第15話 パワードスーツも無理

1:パワードスーツは介護職の象徴になってむしろみじめな世界に落ちた。本当ならこの国に多数の介護施設と介護ロボットを置くべきだったし、そうすることで老人福祉施設のパンデミッククラスタは防げたし現に中華人民共和国はそうやった。でも日本人は機械に頼るのではなく非正規雇用の低賃金労働者、あげくは外国人実習生や「タイ〇〇さん」に頼るという20世紀のローテクで止まった。世が世なら介護地獄だの介護離職問題なんて技術が解決しているはずなんだ。

2:軍事用パワードスーツはとっくの昔に米軍やイスラエル軍で実現済み。

3:軍事用バイオパワードスーツの行き着く先は『エイリアン』。バイオパワードスーツの場合だと逆にバイオパワードスーツに飲み込まれて80年代の『エイリアン』の世界になる。『エイリアン』の正体は人間でしたというみじめなオチになる。


 特に1だな。本来老年が働かなくてもいいようにするために「公的年金」という「保険」があるわけだ。老年になっても収入が無くなって路頭に迷わないようにするために「保険」はあるわけでその保険も累進制度なんだ。そういう社会システムが壊れて老人がパワードスーツ着ながら老人を介護するというディストピアが実現したのが2023年の日本で「科学の使い方」を間違えているわけ。

 パワードスーツは倉庫作業員でも活躍しているがここでも老年のパート・アルバイトの巣になっている。残念ながら科学の使い方を誤るとディストピアが現実になるのだ。

 じきにこのパワードスーツはヤングケアラーやビジネスケアラーでも使用というある意味「人喰い」が実現する。つまり若者や中年の働き盛りの未来を老年が未来も肉体もお金も食いつぶすという文字通りの人喰いである。現役世代がお金を払っても介護問題を解決できないのは誰も介護の成り手になりたがらないからである。だから介護保険制度は「介護の社会化」という理想が崩れ「介護の市場化」に落ち資本主義的に儲からない世界はうち捨ててしまい家族介護の世界に逆戻りした。しかも我が国の平均寿命は1990年代後半の80歳前後よりもさらに10歳ほど増えてるのでアルツハイマー患者の巣になってしまったということだ。そうなんだよ。アルツハイマーって80歳から激増する病なんだ。

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