第5話 カッター恐怖症



「自律神経失調症」





医師から告げられた病名。病院の帰りでは

なんで体がおかしいのか分かってほっとしたような、治らなかったらどうしようってモヤモヤしたような説明し難い気持ちになった。家に帰りついた時母親が私に対して放った第一声は

「ごめんね。気づいてあげれんくて。」

ある日には母親失格まで言い出していた。そうやって母親が自分自身を責める言葉を聞いていたのが何よりも辛かった。いじめの事は隠して、大丈夫なように演じていたから気づかなくて当たり前なのに。全ては自業自得なのに。



学校はしばらく休んだが、やがて別室教室(以降CR)に通う事になった。CRは私の教室と校舎が違って基本自習。自分の判断で自分の教室で授業を受けられるのだ。だけど移動で人の目があること、担任の意向で1度でも自分の教室に行かなければならない、色々とヒソヒソ言われるのが怖かったため最初はあまり登校できず、

行け・行けないで母と口論になることもあって

涙ながらにお願いする事もあった。家にいる時は受験勉強と授業のノート移しと家事。家事は

母へのせめてもの謝罪だった。


登校拒否になってからの周りの反応は

「不登校になったら負けだよ」

「友人関係で?そんな事もあるよ〜」

母からは

「被害者あんたなのに逃げたみたいで悔しい」

とまぁ覚悟してた通りの反応だった。別に慰めて欲しいとか思わなかったがダメージはきた。

通信制高校に入学したいと言った時、両親は

認めてくれたが実の所、母は私のためを思い

県立高校への入学を諦めていなかった。今まで受験勉強を頑張っていたのに受験しないなんて報われないと思い何度も何度も受験しないかと言われていた。たしかに気持ちはすごく分かる。だが私は通信制の高校に行きたいと意思は固まっていたため、すごくすごく苦痛で母の期待に応えられなくて申し訳ないような劣等感さえ感じていた。

でも信用してくれた同じ部活の友達は会った時、すごく喜んでくれて話も真摯に聞いてくれた。一緒に泣きじゃくった子もいた。そういう信用してる子といる時間が、大好きだったはずのゲームする事よりも幸福な時間だった。



でも自分は存在価値なんか無いんじゃないかって、消えたいなんて思うことなんてあった。今ベランダで飛び降りたらとか包丁をお腹に刺したらとか風呂の湯に顔をつけて息をしたらとかリアルタイムで考えていたが、

事故物件になってしまい損害賠償請求されてしまいそうだし仕事に手がつかなくなるかもしれないって想像した。消えるのは自分だけの問題ではないと感じ家族のために自殺をやめた。リスカは何度も考えたことがある。でも痕でバレるから止めた。しかしカッターの刃を出す時のカタカタ音を聴くとリスカを考えてる時の事を思い出して気が沈むから恐怖症になった。結局、違う形で跡が残ってしまう。現在カッターは部屋に置いてない。

辛いのが限界にきたら、人が見えないとこで腕や足を掻きむしったり頭を叩いたり頬をビンタそうして発散していた。



それが誰にも言えない私の秘密。


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生まれ変わっても、私になりたくない。 ゆるいゆる。 @yuru_nemutai

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