第31話 ワンパン鑑定士、美人姉妹からいろいろお礼される「あたしを、好きにしてください」

「新見殿……我がギルドへようこそ」

「新見様、ゆっくりして行ってくださいね」


 俺はB級ギルド【白銀の盾】に、連れてこられた。


 ギルドマスターの部屋に通される。


 香織さんが、真剣な顔で俺と向き合って、


「お礼というかお願いなのだが……新見殿に、このギルドの【株】を51%もらってほしいのだ!」

「え……株を?」


 いきなり株をくれると言われて、俺は驚くが。


「そうだ。新見殿には……白銀の盾の共同経営者になってほしい」

「……あの、ありがたい話なのですが、俺はギルド経営の経験なんてないですし――」


 ギルド経営なんて、俺には無理だ。


 かえって迷惑になりそうだから、俺は断ろうとするが。


「新見殿は、危険を顧みず、自分を犠牲にして、我が妹を助けてくれた。その利他精神に、私は、か、か、か、感動したああああああああああああ……っ!!」


 香織さんの目元から、


 ぶわっと、大粒の涙が……っ!?


「もう……お姉ちゃんは涙脆いんだから。新見様、ごめんなさい」


 香織さんの隣にいた、亜美さんがティッシュを渡す。


 ――ちーんっ!!


 思いっきり鼻をかむ、香織さん。


「……ゴホンッ。たいへん失礼した。あまりにも感動しすぎてな。……探索者は己の利益しか考えない者が多いのに、新見殿は素晴らしい。だから白銀の盾の経営を、ぜひ一緒にやりたいのだ」

「……お気持ちは嬉しいのですが、やはり——」

「経営が煩わしいのなら、せめて株だけは受け取ってほしい。毎年、配当金を支払うから」

「何もせずにお金だけ受け取るのは……」

「そうでもない。今や人気ダンジョン配信者の新見殿がギルマスなら、それだけで白銀の盾の宣伝になる。どうか、株をもらってくれないか?」


 白銀の盾の株をもらえば、毎年、配当金が入る。


 要するに、何もせず【不労所得】を得られるわけだ。


 かなり美味しい話だが。


「すみません。お金だけ受け取るのはやっぱり——」

「ほぉ……不労所得は要らぬと。ならば、これで【お礼】を差し上げたい」


 香織さんの眼光が鋭く輝く。


 おもむろに立ち上がって、


 服を……脱ぎ始めた!


「な、な、な、何をして……っ?」

「別のお礼を差し上げようと思ってな。助けてられて何もしないのでは、ギルドの名誉が地に落ちる。さあ、新見殿の好きにするがいいっ!」


 シャツのボタンをすばやく外し、


 ブラジャーが床に落ちて——


 たわわな胸が、俺の目の前に。


 ばよんっと、鼻先に胸を突きつけてくる。


「亜美……お前も、だ」

「はい。お姉ちゃん。あたしも……新見様にお礼しますっ!」


 亜美さんも服を脱ぎ始めて——


 するすると、あっという間に、生まれたままの姿に⁉︎


「新見様……あたしを、好きにしてくださいっ!」


 香織さんと違って恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして胸を向けてくる。


「いや、あの、俺は別にお礼なんて——」

「なるほどな。新見殿は【責められる】ほうが好きなだな? 了解した。亜美、行くぞっ!」

「はい! お姉ちゃんっ!」

「そういうことじゃなくて……あーッ!」


 二人が俺にぐいっと近づいてきて——


 完全にアウトになってしまう……っ!




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