〇〇な女とはラブコメにならない

青甘(あおあま)

第1話

初めまして

俺の名前は白木弓弦。高校二年生だ。今日はテンションが高い

なぜかって?


転校生が来るからだ!

いや~、楽しみだ

やっぱり転校生はお約束の展開だよな



そんなことを想いながら駅で友人を待つ





「遅い!」

待ち始めて10分になる

たったの10分だと思うだろうが

俺の友人は今まで待ち合わせに遅れたことは一度もない

何かあったのだろうか

気になり駅のホームへ向かう



「だから俺はやってません!!」

男の大声が聞こえる。間違いない、これは友人の声だ

俺は急いで声のする方に近づいていく


そこには駅員さんと友人、それに泣いているような女子高生が一人いる

俺の視線に友人が気付く

「ゆづ「おいおい、何かあったのか」」

友人の声を遮るように聞く

「あ、ああ・・・・」

歯切れが悪い



「君は彼のご友人かな?」

駅員さんが聞いてくる

「はい、それよりも何かあったんですか」

「実はね、、、君のご友人がどうも彼女に痴漢をしたらしくて」

言いながら女子高生へ視線を向ける

「は、はい。この人に電車に乗ってるときに痴漢をされてし・・・」

なるほど




「何度も言ってるじゃないですか。俺はやってません!!」

友人が声を荒げる

「でもねえ、彼女はそう言ってるわけだし」

駅員さんが困ったように言う


はあ、このままじゃ埒が明かないな


「あの、詳しく教えていただいていいですか」

俺はその女子高生に言う

「は、はい。えっと電車に乗って学校に向かっている最中に突然後ろから体を触られる感覚がして、、、私。怖かったんですけど、でも勇気を出して駅について駅員さんに言ったんです」

「それはかれだったんですか」

「顔は見てませんが、後ろに彼しかいなったので」

「だから違うって」

俺は友人を手で制し質問をする

「その痴漢をしていた手は左手でしたか」

「い、いいえ右手でした」




「それはおかしいですね。彼は今右手をけがしているので動かせないはずですよ」

「そうだよ、俺は右手はケガしてるから動かせないぞ」

「え、、、で、でも包帯も何も巻いてないですよね」


動揺しながら聞いてくる

「ええ、彼はあまりそこらへんアバウトですから。なんでしたら診断書でも見せましょうか」

そうだ。彼はどんなにけがをしようとも何も処置はしない


まったく、少しは気にしてほしいものだ

俺は彼女に言う



「もしかしたらほかの人だったんじゃないでしょうか。途中で移動した可能性もありますよ」

俺は駅員さんに視線を向ける

「う~ん、確かにそんな状態じゃできないね」

もう一押しか


「ですが、彼があんな女子高生にやるわけないんですよ」

俺は高らかに言う

「それはどうして?」





「それは彼の好みの女性は巨乳のお姉さんだからですよ」


「・・・・」

「・・・・」

駅員さんと女子高生はぽかんとしているが

「ギャーーー、やめろ」

一人だけ騒いでいる



「だからやってないと?」

「ええ、何せ彼のスマホの待ち受けなどもすべて彼の好み使用になっているくらいですから」

「一回黙れ!!」

やなこった

俺はしゃべり続ける

「ですから、彼がこんな貧相な女子高生に痴漢するわけないじゃないですか」


そして駅員さんと友人の視線がどことは言わないがある一点に注がれる

「最っ低」

小さく彼女がつぶやく



「おほん、まあ確かに確信があるわけではなかったのに疑ってすまなかったね」

「こちらこそご迷惑をおかけしました」


どうやら丸く収まったようだ

「勘違いをしてしまい本当にごめんなさい」

女子高生が友人に謝る

「あの、もしよろしかったらお名前をうかがってもいいですか」

「ええもちろん、俺の名前は「こいつの名前は如月雨〇、俺の名前は佐〇カズマだ」」

俺は代わりにこたえる

「そうだ、それともう一つ」




「次痴漢の犯人に仕立て上げたいならもっと準備してくるんだな」

「?!」

俺は彼女の耳元でささやくと一瞬驚いたような顔をするがすぐにもどる

「何のことでしょう」


「まあいいさ。では自分たちはこれで」


俺達は学校へと向かう

「なあ、なんであんなウソいったんだよ」

「あんなウソって?」

「名前のことだよ、あれお前の好きなラノベのキャラの名前だろ」

さすが俺の友人だ

「いや~少し本名を言うのは危険だと思ってな」

「ふ~ん」

「そんなことより転校生だぜ!絶対何か起こるだろ」

「出たよ、ラブコメには目がない弓弦が」

彼はあきれる

「そんなにいいものなの、転校生が」

「当たり前だろ!転校生といえばラブコメにおいて欠かせないキーパーソン!ラブコメが起こること間違いなし」

俺は断言した


「はは、まったく弓弦らしいよ」

俺たちはそんな他愛もない話をしていると学校についた






「え~、それでは転校生を紹介する。入ってきて」

朝礼で担任の先生に紹介され転校生が入ってくる

さて、そんな人だろう。やっぱりもしかしたら俺の許嫁とかか


などと妄想にふけっていると一人の見たことあるような女子高生が入ってくる

彼女は一度お辞儀をすると

「初めまして、錦川萌香です。よろしくお願いします」

そんな当たり障りのない挨拶には目もくれず彼女の相貌を見る

俺は友人と顔を見合わせる

「なあ、やっぱりあの子って今朝の」

「みなまで言うな。俺が女を見間違うわけないだろう。お前の想像通りだ」


俺と彼は席が前後のこともあり小声で話す

どうやらそのようすで彼女も気づいたようで視線を感じる



転校生とはもっと新しい風を吹かせてほしいと心の底から願った

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