第9話 始動

「大野叶(おおのかなえ)です。『大空望(おおぞらのぞみ)』さんのマネージャーをやらせていただくことになりました。よろしくお願いします」


サングラスの女性は頭を下げると先程まで盛り上がった空気に緊張感が走った。


「…………サングラスは取られないんですね」


その場にいるものの気持ちを真由美(まゆみ)が代弁する。


「目の病気でして、社長から許可は得ています」


前田は視線に首を縦に振り答える。


「よろしくお願いします。望さん」


「えっ、あっ………よろしく………オネガイシマス」


握手を交わす2人。


「…………っということでこの2人が新しく………1人は復帰だが事務所の一員となった以上解散だ」


前田の号令と共に各々の作業に移る面々。


「じゃあ望さん!またこれまでなにしてたか聞かせてくださいね〜」


「爪痕残すつもりで行きなさい」


「はーい!」


美空(みく)と話しを終えた『大空望(おおぞらのぞみ)』はサングラスの女性のもとへ向かう


「あの…………」


「堂々としててくれる?今は貴女が『大空望(おおぞらのぞみ)』なんだから」


(やっぱり望さんだよね!?なんで?)


「望、大野。こっち来てくれ」


社長室に案内される2人。


「社長。これって・・・・・」


「大野。これから1週間で望を『大空望(おおぞらのぞみ)』にしてくれ」


「わかりました」


「場所は普段、望が使っているレッスン場だ。あと2週間後には『大空望(おおぞらのぞみ)』の復活をオープンにする。そのつもりでいてくれ」


「えっ!?」


「わかりました。望さん早速行きましょう」


「はっ、はい!」


トントン拍子に進んでいく状況についていけない『大空望(おおぞらのぞみ)』。ただ流れに身を任せいつものレッスン場に先程紹介されたマネージャー大野と向かった。



「…………私のファンを自負するだけの力はあるようね」


レッスン場で一通り『大空望(おおぞらのぞみ)』のパフォーマンスを見た大野はサングラス越しにパフォーマンスを評価した。


「ありがとう………ハァーハァー………御座います」


「勘違いしないでね。あくまで及第点よ」


「あの・・・・・叶さん。2人の時は別にサングラス外しても・・・・・ムグ!!」


『大空望(おおぞらのぞみ)』の口を大野は力強く塞ぐ。


「どこで聞き耳立ててるかわからないのよ!そういった秘密の管理は徹底しなさい」


「はっ、はい・・・・・どうしてわざわざサポートしてくださるんですか?」


「・・・・・・」


「私の思う『大空望(おおぞらのぞみ)』をやりきればいいとカナ・・・・・大野さんは仰ってくれました。てっきりお手伝いしていただけないものだと思っていたので」


「貴女の覚悟聞いたわ」


「!?」


「そこまで人生かけてやろうとしていることのキッカケを与えた者として見過ごせなかった。・・・・・それだけよ」


「大野さん・・・・・」


「私が関わる以上完璧な『大空望(おおぞらのぞみ)』になってもらうわよ。覚悟はいい?」


「はい!!」


こうして『大空望(おおぞらのぞみ)』の新たな1ページが幕を開けた。


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Emotion ザイン @zain555

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