第41話 伏線の配置、その学び方

ユウキ「今回は伏線について、紹介だ!」

アリス「小説のみならず、物語には大事ですよね」

ユウキ「いかに読者にバレず、尚且つ分かる形で伏線を用意するか」

アリス「作者の手腕が求められますね」


ユウキ「と言っても、こればかりは方法論を学んでも仕方ない」

アリス「そうなのですか? 指南書には色々書いていますが……」

ユウキ「ずっと前にも行ったけど、伏線ってパズルゲームみたいなものなんだ」

アリス「練って、積んで、一気に連鎖する。だから爽快感があるでしたね」


ユウキ「パズルで5連鎖のやり方を学んでも、初心者は咄嗟に出来ないだろ?」

アリス「そうですね。それが出来れば、みんな最強になっています」

ユウキ「小説も同じさ。まず一連鎖出来るようになろう!」

アリス「う~ん。小説で一連鎖って、イマイチ想像できないですが……」


ユウキ「今回は一連鎖出来る様になるまでの、特訓方法を紹介する」

アリス「まずは簡単な連鎖から学んで、判断力を磨くわけですね」

ユウキ「3連鎖以降は、これに慣れてから行う」

アリス「それで。今回はどんな特訓方法なのですか?」


ユウキ「ずばり! ミステリーを書こうだ!」

アリス「は?」

ユウキ「先に言っておくが、本格ミステリーを書く訳じゃないぞ」

アリス「ああ……。びっくりしました……」


ユウキ「書きたくないもの書いても、仕方ないからな」

アリス「ではどんなミステリーを書けば良いのですか?」

ユウキ「今書いている小説にミステリー要素。つまり謎解きを入れれば良い」

アリス「謎解き?」


ユウキ「うん。まだ明かされない、今後ハッキリとする情報の事だな」

アリス「それなら、どんな小説にも1つくらい入っているのでは?」

ユウキ「そうなんだが。その数が問題だな」

アリス「ええっと……。どういう事ですか?」


ユウキ「これは実際に見てもらった方が早いな。下記のは、俺がギャグやトリックを考えるために使っている理論だ」


質より量理論・簡易情報繋げ法


ユウキ「ここで重要なのは。1つ1つの情報は、単純なものって所だ」

アリス「どういうことですか?」

ユウキ「例えばトリックの場合。1つ1つは大したトリックじゃない」


トリックの場合

・停電を起こす

・特定条件下で爆発する、爆弾を用意する

・スポットライトを利用して、姿を隠す

・別の人物を狙った様に見せかけた、実は被害者をピンポイントで狙った殺人

・爆弾は見せかけ。本当は爆発前に殺害していた

・通気口を使って、ショートカットしていた

・わざと爆弾の証拠を残して、被害者が爆弾で死んだかの様に見せかける

・死体を燃やして、死因を隠す


ユウキ「こんな風に、1つ1つのトリックは、大したことないだろ?」

アリス「確かに単純なものですね。難しい理論とかもない」

ユウキ「でもこれを組み合わせたらどうかな?」


・犯人は停電前に被害者を殺害。スポットライトを利用して、被害者の死体を隠す。その後通気口を通って、現場から脱出。その後停電を起こす。停電の状況下で爆弾を爆発させ、スポットライトを破壊。被害者の死体を皆に見せる。

・爆弾の破片が被害者に付着している。実は同じものを前もって被害者につけていた。これにより、爆弾で死んだかのように見せかける

・実際の死因を隠すため、被害者の死体を燃やしていた。あたかも爆破で燃えた様に見せかける


ユウキ「どうだ? トリックとして、少し複雑そうに見えるだろ?」

アリス「なるほど。1つ1つは単純でも、組み合わせる事で、誤魔化せるのですね」

ユウキ「その通り。後は丁寧に謎解きをして、伏線を回収するだけ」

アリス「1つ1つの情報は単純なので、伏線の配置は容易そうですね」


ユウキ「うん。次は箇条書きの部分に、各々の伏線を書いてみようか」


・停電を起こす → 電力源が壊されて、意図的に起こされたものだと描写

・特定条件下で爆発する、爆弾を用意する → 爆弾の形状を説明する

・スポットライトを利用して、姿を隠す → 舞台の様子を描写

・不特定多数を狙った様に見せかけた、実は被害者だけ狙った殺人

 → 被害者に恨みを持つ人物がいる描写

・爆弾は見せかけ。本当は爆発前に殺害していた → 傷の位置など、微妙なズレ

・通気口を使って、ショートカットしていた → 通気口の誇りが不自然に飛んでる

・わざと爆弾の証拠を残して、被害者が爆弾で死んだかの様に見せかける

 →付着している箇所が不自然

・死体を燃やして、死因を隠す → 凶器が使われた可能性の描写


ユウキ「見ての通り。1つの1つの描写は、1連鎖に過ぎない」

アリス「情報が単純な分、伏線も簡単なのですね」

ユウキ「問題は、どの順番でどこに配置するかなんだ」

アリス「確かに。ここを間違えれば、モヤっとしますね」


ユウキ「こればかりは経験を積むしかない」

アリス「だから伏線は質より量で、連鎖を学べって事ですね」

ユウキ「慣れてきたら伏線を組み合わせるのも、良いと思うぞ。例えば……」


爆弾の破片が付着している箇所が不自然。更に破片に焦げ跡ない

→ 破片は事前に用意されたもので、被害者は爆弾の近くに居なかった


ユウキ「こんな風に。1つの事実で、2つの事が分かる。これが2連鎖だな」

アリス「なるほど。慣れていけば、連鎖を増やせそうですね」

ユウキ「ああ。ただし情報過多で、混乱を招かないように。情報の整理は慎重にな」

アリス「確かに。読者が理解しやすいのが一番ですから」


ユウキ「最後に、バトルファンタジーにどうやって組み込むか、一例を出そう」

謎について

敵の目的は? → 敵の親玉の目的は力で支配すること → 支配欲について描写

協力者入るのか? → 敵と対立している有名人が居る → 知り合いに説明させる

敵は誰なのか? → 主人公と敵の対立 → 独自理論をぶつけ合い、対立を深める

主人公の目的は? 動機である、父の死などの謎 → 主人公に別の目的がある描写


ユウキ「こんな風に謎とセットにすればいいと思うぞ」

アリス「なるほど。こうやって、小説にミステリー要素を入れるのですね」


・質より数理論で、とにかく数を稼ぐ

・単純な情報を組みわせて、複雑に見せかける

・まずは簡単な1連鎖から学んで、情報の組み合わせを理解する


ユウキ「次回は推敲について、解説だ!」

アリス「推敲……。小説をブラッシュアップさせるやり方ですね」

ユウキ「変わったやり方で、最初は恥ずかしいかもだけど、慣れれば強みになる」

アリス「そもそも変わってないやり方が、ないですけど」


ユウキ「それじゃあ、次回も宜しく!」

アリス「お願いします」

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