左利きのエクトール(五)
『
「ああ? しばらく
全くその通りで申し訳ないのだけれど、他の人を頼るわけにはいかない。事が
「
「彼を助けてあげてください、お願いします!」
「いくら出す?」
「出世払いでお願いします!」
「出世する予定があんのか、てめえは」
適当な問いに適当な答えを返したところ、軽く脳天に
二年も補佐を務めていた私にはわかる、この人はお金が好きだがそれほど執着してはいない。お金があれば高いお酒を飲むが無ければ安酒を飲む、ただそれだけだ。そして彼の手元には年代物の
さらに言えばこの人は、お金とお酒が大好きな『
「『
「ああ」
別に痛まない頭頂部を押さえつつ聞いてみると、この人はあっさりと答えた。
それは生前『
その所有者は伝説の剣聖リンクスのごとく無双の武力を手に入れることになるが、過去にこれを所有していた者はことごとく戦いの中で命を落としている……
「つまり俺より頭が切れて俺より強え奴から剣を奪えと、お前はそう言うんだな?」
ずいぶんと意地悪な言い方をする。付き合いの浅い人はこれで誤解してしまうのだろうが、私は
「はい。
「ずいぶんと買いかぶられたもんだな。まあ、頭がいいのとずる賢いのは違う、強え奴と勝てる奴は違う。お前は俺ならそいつに勝てると踏んだんだろ? やってみるさ」
私が
「強え奴を殺すだけなら大して難しくねえ。毒殺、謀殺、
「私の話、聞いてましたか!? 殺しちゃ駄目です!」
「お前こそ話を聞け。『殺すだけなら難しくねえ』って言ったろ、それができねえから難しいってんだよ。ど阿呆」
また脳天に
こんな状況だというのに、私は興味が湧いてしまった。知識と知恵に優れるエクトール君と経験と謀略に優れる
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