第36話 政府高官に土下座される「日本を救えるのはあなただけです」

 千代田区霞ヶ関にある、ダンジョン省。


 リムジンで地下駐車場へ入る。


 降りてから、入念なボディーチェック。


 専用エレベーターに乗って、大臣の部屋へ。

 

「有栖川大臣、この方が新見政宗さんです」


 蔵田さんが、俺を紹介する。


 有栖川綾子——第五代、ダンジョン省大臣。


 政治家の中では若く、まだ30代らしい。


 美人大臣として、ファンがたくさんいる。


「今日は来ていただきありがとうございます。実は、新見さんに頼みたいことがあります」


 ふかふかのソファーに座らされて、有栖川大臣と向き合う俺。


 流石に偉すぎる人を前に、緊張してしまうが。


「頼みたいことって……?」

「京都ダンジョンに現れたサラマンダーの件です」

「B級ダンジョンに現れたましたよね」

「新見さんが倒してくれて助かりました。しかし、サラマンダーが現れた原因がわかりまして……」


 たしかに、どうしてサラマンダーが現れたのか気になる。


「ゲートが、出現したのです」

「ゲート……?」

「ゲートの存在は国家機密になっています。しかし新見さんは、【特級探索者】に指定されました。なのでお話させてもらいます」

「と、特級……探索者……?」

「国家規模のダンジョントラブルを解決できる、特別な探索者のことです。誠に勝手ながら、新見さんの実力を拝見しまして、ダンジョン省が指定しました」


 俺の知らない間に、特級探索者というヤバそうなものに指定されたらしい。


「ゲートは、ダンジョン内にランダムに出現し、強力な魔物を召喚します」

「なるほど。ゲートのせいで、サラマンダーが現れたのですね?」

「そうです。調査の結果、ゲートの発生源がわかりまして、沖縄ダンジョンの最深部にあるようなのです」


 おもむろに、有栖川大臣が立ち上がって、


「……どうか、お願いしますっ! 私たちを、日本を、助けるために、新見さんのお力を貸してくださいっ!」


 有栖川大臣は、


 床に膝ついて、


 額を床にピッタリつけて、


 土下座した——


「どうか、どうか、お願いしますっ! 新見さんだけが頼りなのですっ!」


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