1.

僕は、今日から2年に進級する中学生。

奥岬おくざきみどりだ。

この世でクラス替えを一番楽しみとしている、平凡な学生とでも言っておこう。

…だが、早速僕には一つの大きな問題が出来ていた。

それは……

「あれっ…佳奈とクラス違う…!?」

「あはは…そうみたい」

隣で苦笑する、佳奈こと幾多いくた 佳奈子かなこ

去年出会い、それ以来仲良くしてもらっている、言わば親友的存在の子だ。

「やっぱり、友達運ないんかなー…」

「去年も小学校の時の友達と、クラス離れたって言ってたもんね。」

「うん、しかも一人だけやで!?」

僕が喚いていると、校内に移動のアナウンスが流れる。

「はぁー…」

気が乗らない僕は、大きなため息を溢す。

だが、これも仕方がないことだ。

とりあえず教室に向かうとするか。

「行こうか、佳奈。」

「うん、楽しみだなぁ。2年生。」

「そうやね、めちゃくちゃ楽しみや〜!」

さっきとは一転して明るい声を出すと、隣りにいた佳奈は優しく笑う。

それが嬉しくて、僕も思わず口角を上げながら教室へと向かっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る