第11話 解決と陽依里のお願い
その後、バカ共の親は更に追加で来た警官に連行され子供達も連行されて行く。
これは勿論、雪村に被害届けを出させていたから……
「ふぅ…全力で殴りまくってやりたいが…後は司法に任せよう。俺が暴れるのも違うとは思うし…」
「お疲れ様!悠馬!上手く行って良かったっ。」
「あぁ、ありがとう。皆様も、お騒がせして申し訳ありませんでした。」
「いえいえ!」、「堂々とした姿、お見事でした!」…と他のお母様達から声が上がるのを見ながら陽依里ちゃんへと視線を向ける。
「これで大丈夫だ。ここからは学校生活を楽しめば良い。」
「はい……少しあの子達が可哀想ですけど……」
「気にしなくて良いのです。善悪の判断が出来ない歳では無いのですし、何より最後に悠馬さんに会えたのですから最高の終わりでしょう?」
志保も言うねぇ〜…それにしても……
「志保さんって……強かったんですね……」
陽依里ちゃんが少し引いた様にそんな事を呟く。
「えぇ、まぁ…私の一件の後に少し…」
合気道を習い始めたのは知ってたけどここまでとはね…まさか…無傷で制圧するとはな。
「あのぉ…YouMa様……」
「うん?どうした?」
見守っていた、クラスメイトが遠慮がちに話しかけて来る。
「その…ありがとうございました!!陽依里を助けてくださってありがとうございます!私達じゃ解決までは出来なかったから……」
悔しそうに悲しそうに俯きながらそんな事を言ってくる。
だから俺は……
「良く頑張ったな。俺達が間に合ったのも今回の事を知り得たのも普段から皆が陽依里ちゃんを支えてくれたからだ。だから、もっと自信を持つんだ。陽依里ちゃんと友達で居てくれて、支えてくれてありがとうな。」
ポタポタと頬を伝って涙が零れていく。
その涙はきっと、解決した嬉しさ以上に、何も出来なかった自分への後悔…だと思う。
「ありがとうっ。何時もありがとうっ。」
陽依里ちゃんが泣いている友達に近づきそのまま抱きしめながらお礼を言う。
「ごめんねぇ…陽依里ぃ…何も出来なくごめんねぇ…」
「もぅ。何時も側で支えてくれてたじゃない。だから…だか…らぁ…」
二人共泣いてしまったけど、この二人は愛央と志保みたいな二人何だろなきっと…そんな事を二人を見ながら俺は思った。
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SIDE 玖美子
娘と親友の子が抱き合いながら泣いているのを見ながら私は、悠馬さんへと近づいていく。
そんな私に気付いて、二人から離れて私の方へと近寄って来てくれた。
「お疲れ様でした。まだ後片付けはありますが、これで取り敢えずは陽依里ちゃんは大丈夫でしょう。支えてくれる友人も居るみたいだし。」
「そうですね。あの子は小さい頃から陽依里と友達で居てくれる子ですし、今回の事も本当に心を痛めて居たらしいのでこれで心休まるでしょうから、ありがとうございました。」
「とは言え……後始末が大変そうですけどねぇ……」
「まぁ…そこは。ここからは大人の仕事です。任せてください。」
「毎回毎回、後始末を押し付けてますね……すいません。でも、ありがとうございます。」
こう言う所が力を貸そうと思える人である証なんですよね。
それに、娘の為にここまで尽力してくれたのだから恩返しの意味も込めて後始末位は私達、大人の仕事だ。
「申し訳無いですがよろしくお願いします。会社関係も荒れるでしょうから…」
周りのお母さん達にも確りと頭を下げてお願いしている。
こう言う細かい一つ一つがこの子に力を貸そうと思う要因の一つだと思う。
その分…敵には苛烈だけど……
「よしっ!!これからの事を考えて全員と個人個人とで写真撮ろうかっ!エッチなの以外ならある程度良いぞー!!」
あらあら…悠馬さんのサービスで子供達のテンションが瀑上がりだ。
愛央さん達も仕方ないって顔してるし…
「あの!3女神のお姉さん達も良いですか?!」
「わ、私達も?!」
「構いませんが…私達は特に何かがある訳では無いと思いますけど…?」
「別に有名人でも無いしねぇ…自慢にもならないと思うよ?」
「何言ってるんですか!YouMaの恋人としてとっくに有名じゃ無いですか…どれだけ憧れてる子が居ると思うんですか……」
陽依里の言う通りだ。
この三人もかなりの人気があって憧れも持たれてる。
「うっ///そ、そう云う事ならまぁ……///」
三人共、顔を赤くしながらおずおずと陽依里達に近付いて、キャキャッ!キャキャッ!と盛り上がる子供達と記念写真を楽しそうに撮っているのを私は眺めていた。
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SIDE 陽依里
参観日から一か月後の休暇日、私は待ち合わせ場所で人を待っていた。
あの後、流石に学校は大騒ぎになってしまった。
校長先生達は、徹底的にイジメと言う犯罪行為を撲滅する為に事情聴取をして背景を調べて、行って居た生徒達を被害者の親御さんと相談の上、被害届けと共に警察に突き出した。
勿論、突き出された子供の親は大反発したけど徹底的に抵抗して、「犯罪を行う教育しか出来ない自分を恨め!!」と突っぱねた。
更には、メディアにも出て記者会見を開き、今回の不祥事の謝罪と大掃除を大々的に発表までしたものだから、大騒ぎになった。
こんな事したら学校の評価が落ちるのでは?ともなったし、実際には少し落ちたけど、その後の校長先生達の実際の動きを見て落ちる前よりも評価は高くなっていた、悠馬さんの言う通りに……それもこれも全ては悠馬さんの筋書き通りに動いただけだと、私は後になって知った。
そんな事を考えていた私の前に今日の待ち人が訪れる。
「ありゃ…陽依里ちゃんの方が早かったかぁ。」
「えへへっ!悠馬さんを待たせる訳には行きませんからね!」
「おし!それじゃー早速移動開始だな。遊園地なんて久しぶりだぁ。」
自然と私の手を取り確りと繋いだまま、悠馬さんに先導されて私達はバスに乗り込む。
そう……私のお願い、デートしてください!を今日は叶えてくれる事になったのだ。
「陽依里ちゃん。今日は何時も以上に可愛いねっ!」
「はぅっ///ありがとうございますぅ///」
私に出来る目一杯のおめかしをしたけどちゃんと気付いてくれ!褒めて貰えた!それだけで頑張った甲斐もあるよね!!
それから、バスに揺られる事、暫く、私達を乗せたバスは遊園地に到着した。
バスの中でも、タイミングを見ては悠馬さんに話しかけて来る人が居たり、何でこんな子供と?って顔で見てくる人とかも居たけど、問題になる様な事は無く無事に到着した。
「私も久しぶりなので、楽しみですっ!!早く行きましょうー!」
「待って!待って!遊園地は逃げないからっ!」
「逃げなくても遊ぶ時間は減りますー!早く入りましょう!悠馬さんっ!」
しょうがないなぁ〜って顔をしながらも私を連れて一日フリーパスを二人分買って……
「まっ、待ってください。自分の分は出しますからっ。」
私は急いでお財布を取り出すけど、悠馬さんは、手でそれを抑えてくる。
「良いから。年下の女の子にお金出して貰うとか年上として恥ずかしいっての。自分は女だからとかそう云うのも無しだ。お兄さんに甘えておきなさい!」
「あぅ…でもぉ…うぅ…デートに誘ったのは私なのに…」
「そうだけど、それに甘えて出して貰ったら俺が自分を許せないからな。だから良いの!」
「それなら!中での飲み物とかは私が出します!絶対に譲りませんからね!!」
「分かった、分かった。それならそっちは任せるね。」
そんな、私達のやり取りを受付のお姉さんはニヨニヨしながら眺めていて……
「決まりましたか?仲が宜しくて良いですけど、後が
「ぁぅっ///ごめんなさぃ///」
「はい、それじゃーこれでお願いします。お姉さん。」
さっさと、お会計を済ませて、悠馬さんはフリーパスを受け取る。
そのまま私を引っ張って場内へと足を踏み入れた。
「よしっ!折角来たんだし思いっきり遊ぶぞ!!」
「はいっ!!楽しみましょうっ!」
入り口のやり取りは気にしても仕方ない!うん!仕方ない!今は思いっきり楽しまないとです!
こうして、私と悠馬さんのデートが始まったのでした!
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