第2話 見えるのに嘘だと言われる

「よし……配信を始めるか」


 クビになった後、俺はソロでダンジョン配信を始めることにした。


 ソロで配信するやつは少ない。


 今は配信者ギルドでやるのが普通だ。


「同接は……0か」


 当然、無名の俺が配信をしても誰も見ない。


「……鑑定、アクティベート」


 スライム Lv.1

 腕力:2

 器用:1

 頑丈:1

 俊敏:2

 魔力:1

 知力:1

 運:1

 弱点:頭の上の突起

 通常ドロップ:薬草

 レアドロップ:スライムドレス


「スライムの鑑定をしました……スライムのステータスは……」


 配信ドローンに向かってしゃべる俺。


「同接が少しずつ増えてる……」


 0から5になってる。


【配信コメント】

『弱点、見えるの?』

『鑑定ってドロップまでわかるのか?』

『嘘つくなよ。鑑定に【弱点】なんてないし』

『盛ってるwww』


 なぜか嘘つきにされてる……


「きゃああああああああっ!」


 女の子がすごい勢いで逃げてくる。


「あれは、ミノタウロスっ!」


【配信コメント】

『ここD級ダンジョンだぞ……』

『ミノタウロスってS級の魔物じゃん』

『主、死んだな』


 どうしてD級ダンジョンの、しかも低層でミノタウロスが……?


 それは置いても、このままじゃ女の子も俺も——


 死ぬ。

 

「誰かぁあぁぁぁぁぁ! 助けてぇぇぇ!!」



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