第5話 儚く散る定めだとして

☆(長富廻)サイド☆


その一報を聞いた時には時既に遅く。

私は既に病室だった。

2年後.....この世界から塵となって消える。


それはどういう意味なのかというと。

私は2年後、誰にも愛されず癌になってそれが転移して死ぬ。

正確には肺から転移した脳にいった癌で孤独で死ぬのだが。


「.....」


死んだ筈の世界なのに2年前の何故かこうして蘇った。

(それなら私は.....)と思いながら外を歩いて帰っていると目の前でイチャイチャしている様なカップルを見つけた。

よく見たら勇気先輩だった。

横に居るのは山田先輩か。


「.....そっか」


私はその姿を見ながら納得しながらニヤッとする。

そうか.....これはチャンスかもしれない。

あくまで吉田美奈保を勇気先輩に近づけさせてはならない。

ならばこのチャンスは活かすべきだ。

2人がくっ付けば問題ないではないか。


「そうなると.....」


私は作戦を立てる事にした。

2人をくっ付けさせるには.....、という感じでだ。

だが何故か心がチクッとした。

まるでそれは針で刺される様な.....何だ今のは。


「.....まさかね」


そんな事を呟きながら私は2人を見ていると。

山田先輩が勇気先輩と別れた。

それから帰宅し始める。

その姿を見ながら駆け足でかけて行く。

そして「あの。すいません」と声をかける。


「.....おや?君は?」

「私は長富廻と言います。.....初めまして。山田先輩」

「初めまして。.....不思議子ちゃんだね?こうして話すのは初めてじゃないかな?」

「そうですね。.....もしかしてですけど貴方は勇気先輩が好きなんですか?」

「ふぁ!?.....な、何でそれをし.....いや!?」


大慌てになる山田先輩。

この反応.....やはり勇気先輩が好きなんだな。

考えながら私は見ているとチクチクと胸が痛んだ。


何故かは分からない。

だけどチクチク痛んだ。

私はそんな反応に首を振りながら「山田先輩は勇気先輩が好き。これに間違いはないですね?」と聞いてみた。

すると山田先輩は「う、うん。そうだね.....」と素直に白状した。

そうなると話は早い。


「.....山田先輩。舞台を整えてあげます。.....山田先輩は是非ともに勇気先輩と付き合うべきです」

「.....え?!」

「私は貴方がふさわしいと思います。勇気先輩と付き合うのが。吉田美奈保先輩以上に」

「待って。会ってまだ数分だよ。何でそんな事をしてくれるのかい?」

「私は貴方と勇気先輩がお似合いと心で思っているからです」


そして私は迫りながら山田先輩を見る。

山田先輩は「?!」という感じで私を見る。

よし。そうなると舞台を整えなくては。

思いながら私は「山田先輩。私は本気で貴方が勝つ事を祈っています」と言う。

すると山田先輩は「.....」と考え込む仕草をした。


「ふむ。.....何だか一生懸命な点で思い出した。君は勇気の仲良しの後輩だね?」

「そうですね」

「.....」

「.....?」

「君はこれで良いのかい?」


山田先輩に予想外の事を言われた。

私は「?」を浮かべてから山田先輩を見る。

山田先輩は「君も好きなんじゃないのかい。.....彼の事が」と言葉を発した。

私は目をパチクリした。


「.....私はそういう感情はないですよ」

「どうかな。君の目を見ると.....違う様に見えるね。.....私は.....ホームズだから」

「.....」

「.....どうかな?違う?」

「まあそうなのかもしれません。.....だけど私には資格はないです」


そう言いながら私は苦笑する。

それから私はジッと山田先輩を見る。

山田先輩は私の目を見ながら「じゃあ一緒に歩まないか」と提案してくる。

私は驚きながら山田先輩を見る。

山田先輩は「私が勝つのは簡単なのかもしれない。.....だけどそれでは私は満足しない。君が勇気を好きなら尚更だ」と言ってくる。


「.....待って下さい。それで良いんですか?私は.....せっかく.....」

「このまま私は全てに勝ったとして。.....それは私の望む事じゃない。君の感情を無視した感じになってしまう。それは私の中では許せないな」

「.....」


私は胸に手を添える。

それから「私は.....私の意見は無視しても構わないのですが.....分かりました。貴方がそこまで言うなら私も考えてみます」と真っ直ぐに山田先輩を見据える。

すると「そうだな。私も吉田さんを倒すきっかけが見つかったのが嬉しい。共に戦おうじゃないか」と笑顔で手を差し出してくる山田先輩。


「.....はい」

「お互いに頑張ろう」

「.....はい.....」


そして私達は.....お互いに譲らず。

それから吉田美奈保を倒す事になった。

だが私は勝つつもりはない。


そうだ。

吉田美奈保さえ倒せれば。

それで良いのだ。

そう思いながら私は空を見上げた。

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真・彼女NTRが発生したので悲しみの中で寝たら過去に戻ったんだが アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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