大樹海の大討伐(三)
なだらかな丘陵地帯、鉛色と表現するしかない雲が重苦しく頭上を覆う。雨に備えて
やがて
私は長くロッドベリー砦に勤めていたため、この『大討伐』に参加するのは四回目だ。一回目と二回目は雑用係として、三回目は
砦を発って二刻余り、柔らかい下草を踏みしめてひたすら魔の森の奥へ。昼なお暗い大樹海とはいえまだ妖魔の姿は
各国の勇者達は寄せ集めゆえ決まった隊列は無く、数人の小隊ごとに適度な距離を保って進んでいく。さて私はといえば
「お嬢ちゃん、疲れたらいつでも休んでいいんだぜ。今から気を張ってちゃ
「ありがとうございます、
「なんか私と扱い違いませんか!?」
「当たり前だろ。か弱いお嬢ちゃんをお前みてえな体力馬鹿と一緒にできるかよ」
今回の『大討伐』に参加している勇者は百二十四名。その中には従者を持つ者も多く、彼らを加えると五〇〇名を超える。さらには
次第に木々の幹がねじれ、下草もまばらになり、気泡を吐き出す沼や湿地が顔を覗かせ、鳥の鳴き声すら奇怪なものに変わっていく。そろそろ荷車の進入が難しく全体での行軍ができなくなるだろう、あとは物資を満載した車列を正規兵が守り、それを拠点に勇者達が思い思いに妖魔を『狩る』ことになる。
「行軍停止! 行軍停止! 各国の勇者に告ぐ、大討伐を開始せよ!」
「さて、お前はどうするよ?」
「わ、私ですか!? どうするって言われても……」
「そんな
「師匠と同じにしないでください! 私たぶんこの中で一番弱いですよ!?」
「まあそうだろうな。自分を客観視できるのはいいことだ」
「行こうよリナちゃん! リナちゃんはきっと立派な勇者様になるよ、もっと認められていいはずだよ!」
「ええ!? リージュ、どうしたの急に!?」
いつも控え目で思慮深いリージュが、後から思えばこの時ばかりは積極的だった。
嫌な予感というほどのものではない、違和感というにも不足しているほどの微かな心の
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