凡才隊長と飲んだくれ(六)
翌朝、私達は作戦行動を開始した。
「私が先に潜入します、続いてください」
「それは隊長命令か? なら従うが、俺に遠慮しているなら無用だ」
「……わかりました、お願いします」
窓枠を外した穴から侵入した
物音を立てぬよう慎重に一階の探索を終え、
いずれも真っ赤な軍服に黒のズボン、黒い軍帽をかぶった兵士の人形だ。歩兵、騎兵、戦車兵、弓兵、魔術師、軍楽隊、数は百体を下らないだろう。私の膝下ほどしかないようなその人形達はまるで息を潜めてこちらを
「えっ!?」
「おい! どうした、開かねえぞ!」
慌てて駆け戻り扉の
焦燥に駆られる私の背後で
『突撃!!』
ちょび髭の人形がそう言ったわけではない、だが物言わぬ人形兵から確かにその意思を感じ取った。
「なんで!? 待って、私、あなた達と戦う気なんて……」
戸惑う私に構わず
待ち針程度の大きさしかない矢は僅かな痛みと出血に耐えるだけでいい、だが無視できないのは
衝突の寸前で高く跳躍してそれを
「大丈夫? 良かった。私ね、夜中の不思議な音楽の噂を聞いて来たの。あなた達だったんだよね?」
だが
「痛っ! やめて! 来ないで!」
だが逃げた先に突っ込んできたのは、大きく旋回して戻ってきた
これで
「駄目だ……やるしかない」
でも、と割り切れない思いが残る。リージュと向かったあの廃村、疫病で誰もいなくなった村でただ一匹、うさぎのぬいぐるみが自分を大切にしてくれた女の子をずっと守っていた。この子達がもし何かを守っているなら、私に何かができるなら、話が通じるのではないだろうか……
だが私にその機会は与えられなかった。始まったのは騎兵の総攻撃。
二十騎ほどの機動力に優れる彼らは軽快な音を立てて私の周囲を駆け回り、矢を浴びせかける。少しでも反撃の構えを見せると散開し、そうかと思えば瞬く間に
真横に飛んで突撃を避けたつもりが、彼らは人馬一体となって瞬時に方向転換し、胸の高さまで跳躍して槍を突き立てる。着地しては再び跳躍する騎兵隊の渦に閉じ込められた私は
一つ一つの傷は小さく浅く、
「参ったな……甘く見たかな」
軽快に飛び跳ねる騎兵の群れ、彼らの後ろには無傷の歩兵隊、勝利を確信したかのようにふんぞり返るちょび髭の隊長。これはちょっと……勝てないかもしれない。
不意に目の前でごしゃっとしか表記できないような音が上がった。例えるならば無数の木片を
「お人形さん遊びは帰ってからやれ、
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