第43話 文章力を上げるトレーニング

ユウキ「今回は文章力について、解説だ!」

アリス「遂に来ましたね。ユウにも出来ていないこと」

ユウキ「今回は少し難しいから、長くなる。少しずつ出来る様になれば良いぞ!」

アリス「右脳から左脳、左脳から右脳っとか言っていましたね」


ユウキ「うん。一応解説するまでもないけど、以下の事を頭においてくれ」


右脳:イメージするためのもの

左脳:言語化するためのもの


ユウキ「実際の働きは全然違うけど、ここではこんなイメージでOKだ!」

アリス「ん? このイメージだと……。言語化とイメージの変換になりますね」

ユウキ「おう。現実でも使える内容だから、少しずつ解説していこう」


1.左脳(言語)から右脳(イメージ)へ持っていくトレーニング


ユウキ「突然だが、リンゴ・籠・自転車・家・入るの単語を5つ暗記してみてくれ」

アリス「本当に突然ですね」

ユウキ「単語を見られる時間は10秒。5分後に内容を聞くぞ」

アリス「ええ!? そんなの覚えられるわけがないでしょ!」


ユウキ「普通ならな。でもこんな風に、覚えたらどうだろうか?」


 リンゴを籠に入れた自転車が、家に入っていく。


アリス「あれ? なんだか覚えられる気がします」

ユウキ「この時、文章の映像が頭に浮かばなかったか?」

アリス「確かに。浮かんだ気がします」

ユウキ「これ、暗記のコツな。実は人間って、以下の2つで記憶が定着しやすい」


1.物語の様に、個々の単語が繋がっている事

2.頭の中で映像が組み立てられる事


ユウキ「つまり単語(左脳)からイメージ(右脳)に繋げると、記憶力があがる」

アリス「ふむ。単語の関連性を探すまでが左脳。物語を作るからが右脳ですね」

ユウキ「理屈は知らんが、脳科学で研究が進められている事だ」

アリス「ふむ。しかしそれが小説と何か関係あるのですか?」


ユウキ「ずっと前にも言った様に、人はイメージしたものしか、書けないんだ」

アリス「最初の方に言ってましたね」

ユウキ「つまりイメージがいい加減だと、いい加減な文書しか書けない」

アリス「絵とかも。描きたい描きたいもののイメージがなければ描けない」


ユウキ「だから普段から、イメージの鮮明かを習慣化した方が良い」

アリス「小説を書くときに、負担を減らすためですね」

ユウキ「と言っても、最初は何からすればいいか分からんだろう」

アリス「はい。単語を適当に思いつくのも、負担です」


ユウキ「おすすめの方法は2つ。ラノベを読む。社長とか校長の話を利用するだ」

アリス「後者に恐ろしい事が、書かれているのですが……」


ユウキ「まず1つ目は、大体分かるだろ?」

アリス「はい。ラノベは文章なので、イメージしながら読む必要があります」

ユウキ「ここで文章からイメージへ、変換出来ている訳だな」

アリス「でもなぜ、ラノベ限定なのですか?」


ユウキ「アニメ絵でイメージし易いから」

アリス「どういうことですか?」

ユウキ「ただ読むだけじゃダメなんだ。キャラの細かい動き。わずかな描写」

アリス「それなら他の小説にもありますが……」


ユウキ「それらをアニメの映像の様に、イメージしながら読むんだ」

アリス「アニメ限定なのですか?」

ユウキ「うん。実はリアルな事を想像すると、色々負担が大きいからな」

アリス「それは初耳です」


ユウキ「あくまで俺の経験則だけど。アニメ風にイメージした方が、負担が少ない」

アリス「なるほど。だからラノベ限定なのですね」

ユウキ「注意点として、先にアニメ化したものを見るのはダメ」

アリス「先入観が出てしまいますからね……」


ユウキ「次は校長とか社長の言葉の利用だ」

アリス「偉い人を利用するってどういう事ですか?」

ユウキ「彼らが壇上に立つ時。基本的に一方通行の長い話だろ?」

アリス「まあ……。聞いていない人が殆どでしょう」


ユウキ「その一方通行って部分を、利用するんだ」

アリス「どういうことですか?」

ユウキ「聞きながら、校長の話を映像にしてみよう」

アリス「あ! 校長の言語から、イメージに変換しているのですね!」


ユウキ「会話だと、この変換が上手にいかないと、聞き逃す危険がある」

アリス「それは相手に失礼ですよね……」

ユウキ「でも演説とかだと、聞きそびれても、問題ない」

アリス「それはそれで失礼ですけど……」


ユウキ「だからまずは、一方通行の会話から、イメージする事に慣れよう」

アリス「なるほど。見えない言語も、イメージにするわけですね」


ユウキ「さてと。次は恐ろしいほど、難しい事を紹介するぞ」


2.右脳(イメージ)から左脳(言語化)に変換


ユウキ「イメージが鮮明になれば、具体的な説明が出来る」

アリス「はい。そのためのイメトレですよね」

ユウキ「でも具体過ぎると、説明がクドイ、固い、進行が遅いの3拍子だ」

アリス「ふむ。ただ細かく描写すれば良いってもんじゃないのですね」


ユウキ「だからここで、イメージの言語化を強化する必要がある」

アリス「なんだか難しそうですね」

ユウキ「実際難しい。まず目の見えない人に、絵の感想を共感すると想像してくれ」

アリス「かなり限定的なシチュエーションですね……」


ユウキ「この時絵の内容を、"誤解なく"かつ"分かり易く"て"簡潔に"説明する」

アリス「うぐっ! そう言われると、自身がありませんね……」

ユウキ「これが、右脳から左脳への変換だ」

アリス「な、なるほど。小説でも実際似たシチュエーションですね」


ユウキ「自分の頭の中を、人に説明している訳だからな」

アリス「それが文章力に直結する訳ですか」

ユウキ「さっきのやり方は文章力に直結しないけど……」

アリス「こちらは文章力そのものと言っても、過言ではありませんね」


ユウキ「残念だけど、これを解消する近道は、ないんだ」

アリス「ああ……。解説してくれるわけではないのですね……」

ユウキ「だから慣れるための、特訓方法を紹介する」

アリス「また特訓ですか。まあ慣れしかありませんものね」


ユウキ「とりあえず、漫画を用意しよう。好きなものでな」

アリス「はあ!? 小説の話ではないのですか!?」

ユウキ「ここからが重要。その漫画を、小説にしてみよう」

アリス「ええ!? 相当難しいですよ!?」


ユウキ「そう。難しい。漫画は絵がある前提で話が進むからな」

アリス「そうか! だから誤解なく簡潔な情景描写が必要なのですね!」

ユウキ「うん。逆に絵がある分、イメージをしなくて済むから、負担も少ない」

アリス「な、なるほど……。理にかなった方法な気がします」


ユウキ「漫画のテンポを損ねず、どこまで小説化できるか」

アリス「それをすれば、文章力があがるのですね」

ユウキ「そう。これに前回の推敲と合わせれば、大分腕が上がる」

アリス「うぅ……。文章力一つつけるのも、大変ですね」


ユウキ「ただ長々とすると嫌になる。だからまず1日2コマにしておく」

アリス「どうして。2コマだけなんですか?」

ユウキ「大体5分くらいで終わるからな。それ以上やったら、先に嫌になる」

アリス「ああ。脳が拒否反応を起こす訳ですね」


ユウキ「俺もまだ1ページが限界だ。最初の内は無理するものじゃない」

アリス「沢山書いて、沢山読むの意味が分かりましたよ」


ユウキ「あとたまに、人の小説の模写をおすすめする人もいる」

アリス「あ! 私も見たことありますよ!」

ユウキ「俺個人としてはおすすめしない。文体まで似て来るから」

アリス「自分の文体で書かないと意味がないってことですね」


ユウキ「もう1つのやり方として、自分のイメージを単語に書き出す」

アリス「んん? どういう事ですか?」

ユウキ「文章にする前に、単語の羅列で、イメージを説明するんだ。こんな風に」


・角が折れた前髪・黒髪・丸顔・黒いコート・襟が立っている

・小柄・低身長・黒瞳・黒いインナー等


ユウキ「これはあるキャラをイメージした時の、単語だ」

アリス「あ! 人の情景描写の前に、その人の特徴だけを上げているのですね!」

ユウキ「そう。ややこしい説明の前とかに、これをやると便利だぞ」

アリス「確かに、情報の整理が出来ますね」


ユウキ「今回はちょっと長かったが、文章力について理解できたかな?」

アリス「正直理解できたか自信がありません」

ユウキ「今回の内容をまとめると、以下の順序で文章を書くという事になる」


1.言語を見る

2.言語同志の繋がりを見る

3.言語からイメージに変換する

4.イメージ化した言語を物語に変換

5.イメージを鮮明化していく

6.鮮明化したイメージを、再び言語化する

7.不要な文字を削除し、誤解の無い説明をする


ユウキ「文章を書くと一言で言っても、脳ではこれだけの処理が行われている」

アリス「だから小説を書くと疲れるのですね……」

ユウキ「疲労軽減、文章力アップのためにも、自動化がおすすめだ」

アリス「そのための習慣。普段からイメージや、言語化に慣れろってことですね」


ユウキ「さてと。今回少しだけ、文章の模写を説明したよな?」

アリス「あまりおすすめしないとか、言ってましたけど」

ユウキ「文章力を上げる分にはな」

アリス「どういうことです?」


ユウキ「実は構成力や表現力を学ぶ分には、非常に有効なんだ」

アリス「ええ!? どっちなんですか?」

ユウキ「でも文体まで真似しないには、コツがいる。それを次回紹介だ!」

アリス「一体どんなやり方なんでしょうか?」


ユウキ「トレース変換法。俺が絵のトレーニングに使っている、やり方だ」

アリス「またオリジナルの単語を出して……」


ユウキ「それじゃあ。みんな! 次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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