第41話華部門って面白枠なのね


 先程、月部門でノワールに完全に持っていかれた後に始まった面白部門である華部門は笑いに包まれている。



 毎年月部門で真剣に、やり尽くした後に始まる華部門はいかに面白いかに尽きるらしく、今舞台では電飾鈴を巻いたイカの被り物が踊っている。



 俺って、中途半端かも。


大丈夫かな?



 チラリとオリビエちゃんとヴィヴィアンちゃんを見る。



「アレックス様、大丈夫です。失敗しても、このわたくしが票をまとめあげて差し上げますわ。」



 あぁ、選挙参謀に欲しい。オリビエちゃん最強。そうだよな、オリビエちゃんはゲームで嫌がらせを受けたヒロインに力を貸す最強お助けキャラだもんな。



「アレックス様、私の作った衣装に手落ちはありませんわ。」


 そうだよね、この衣装を自分たちの大切な衣装を俺の為に大胆にリメイクしてくれた大事な物だ。


 オリビエちゃんの赤の衣装とヴィヴィアンちゃんの白の衣装が重なりあって、下の赤が透けて仄かな桜色になっていてため息が出る程美しい。


 その上、二枚も着ているのに軽くてすごく動きやすいんだ。



 それにさっき、より美しく見えるようにと長い袖の袂に二人の綺麗な舞扇を入れてくれた


。赤と白の色違いの美しい扇子。


 すごく軽くて重みは感じないのに、袖が綺麗にストンと落ちてより綺麗に見える。


 


 よく考えたら、タイプの違う美少女ふたりがさっきまで舞台で着ていた生衣装を着せて貰えるなんてかなり興奮ものなんじゃ?それに良い匂いがする。



 思わずうっとりと衣装に頬をすり寄せた俺に、何故かふたりが赤面する。


 ヤバい、俺が脳内変態ってバレた?悪役令息から、変なおじさんにグレードアップしちゃったかも。誤魔化さねば。



「この衣装本当に軽くてすごく動きやすいね。時間無かったのに本当にありがとう。ヴィヴィアンちゃんの手には神様が宿ってるね。」



 ヴィヴィアンちゃんの手を握る。いや、俺は綺麗系美少女の白魚のような手を握りたかったわけではない。訳ではないが握ってしまっただけだ。



「アレックス様。」


 ヴィヴィアンちゃんがまた泣き出した。悪役令息アレックス危機一髪?



 えーい、どうせなら可愛い系ツインテールの小さいおてても握り締めてやろう。はぁ、至福の一時。



「オリビエちゃんがあの時来てくれなかったら俺、今頃ジャージで舞台に立ってた。君の的確な指揮のお陰で助かったよ。ありがとう。」



 ふはは。美少女のおててを堪能してやったぜ。悪役令息アレックスはやっぱりセクハラで捕まるかも…。ならば。


 顔を真っ赤にするふたりに恐る恐る問う。



「もう一つお願いがあるんだけど、紅持ってない?」



 美少女の可憐な唇を彩るその紅を父のように顔に塗りたくってやろうではないか。


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