第44話 トレース変換法

ユウキ「今回はトレース変換法について、解説するぞ」

アリス「ここオリジナルのやり方なので、参考程度にしてくださいね」

ユウキ「前置きなしで、さっそくやり方を説明するぞ!」


1.マネしたい小説 を選択(自分が読みやすい本)

2.選んだ小説の文章を、そのまま書き移す

3.キャラの名前と台詞を改変する

4.流れをそのまま、文章を自分の作風に変える


ユウキ「この手順で行う事を、トレース変換法と呼ぶ」

アリス「最初に丸々マネをして、最後に自分の作風で書き直すのですね」

ユウキ「これも最初は恥ずかしいけど、音読よりは先にに慣れる」

アリス「周囲の目を気にしないで良いですからね」


ユウキ「この方法で何を学んでいるかというと、構成力と表現力だな」

アリス「ええっと……。そもそも構成力と表現力とは具体的に?」

ユウキ「あいまいな言葉だから、ここでは以下に定義する」


構成力:伏線、シーンの配置、キャラや世界観の掘り下げをテンポを崩さず行う力

例:キャラの説明中に唐突に世界観説明をしない、シーンの切り替えが自然など


表現力:イメージし易い言葉で、動作や感情を表すこと

例:専門用語を身近な言葉で例えるなど


ユウキ「次はなぜこの二つが必要か? 何故この方法で上がるのかを解説するぞ」

アリス「必要な理由ですか? 言われてみれば、なぜ必要なのでしょうか」

ユウキ「実は小説、特にラノベに必要なのは、文章力よりこの二つだな」

アリス「ええ!? そうなのですか!?」


ユウキ「イラスト同じだよ。絵が上手いに越したことはないけど」

アリス「偶に絵が個性的な漫画家さんもいらっしゃいますね」

ユウキ「自分達で下手糞とか自虐するが、素人にはその絵すら真似が難しい」

アリス「う~ん。なぜでしょうか?」


ユウキ「表現力。つまりそのキャラが何をしているのか、見てわかる力が違うから」

アリス「確かに! 絵が綺麗でも解説されないと分からないようでは、退屈です!」

ユウキ「遠近感の取り方とか、次の動作に向けたコマとかが、構成力だな」

アリス「皆さんさり気にやってますが、実際にやると難しいですものね……」


ユウキ「線が綺麗でも。正面顔ばかり描いていたら、上手いとは言えないだろ?」

アリス「確かに。正面ばかりでは、挿絵に使えませんね……」


ユウキ「小説も同じだよ。いくら文章が丁寧でも、動きが分からないと」

アリス「なるほど……。多少拙くても、意味が伝われば良いのですね」

ユウキ「更に読者が混乱しない様に、情報は順序良く出さないと」

アリス「意味が分かり、尚且つ情報過多で混乱しないようにしなければいけないと」


ユウキ「うん。文章力ばかりに拘っていちゃダメだ。この二つも学ばないと」


アリス「なるほど。ではなぜこのやり方が、良いのでしょうか?」

ユウキ「これもイラストと同じなんだよ。俺は以下の順序で描いている」


1.マネしたい絵を選ぶ

2.真似した絵の構図を棒人間で描く

3.絵をそのままトレースする(ラフ)

4.第二のラフとして、トレースした絵の上に自キャラを配置

5.ペン入れ


ユウキ「俺は絵が下手だが、これで動きのある絵が書ける様になった」

アリス「前は正面からしか、描けなかったのにね」

ユウキ「でもただトレースしただけじゃ、上手くならないと思う」

アリス「有名なイラストレーターさんも、トレースは意味がないと言ってます」


ユウキ「自分の絵で、表現したい事で描くことが大事なんだ」

アリス「なるほど。自分の技術にするために、自分の絵で描くと」


ユウキ「小説も全く同じだよ。文章を書き移すだけじゃ、劣化コピーになる」

アリス「だからわざわざ、自分の文章、作風で描き直すのですね」


ユウキ「読みやすさがある本って、大抵この表現力と構成力が高いんだ」

アリス「商業作品は、それで認められていますからね」

ユウキ「商業作品は、学べる事が多い。でも読むだけじゃ、分かり辛いこともある」

アリス「確かに。たくさん読んでも、アウトプットできないと意味がありません」


ユウキ「かといって、そのまま書き移すと、劣化コピーになる」

アリス「表現力と構成力を学びつつ、自分の作風も守ると」

ユウキ「うん。流れはほぼパクリなんだけど、作風が違うと全く別物になるんだ」

アリス「トレースして、内容を自分の作風に変換する。だからトレース変換法」


ユウキ「前回の内容と合わせたら、上達する思うぞ」


・文章を書き移し、その後自分の作風に書きかける

・小説に大事なのは、表現力と構成力である

・読むだけじゃ分かり辛い。実際に書いて学んでみる


ユウキ「つっても、特訓って面倒なんだよな。続かない人が多いと思う」

アリス「まあ、そうですよね……。本編書きたくなっちゃいますもん」

ユウキ「継続させるには、様々な本が出ているけど。俺がおすすめなのは……」


一日5分だけやる。それ以上は絶対にやらない。代わりに毎日やる


ユウキ「これだな。あまり長くやると、面倒さを脳が学習する」

アリス「毎日やることで習慣化して、ハードルを下げている訳ですね」

ユウキ「うん。前回のトレーニングと合わせて、5分な」

アリス「あ。それぞれ5分取らなくても良いのですね」


ユウキ「小説の特訓っという括りで、5分だ」

アリス「なるほど……。そうやって、継続させているのですね」

ユウキ「儀式として、コーヒーを入れるとか、スマホゲーのミッション達成とか入れると良いらしいぞ」

アリス「やる前の行動を決めていたら、ルーティン化しやすいそうですよ」


ユウキ「少し余談が過ぎたが、次回の内容を発表しよう」

アリス「次は何の紹介でしょうか?」

ユウキ「次回からいよいよ、長編の書き方を紹介。短編肉付け法を紹介するぞ!」

アリス「また新しい用語ですね……」


ユウキ「それじゃあ、次回も宜しく!」

アリス「お願いします!」

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