凡才隊長と飲んだくれ(二)
駅馬車はとある
イスマール侯国の主要な街道には各所にこのような
大きなものでは数名の兵士が常駐して街道の治安を維持しているし、商魂たくましい商人が土産物や食料を売っていることもある。侯国が治安維持と物流の安定に力を入れている証左だ。
「どうですか? 美味しいですか?」
「まあまあだな」
「そういう時は嘘でも『美味しい』って言うんですよ! まったくもう」
「ああ、お前にしちゃ上出来だ」
憎まれ口をたたく
「で、その廃村ってのはあとどれくらいで着く?」
「ええと……」
「ルイザの町で一泊して、その次の
「そこはいつから人が住んでねえんだ?」
「十年ほど前の
「それ以降の情報は?」
「昨年と一昨年は調査が行われていません。先日三年ぶりに行政府の現地調査員が訪れたところ、夜中にけたたましい音楽が打ち鳴らされているのを聞いたそうです」
「なんだ、ちゃんと調べてんじゃねえか」
つまらなそうに
「当たり前です! もう前の私じゃないんですからね!」
「そうかあ? どうせ補佐がついたらさぼってんだろ」
「うっ、それは……」
「
「うぐっ……」
「あの嬢ちゃんも坊主も、お前には過ぎた補佐だ。自覚しやがれ」
「わ、わかってますよ、そんな事!」
「今回の
「うえええええっ!?」
雑談をしていただけだというのに、何だかよくわからないままに
私の戸惑いをよそに、うらぶれた
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