第8話 ドライブ?

 昨日はよく眠れなかった。お迎えは10:00。電話を切ってからなかなか寝付けずに、明け方になってやっと眠れた。電話を切ってから、ドキドキと一緒にヨット部のこと。

(ヨット部の知り合い誰もいないんだよなー。)

(あ、いたじゃん。)


 中学高校の通学のとき4年間一緒に通ってくれたK大学の人。元彼氏の親友。

(どうしようかなー。聞いてみようかなー。)

(今日乗ってからでもいいよねー。)

(帰ってきたら、連絡してみよう。)

(真くんのこと言われるのは嫌だなー。)


 準備を整え、コーヒーを飲んでいたら、

「ひろたん、パパにいつ紹介してくれるの?」


(え?真くんのときは顔も見なかったじゃん。どういう風の吹き回し??????)


「紹介してもいいけど、パパ態度が失礼なんだもん。真くんのときみたくしたら二度と紹介しないけど。」

「その彼も建築やってるんでしょう?一度会ってみたいな。」

「なんで真くんはダメだったの?」

「パパはK大学嫌いなの知ってるでしょう。しかも法学部とか。弁護士嫌いも知ってるでしょう。」

「じゃー今回は、建築やってるってだけで合格点なの?」

「その通り。もしかしたらひろたんのお婿さんになったら、会社ついでくれるかもしれないし。そしたらひろたんは安心して産休とれるでしょう。」

「パパ、気がはやすぎ。淳介くんのお家も手広く商売してて、うちには婿入りなんかできないから。ざんねんーーーん。その前に自分の息子なんとかしたら?」

「あいつが建築学科行けるわけないだろう。」

「高校だって大人の力駆使したんなら大学もそうすればいいじゃない。私のためにもはやく勝を人並みにしてよ。」

「彼は今から来るのか?」

(自分のバカ息子のことはスルーか。)

「挨拶する?どうする?いきなりだと彼も驚くから決めてよ。」

「散髪行ってからにする。今度はいつ来るの?」

「たぶんねー、来週の日曜。」

「楽しみだなー。」

(面倒臭い父親。)


 今朝起きて慌てて爪の長さを調整した。運動するなら爪危ないだろうし。入学直前にネイルサロンはいっておいた。普段は夏にしか足はやらないけど、珍しく母がスポンサーになったので出来ることは全部やった。

(フットやっておいてよかった。)

(あ、ついた↗↗↗↗↗。)


 タオルやらアイロンやらつめこんだら、大荷物になってしまった。

「パパ行ってきます。19:00位には帰ってくるね。」

「いってらっしゃいー。」


 淳介くんやっぱり美形だ。目の保養、目の保養。

「おはようございます。わざわざありがとうございます。」

「おはよー。荷物は後ろに置いてね。」

「はやくここから動いてもらってもいいですか?」

「親に内緒なの?」

「違います。今朝急に父が淳介くんはいつ挨拶に来るかと言い出して。会えるの楽しみって言い出して。」

「挨拶なら今するよ。」

「でも父は散髪にいってからがいいと。今恐らくリビングのレース越しにこっちを必死に見てるはずなので。お願いですから移動しましょう。」

「ここでキスしたら、責任とれとか言ってくれるかなー、お父さんは?」

「朝から気持ち悪いこといわないでください。」


 車はやっと動き出した。江ノ島までは一時間ぐらい。

「昨日は遅くまですいません。」

「こちらこそ、最後に重い話しをしてごめんね。」

「あれからヨット部のことを考えてて、誰かヨット部の知り合いの友達いないかなーって思ったらいたんですよ。」

「うん、それでその友達が?」

「うちの大学のヨット部は淳介くんに聞けるけど、体育会ヨット部全体の話とか他校の話も聞いてみたいな。って思ったんです。」

「その友人高校まではテニスやってて、大学からヨット部なんです。私も高校までテニスで同じだし。」

「他大学のヨット部に友達いるんだー。ごめんまさか前の彼関係じゃないよね?」

「前の彼ではないですが、中学2年から高校2年までの4年間を一緒に通学して痴漢避けになってくれた友人です。前の彼はその通学グループの一人です。」

「ひろ、今日やめようか。」

「なんでです?」

「本当にわかんないの?」

「ごめんなさい、本当にわかんないです。」

「ごめん、ちょっと待ってね。今日の予定変わってもいい?」

「お任せします。迷惑でしたら下ろしてくれれば帰りますから。」

「帰るとか言うなよ。」

「ごめんなさい。怒鳴らないで。」

「ごめん、ちょっと冷静になろうとしてるから待ってね。」

「たばこ吸ってもいい?」

ヒロは小さくうなずいた。

「ひろなんか飲む?」

「お水あるので」

「ねえ?ひろ?聞いてる?」

「はい。」

「顔見せて。」

「今は嫌です。」

「もしかして泣いてるの?お願いだから顔見せてよー?」

「ごめん、他の男子の話を聞いたらただの友人ってわかっていても嫉妬しちゃって。しかも俺もそいつのこと知ってるんだよ。だから余計に悔しくて。K大の浅野だろ?」

「そうです。」

「1年の時、大会あると本部に各大学1名が待機になるんだよ。その時仲良くなって今でも仲がいいんだけど、高校の時の通学の話を聞いたんだよ。俺が聞いたのは、女子3人男子3人の6人組で一人めちゃめちゃかわいい子がいたんだけど他の奴が告白してずっと片想いだって。その女の子っておまえじゃん。」

「お前は浅野の気持ち知ってたの?」

「知らなかったよ。」

「ひろホテル行こう。絶対なにもしないって約束する。車だと顔見えないし。運転事故おこしそうだし、二人っきりでゆっくり話せるとこ行きたいんだけど。」

「うんいいよ。ごめんなさい。」

「謝らなくていいから。行くから。」


 部屋にはいると、

「ひろこっちおいで。顔見せて。」

「やだ」

「だからこんな大学行きたくなかったのに。だから行きたくなかったのに。もうどうでもいい。淳介くんと一緒いたくないし、もういやだ。明日から大学やめる。もうあわない。だからもういいよね。」

「お前本気じゃないよね?」

「浅野君のこと私好きだったし。」

「何言ってるの?」

「やっぱりK大学のが私にあってるし。」

「淳介くんごめんなさい。やっぱり好きじゃなかったのかも。」

「さっきから何言ってるの?」

「今日最後だと思って、いいからこっちおいで。」

「来ないなら俺が行くからね。」

「ひろどうしたの?」

「お前まだ浅野のこと好きなの?」

「今朝まで名前忘れてたけど、中学のときは好きだった。一緒にテニスの話ししたり。でも別れた彼が、強引で。すごく怖くて。誰にも言えなくて。」

「もうそいつのことはいいよ。」

「いったい何があったの?話さなくてもいいよ。」

「淳介くん知りたいでしょう?」

「無理しなくていいよ。」

「話すね。」


 

「高校2年になったときに朝のグループの一人の真くんに告白されたの。私鈍感だからなにも感じてなくて、びっくりしたんだ。」

「真くんも一学年上だから、彼が卒業するとき卒業祝にって。無理矢理だったの。」

「それまで髪は長かったんだけど、真くんが長い髪好きだったからわざと短くしたの。それからはそういうことしなくなったけど。でも別れてくれなくて。」

「それから数ヵ月たって去年の梅雨の時に偶然駅で会ったの。私の髪をみてすごい剣幕で。理由を聞かれたの。」

「結局私苦しくて話しちゃったから、真くんが浅野くんに写真送って。浅野くんは真くんと喧嘩して。」

「それでも、真くん別れてくれなくて、ようやく私の大学が決まったら、諦めてくれて。諦めるというより、地味な大学が嫌だったみたい。」

「乱暴された時位に私も進路決めなくちゃ行けなくて、親とももめてて。」

「ちょうど浅野くんとあったときどん底で。真くんのことはっきりしたら連絡する約束したのに。わざとしなくて。怖かったんだ。」

「もう汚いしわたし。」

「今の大学嫌いだけど、昨日淳介くん見たとき忘れられるかもって思えたし。でもだめだったね。ばらしちゃった。」

「ヨット部の話し聞いて、今朝まで忘れてたの。でも私がヨット部入るなら浅野くんに口止めしなきゃいけなくて。浅野くんとだから連絡取りたかったの。」

「浅野くんと寝たか気になるでしょう?」

「ひろもういいから。」

「もう終わりだし、浅野くんはなにもしなかったよ。一緒に泣いてくれただけ。真くんと別れるときも浅野くんと浮気したとかデマ流されて。浅野くんも傷ついたの。」

「淳介くんも浅野くんも巻き込んじゃったね。ごめんね。」

「引いたよね。私もう帰るね。ごめんね。」


「ひろもういいから。ごめん俺がわがまま言って追い詰めちゃったんだね。」

「俺ヨットやめるよ。」

「だから一緒にいよう。」

「ひろだけでいいから。」

「聞いてる?」


「淳介くん最後にほっぺ触っていい?」

「最後って言うな。いつでもいくらで触っていいから。」

「一緒に浅野のとこ行こうか?浅野に会ってすべて忘れよう。」

「浅野の話し聞いたのは去年の秋なんだよ。あいつさ、守れなかったって。ずーと泣いてて。なんかそのとき切なくてかける言葉もなくて。」

「でもどんなひろでも、ひろがいいから一緒にいたいから。最後とか終わりとかいわないでくれよ。」

「いいからこっちおいで。」

「ごめんなさい。ごめんなさい。」

「もう大丈夫。だから一緒にいてくれるよね?」

「うん。」

「嫉妬してごめん。大きい声だしてごめん。」

「もう少し抱きしめてていい?終わったら浅野のところに行こう。」

「うん。一緒にいて。」



 江ノ島から鎌倉を回って葉山までやってきた。途中でパンを買ってお土産にした。

「淳介くん、連絡してないけど大丈夫かな?」

「どうせ海の上じゃ鳴かなかった連絡とれないし。そろそろ帰ってくるよ。」

「私がここにいても大丈夫かな?」

「大丈夫。浅野の彼女とか思われたらまた嫉妬しそうだけど。」

「ひろ、最後に一回聞くね。浅野でもいいんだよ?ひろの好きな人でいいんだよ!俺はまだ恋愛2日目だし。浅野は5年だぞ。よく考えて。」

「淳介くん一つお願いしてもいい?」

「なに?」

「浅野くんのこと抱き締めちゃうかも。これが最初で最後だから許して。」

「うんいいよ。」

「海からもどってきたよ。ひろ行っておいで。」


「浅野くん久しぶり。」

「え?お前なにしに来たの?」

「会いにきたの。」

「ごめん、片付け終わらせてからでもいい?」

「大丈夫。いつまでも待つから。」

「ちょっとパニックだわ。お前誰ときたの?」

「内緒。その事もあとでね。」

「デニーズで待ってるね。」


「淳介くんお待たせ。今時間ないからデニーズで待ってるって言っておいた。」

「今日なにも食べてないから食べちゃおうかなー?」

「俺食っていいよ?」

「明日大学行くふりしてイチャイチャしない?」

「変態先輩、なに言ってるんですか?」

「明日もまだ授業ないじゃん。」

「今日いじめられたからどうしようかなー?」

「写真とろう♪淳介くんの膝の上に乗ってとりたい。」

「後で、3人でも撮ろう。膝の上かー、なんかそそるね。」

「頭のスイッチが変な方にはいってる。変態先輩。」

「腹減ったし、デニーズ行こうか。」



「ここのデニーズひさしぶりかも。」

「淳介くんここよく来るの?」

「合宿の飯に耐えられなくなると、みんなでここに来るんだ。」

「合宿飯ってどうなの?」

「聞いてからやっぱやめるとかなしだからな。」

「合宿中は食事は当番で作るの。朝食はご飯・味噌汁・のりたま。昼はおむすび2個。夕飯はご飯・味噌汁・野菜炒め・漬物。以上」

「なんでそんなに質素なの?運動するならたんぱく質だよね?」

「うちのヨット部とかは学生から集めた合宿費とOBからの寄付と大学から30万。この合算した金額ですべてまかなうのね。だから必ず出ていくものを差し引くと食い物にまわせる金がないわけ。1日一人150円で食事を作るの。米と調味料は食費とは別だけど。大学によって食事はピンキリ。」

「合宿費年間どれぐらいなの?」

「それも各大学によって違うけど、うちは春15万、秋15万。合計30万。」

「大金だね。みんなどうしてるの?」

「俺は小遣いとバイトで。奨学金のやつとかは合宿費は社会人になってから払ったり。どうしても金が足らない時は、金のある奴が払う。」

「昨日のパーティーはまやかしだーーー。」

「体育会のなかでもヨット部は一二を争うほど肉体的にも精神的にも厳しいと思う。」

「淳介くん、私不安なんだけど。」

「浅野にもきいてごらん。それでも絶体絶命楽しいって言うからさ。」

「ひろがヨット部入ったら、うちの男子相当入るから部がリッチになって今よりよくなると思うよ。」

「浅野くん印象かわってたしなー。なんか前はさわやかで余裕がある感じ。」

「さっき砂浜にいるときに女子部員見ておけばよかった。女子は結構いるの?」

「うちの大学よりは多い。」

「入部すると、いつから活動参加するの?」

「一年生は5月下旬の日曜練習から。」

「ネイルとかは怒られる?」

「うちは女子いないから好きなようにはできるかな。でも、爪はのばせない。」

「お待たせーーーーー。」

「浅野くんいきなりきてごめんね。」

「なんで山岸と一緒なの?まじで山岸なんでいるんだよ!」

「私ね山岸さんと同じ大学なんだよー。」

「ちょっとまて、だって医者かCAっていってたじゃん。どっちでもうちの大学なら一緒になれるって。」

「私の実家しってるよね。うちは建築一家だから跡継ぎで建築学科行かないと行けなかったの。推薦入学の大学一覧から親が選んだのはここだったの。」

「大学がそうなったのはわかったよ。でもなんで山岸といるの?まさか付き合ってるとかねーよーなー。」

「浅野ごめん。浅野の想い人とは知らず付き合いはじめた。浅野こと知ったのは今日なんです。」

「で、いつから付き合いはじめたんだよ?」

「昨日」

「山岸貴様ーーーーー。別れろ。」

「本気で付き合ってるっていってんの?」

「浅野くん本当なの。昨日からだけど私ね本気で山岸さんのこと好きなの。ごめんね。後一緒に泣いてくれてありがとう。浅野くんは一生友達でいたい。守ってくれてありがとう。」

「浅野くんぎゅーってしていい?」

「山岸の前だぞ。」

「気にするな。」

「じゃーさせてね。」

「見てらんないわ。いい加減手をはなせ。」

「山岸悪い、後もう少しだけ。」

「よかったなー。ひろこちゃんよかったなー。本当によかった。」

「キスまでしやがって。今日は特別だ。ムカつく。」

「淳介くんごめんなさい。」

「淳介くんって誰だよ、ごめん笑える。」

「浅野悪いんだけどまだ時間ある?」

「まだなんかあるのかよ!!!!!!!」

「浅野くん私ねヨット部に入ることにしたの。でね。。。」

「あーわかった。もしなんかあったら俺も絶対守るから。はやくそんなの忘れちゃえ。」

「ありがとう浅野くん。」

「山岸お前は許せんわ。どうせひろこちゃんと会えないのが寂しいとか言って引きずりこんだんだろう。てか、うちの大学ならまだしもおまえのとこスラムじゃん。」

「大丈夫。俺とお前いるし。」

「こりゃひろこちゃんヨット部入ったら大争乱なるな。」

「浅野のとこの大学が一番手癖悪いから、お前いるだけで安心だよ。後お前の兄貴にも連絡しておくわ。」

「兄貴が一番たち悪いからひろこちゃん近寄っちゃだめだよ。」

「高ちゃんは私のお兄ちゃんだもん。大丈夫。」

「そろそろ時間だから、行くね。ひろこちゃんよかったな。そいつに飽きたらいつでも浅野兄弟はいるからな。山岸いつも見てるからな。悲しませたら即取り上げるからな。覚えておけ。」

「合宿終わったらご飯でもいこうね。またね。」

「なんかすっきりしたーーー。淳介くんありがとう。」

「浅野キスを上書きするから、はやく車にもどろう。」

「俺我慢したんだよーーー。誉めてくれよ。」

「変態先輩スイッチはいってるい。。。。。。」







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