第3話 『私』との対面
「失礼します。『大空望(おおぞらのぞみ)』です!よろしくお願いします!!」
目の前にいる【自分】はとても若々しく生き生きとしていた。本人ですら目の前に【自分】がいると錯覚するのだ。並の一般人で見破れる人はまずいない。叶はそう核心した。
「あの…………望さん?」
「えっ、あっごめんなさい。目の前に自分がいるのがどうにも信じられなくて…………」
「やった!望さんご本人もそっくりって認めてくださった!!」
認められた事に喜ぶ【自分】に違和感を覚える叶。
「おい望。今はお前が『大空望(おおぞらのぞみ)』なんだ!そんな事で浮かれるな!!」
前田は『大空望(おおぞらのぞみ)』を叱責すると彼女は落ち込んだ表情を見せる。
「すみません…………」
「それに『大空望(おおぞらのぞみ)』は通名だ。本名じゃない」
「えっ……………そうなんですか?」
「………………」
「でも!望さんは望さんです!!あっ私『海野恵(うみののぞみ)』です。よろしくお願いします望さん!!!」
「望!!」
また叱責される『大空望(おおぞらのぞみ)』。【自分】が叱られている光景を目の当たりにするのは、なんとも言えない気分となる叶。
「…………大知叶(だいちかなえ)よ」
「えっ」
「…………」
「それが私の本当の名前」
「叶さん……………よろしくお願いします!」
「……………」
「まぁ、頑張ってね。別に【私】になる必要は無いわ。貴女は貴女の思う『大空望(おおぞらのぞみ)』をやり抜いて」
「はっ、はい…………ありがとう…………御座います」
こうして新たな『大空望(おおぞらのぞみ)』の伝説が誕生しようとしていた。
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