大樹海の大討伐(五)
事あるごとに阿呆とか間抜けとか言われる私だけれど、これでも一応は元
難なく荷車の車列を見つけ、そこに
「
「
「北北東に九百
「伝令ご苦労。よし行くぞ!」
私の言葉が途切れがちなのは、既にリージュのおまじないが切れているからだ。十
とうとう降りだした雨の中で
「
拠点を守るロッドベリー砦の兵士さんが指差した方向に、私は駆け出した。
膝が
それもようやく報われる。重なり合う木々のむこう、黒衣の勇者が大剣を振るっていた。襲いかかる妖魔の群れの中でただ一人、右に左に剣を舞わせては歩を進める。その黒髪も同色の
「
ねじれた木の幹に手をつき、息も絶え絶えに呼びかける。だがその男が振り返ることはなく、代わりに向かってきたのは二匹の
私はこれでもロッドベリー市から認定を受けた勇者だ。軍で基礎訓練を積んだこともあれば、勇者
「はあ、はっ……うっ!」
短剣の刃が右腕を
「はっ……はっ……ふうっ……」
呼吸がおさまらない。小剣を握る手に力が入らない。リージュのおまじない、【
「こんなところで……負けられない!」
私の両足に
「ええい!」
背後の敵に構わず正面の
泥の中から起き上がろうとしてまた蹴倒され、飛びかかってきた
不意に雨が顔を叩いた。覆いかぶさっていた
「立て。お前も勇者だろう」
「
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