ライムの冒険編
第12話 ラスファートに到着
村を出た僕は、まずラスファートを目指した。
「最初に行こうとしていたときは、途中でホノカに会って引き換えしたからな。まぁ、あのまま行ってたらどうなってたかわからないし、結果オーライだけどな」
でも今回も、まだ僕は大人の年齢じゃないから、こっそりどんなところなのかを見るだけにしとかないとな。
色々考えながら走っていると、日が暮れる前に草原に出た。
「もう森を抜けたのか。まぁあの頃から格段に強くなってるから当たり前か」
今まで見たことのない景色にライムの鼓動が高まる。
「この草原の少し先にホノカの故郷があるんだよな。ホノカは見たくないからまだ村の現状を知らないって言ってたし、少し見てみるか」
村が地平線に見えてきて少しすると、かすかに光属性の魔素を感じた。
「ん? これは村の方からか?」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
気になり急いで走って行くと、村の中央から反応があるとわかった。
「うわー、これはひどい」
村は、ぐちゃぐちゃになったまま放置され、木造建築の家は崩れ落ち、苔や植物が生え始めていた。
ラスファートの人達は知らないのかな? まぁとりあえず、光属性の魔素を感じた所に行くか。
僕は村に誰か居ないか、などを調べるために探索しながら光属性の魔素を感じた場所に向かった。
「ん〜、この広場から感じたんだけど、多分いや確実にこれだよな」
村の中央にある広場に着くと、広場の真ん中に粉々にされた光り輝く剣があった。
「何だこの剣、粉々になってるけど錆びたりはしてないな。それにこの剣から光属性の魔素を感じる」
僕はその剣の柄を拾ってリュックに入れた。
「かっこいい剣だから、柄だけでも持っていくか」
僕はその剣をリュックに入れ、またラスファートを目指し走った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ホノカの故郷の村から2時間ぐらい走るとラスファートが見えてきた。
「すげぇー。防壁に囲まれてる。一体中にはどんな人たちが暮らしてるんだろう?」
僕は早速門番の目を盗み、防壁の上に登った。
「すごすぎる。まさに僕の思い描いていた理想の人間の国だ! しかもめちゃくちゃ広いじゃんか」
ラスファートは、自然も残しつつ最新の科学と魔法を使った街がいくつもあるように見えた。
そして中央の大きな丘には、城が立っている。
「防壁の中に更に壁がある。あそこが王宮か。行ってみたいなぁ……。まぁ勇者パーティーに入れば行けると思うし、今は行かないけど」
ライムはラスファートの景色をただ呆然と見ていた。
「ん?」
僕がラスファ―トの景色に見惚れていると、後ろの方から大きな気配を感じた。
「グギャァァァア!」
僕の後ろには、大きな翼で空を飛ぶ青いドラゴンがラスファートを目指して飛んできていた。
「なっ! この世界にはドラゴンも居るのか!!」
僕はすかさず拳を握り、魔力を高める。
「大人のドラゴンか。マズイぞ! おい新人、早く『ラストナイト』を呼んで来い!」
「はっ!」
下に居る門番達は、慌てた様子で守りを固めていた。
「奴等を呼ぶ必要はない……。私が斬る」
「貴方は!」
門番が慌てながら閉じかけていた門の先から、赤髪ポニーテールに青い瞳をしたスラッとした体系の女の人が腰に剣を携えて歩いてきていた。
「ふんっ!」
赤髪ロングの女の人は、腰に携えた剣に手を置きながら、ドラゴン目掛けて高く飛んだ。
「ギャャァァ!」
ドラゴンは女の人が突っ込んできていることが分かると、魔力を高めてブレスの準備を始めた。
「アァァァア!」
ドラゴンは氷のブレスを女の人に向けて放った。
「その程度のブレス。私には効かない」
だが、女の人はブレスを避けること無く、突っ込んだ。
女の人はそのまま突っ込みドラゴンの正面まで到達した。
「終わりだ……」
女の人はそう言うと、ドラゴンの体を真っ二つに切り裂いた。
「グァァァ!」
ドラゴンはそのまま地面に落下していった。
「おぉー、流石は人類史上最強の魔剣士リサ様。いつもありがとうございます」
「礼は要らない。私はただラストナイトが気に食わないだけだ」
女の人は、そう言いながらラスファートの中に戻って行った。
「いや〜今の凄えな。いつか戦ってみてぇ」
ライムはそう呟きながら、腰を下ろした。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
数十分後。僕が目の前に広がる巨大な国に呆然としていると夕暮れ時になった。
「やっべ、もう夜じゃん。今日はどこで寝ようかなぁ。ここで寝たら見つかりそうだし……」
僕が悩んでいると、東の方に混沌の大森林とは違う大きな森が見えた。
「おっ! あそこなら見つからなそうだ。今日はあの森で寝て。明日はあの森を探検することにしよっと」
こうして、ライムは大きな森へと入って行った。
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