叡知の杖(一)
かくして私とリージュの借金返済のためのお仕事が始まった。
農村近くの洞窟に巣食った
だが約八〇〇万ペタに加えて私以外の被害者三人に対する慰謝料が一五〇万ペタ、合わせて一千万ペタに迫る金額だ。そう簡単に返せるものではない。
それにメルちゃん、サリオ君、エルロン君、三人の弟妹まで農作業の手伝いなどを始めたというのに、あの母親は何だかんだと理由を付けて働かない。さすがに少しお酒の量は減ったような気がすると言うけれど……
「ふう、なかなか貯まらないね……」
「でもあと半分だよ! 頑張ってるよね私達!」
今日も仕事を終えて、行政府にお金を届けて領収書をもらう。
これまでに返したお金は約四五〇万ペタ。百五十日ほど必死に働いてきたけれど、それでもまだ半分に満たない。一年間という返済期限に間に合うかどうか微妙なところだ。
私は見ての通り元気いっぱいなのだけれど、リージュが目に見えて痩せてきたのが気になって仕方ない。
人も
そんな思いで
報酬は二〇〇万ペタ、しかも現地までの移動や宿泊、食事などの必要経費も負担してもらえるという。これほど良い条件ならば希望者が殺到していてもおかしくないのだが、窓口に問い合わせてみると今のところ応募者は無いらしい。リージュに指摘されてよく見てみると、備考欄に『道中に
「どうして
「
「うええええ……」
それは怖い。人魚怖い。でも今日の稼ぎは私が水路の補修工事、リージュが道具屋の店番で、二人合わせて一万六千ペタ。そこから生活費を差し引けば返済に回せるのは八千ペタがいいところだ。
ここで二〇〇万ペタという大金が手に入れば一気に完済に近づく。やつれ気味のリージュに美味しいものを食べさせてあげることができるし、おまけに
善は急げ、即断即決、即実行。私達は依頼者に即日の面会を希望した。
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