あたしがあげたものを受け取って嬉しそうにしてくれる先輩を見るのは、やっぱり言葉にできない幸福感がある。
あたしはお菓子作りはほとんどしない。料理も、小腹がすいた時にごく簡単なものを作るくらいだ。しかもきっと、そういうことはあたしより先輩の方が上手い。じゃあ手芸? でもあたしは、そういうのもあまり経験がない。授業で少し触った程度だ。じゃあ何が。
考えるたび、自分はいつも先輩にもらってばっかりだと実感してしまう。
「やっぱ、先輩には敵わないな」
パンケーキを咀嚼しながら呟くと、先輩がくすりと笑った。
「なぁに、急に?」
彼女の桃色の唇が楽しそうな笑みをかたどって、それからアイスティーのグラスのふちに触れる。グラスが傾いて、ひと口、ふた口。からんと氷が音を立てて動いた。鼻を抜ける微かな吐息と、濡れた唇にちらついた舌先。
人の話し声が急速に遠くなっていって、あたしは彼女から目が離せなくなってしまう。
「────あたし、先輩のこと好きです」
あぁ、駄目だ。これは駄目。
あたしが告げた言葉に、先輩は綺麗に微笑んで視線を少し下げた。
「……ありがとう。嬉しいな」
静かな、声。
それが”友人として”の感情だったことにして、あたしはそこから誤魔化す言葉を並べた。
先輩と知り合えてよかった、いつもお菓子くれてめちゃくちゃ美味いし、先輩優しいし、今日のお出掛けも楽しい。
すると先輩は曖昧に頷いて、そうだねと微笑む。ぼくも楽しいよ、今日も千秋くんとこんな風に一緒にいられて嬉しい、と。
事実だ。
それは、紛れもない、事実。
でも。
「────甘、」
それでは、足りなくなっている自分がいる。
もっと欲深く求めて、先輩と友人以上の関係になりたいと思ってしまう自分がいる。
今だけはひどく気まずい沈黙の中、あたしは誤魔化すようにコーヒーを胃へ流し込んだ。そうしてバニラと蜂蜜の甘ったるい後味を、口の中で殺す。
──全く、本当に苛々してしまう。
こんなに汚らしいあたしの中身、到底彼女には見せられやしない。
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