第9話 不条理な結末
2018年5月21日 PM7:00
「私達、二組共に出来ちゃった婚だね・・・?」
沙也加の嬉しそうな声を絵美と優太は複雑な表情で聞いていた。
あれから半年。
絵美と沙也加のお腹は目立つようになっていた。
※※※※※※※※※※※※※※※
2017年2月5日 PM4:00
『アタシ、優太と寝たから・・・』
沙也加に聞かされた言葉に絵美は気絶しそうな程、衝撃を受けた。
隣で腕を組まれている優太の、言い訳もせずに俯いている姿が事実を物語っていた。
『好きなのよ、優太が・・・』
絶対に離さないとばかりに寄り添う沙也加のキツイ視線を、絵美はテーブル越しに見つめていた。
『おいおい、興奮するなよ・・・』
絵美の隣に座る宏がなだめるように言う。
『いいのかよ、若槻ぃ・・・?』
確かめる表情は口元が緩んでいるように見えた。
『ご、ごめん・・・』
優太は言い訳もせずに俯きながら、声を出した。
『ゆ、優君・・・』
絵美は泣きそうになるのを必死に堪えている。
信じられない不条理な事実に愕然としていた。
愛する優太が。
自分ではない別の女を選んだのだ。
(え、絵美ちゃん・・・)
優太も切ない気持ちで見つめている。
だが、腕をギュッとする沙也加の力に。
全ての想いが連れ去れられる気がするのだった。
あれから。
沙也加のアパートに戻り。
改めて昨夜の事実を聞かされた。
シーツに残る赤い染みを。
マジメな優太の良心は誤魔化すことはできなかった。
それでも。
沙也加の妖艶な魅力の誘惑に負けそうになったが。
そのまま。
沙也加の部屋を後にした。
前日の事が偽りだと。
知らないままに。
しかし、数週間後に。
沙也加から残酷な事実を聞かされた。
優太の子供を宿していると。
だから。
目の前にいる、愛する天使に別れを告げる決心をしたのだった。
『ゆ、優君・・・』
泣きはらす絵美を残して優太は沙也加と共に去っていった。
『大丈夫かい・・・?』
呆然とする絵美は真っ白になった意識の中、男の腕の温もりに身体を預けてしまうのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます