凡才隊長と飲んだくれ(七)
彼の背後で扉が開け放たれている。ロッドベリー砦で私を助けてくれた時もそうだった、この人は魔法の力で閉ざされた扉を開けることができるのだ。それがいま鞘に納められたまま握られている直剣『
「遊んでんのか? こんなもん相手に手こずってんじゃねえぞ」
「でも、この子たち……」
「こいつは『
「……わかりました」
嘘
「迎撃します!」
「了解だ、隊長」
こちらの気迫に呼応するかのように、再びちょび髭の人形がぴょこんと飛び跳ねつつ右手を振り上げた。盛大に
『
五十を超える歩兵隊が一斉に槍を構えて突進してくる、その後方からは弓兵隊の射撃。また
「ええいっ!」
「うおらぁ!」
右から私の
魔女? この廃村には魔術師どころか生者すらいなかった。ならば
私はたぶん油断したのだろう。
「ねえ、もうやめようよ。どうして毎日演奏してたの? ご主人がいなくなって寂しかったの?」
その問いに彼らが答えることはなく、返ってきたのは一段と悲壮な音楽。破壊されたはずの
「えっ!?」
太腿の横に小さな剣が突き立っていた。それを振り払う間もなく着地したちょび髭の人形は信じがたい敏捷性で後ろに回り込み、膝の裏を切りつける。
「目で追うな、予測しろ!」
「軍楽隊だ!」
その声に振り返ると、
だがその隙に迫っていたのは、魔女人形が放った【
「あれ……?」
「油断してんじゃねえ、ど
そうだ、
その師匠が魔女人形を蹴り飛ばしたのと、軍楽隊を失ったためか動きの鈍ったちょび髭の人形を私が仕留めたのは同時だった。広間に散らばった
「ふう、大丈夫ですか?
あの不敵な師が、がくりとばかり膝を着く。剣を取り落とす。弱々しく
「しっかりしてください! どうしたんですか!?」
私は今さらになって思い出した。この人が
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