大討伐と二度目の別離(四)
「内なる
これはリージュの範囲魔法、だが彼女の力からすればやや効果が薄いように見える。もし魔法の威力を軽減する障壁が展開されていたとすれば、あの
いずれにしてもリージュの魔法をもってしても致命的な損害を与えるには至らず、両軍は正面から激突した。
そしてこの
「あの野郎、どこまで強くなりやがる」
もはや私にはよくわからない水準だけれど、
呆然と口を開けたままその戦いを
私などが論評できるものではないが、敢えて言うなら攻守ともに完璧だ。複数の敵の太刀筋を予測して盾を掲げ、受け止めると同時に押し返した上で力強い斬撃を繰り出す。それは正確に妖魔の急所を裂き、叩き割り、突き通す。
この人の強さは『基本』だ。剣術の教本に載っているような、兵士であれば誰もが知っている技術をひたすらに磨き上げ、肉体を鍛え上げ、決して奇を
思わずそれを口に出していたのか、それとも表情から察したのか。師匠の口調は弟子を諭すときのそれだった。
「わかってんじゃねえか。奴を手本にするのはいい、だがああなれるとは思うなよ」
重々しい轟音。衝撃波が木々を揺らし、熱風が吹きつける。
二対の剣と盾が激しく打ち交わされ、互いを撃ち砕かんと
「ぬうううう!」
「――――――!」
恐るべき妖魔、
黄金の鎧が肩口から腰まで、返す一刀で右の脇腹から左の脇腹まで、深々と断ち割れる。せめて道連れにせんと振り上げられた剣もそれを握る右手ごと失われる。ついに黄金の兜を中身ごと
「敵将
絶対の指揮官を失った魔軍、勢いに乗りそれを追い立てる勇者達。
大陸歴二一九年二六〇日。
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