第38話 【悲報】佐川と山田、ブラックギルドをクビになる泣 追放者視点

「はあはあ……やっと逃げ切れたか」

「なんとか助かったわね……」


 ビッグラットから逃げてきた、佐川と山田。


 ブラックギルド、オチブレロに帰還する。


「黒田社長っ! 佐川さんがビッグラットに噛まれちゃったのよっ! 早く治癒しないと……」


 山田は黒田に頼む。


 (あーめんどくさいっ! なんであたしが佐川を助けなきゃいけないのよ?)


「はあ、はあ、はあ……」


 佐川は顔が青くなり、苦しそうに息を切らす。


「おーそりゃ大変だ。ヒーラーさん! 解毒魔法をかけてやってくれ!」

「うぃーすっ!」


 やけに軽いノリのヒーラー(ギャル)が、佐川に解毒魔法をかける。


 佐川の身体から毒が抜けていく。


「ふう……楽になった。ありがとう」

「よかったよ。佐川さんが助かって……十万な」


 黒田は薄笑いを浮かべた。


「じゅ、十万っ! 金取る気か!?」

「当たり前だろ。タダで回復はできないぜ。へっへっへ……っ!」

「……今は持ち合わせがない」

「なら、今月の給料から天引きな」

「な……っ!」


 (このギルド……ブラックすぎるっ!)


「あと、二人はクエストに失敗したな……」

「それは……ビッグラットが意外と強くて」

「そ、そうなのよっ! すごく強くて……」

「はあ……違うな。ビッグラットが強いんじゃなくて、あんたらが【弱い】んだよ」


 黒田は大きなため息をついて、


 それから——


「あんたらは……クビだっ!」





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る