第46話 波動と共鳴
現在大流行してる分析予測モデルが波動である。「二度あることは三度ある」、「歴史は繰り返す」ということから、繰り返すことには周期性があり、周期性がある波形はフーリエ変換することで整数倍の正弦波の合成で描ける筈であるから、波動を掴めば未来が読めるという願望である。
確かに、景気循環の波と呼ばれる波動は経済学において昔から提唱されていた。キチン循環、ジュグラー循環、グズネック循環、コンドラチェフ循環というのを聞いたことがあるだろう。それらは観察者がその名前を付けた時期のせいぜい前後数周期分の申し訳ないがただの願望だ。なにせ何をもって好景気と呼ぶのかは明確な定義が無い。波は同時に計測しても計測した場所で位相が違うのが当たり前だ。
波そのもののモデルは一般的に、①媒体、②波長、③振幅、④位相、⑤伝達速度で語られる。伝達速度と波長から周期(周波数)が影響を受ける。伝達速度は媒体と温度に影響を受ける。しかし空間において媒体の温度が全部均質であることなどは滅多にない。いや全然ない。したがって伝達速度も共鳴が起こるべき重さも弾性も均質ではありえない。
アンプにコンデンサを挟んでフィードバッグすることで共鳴を作り出せるが、それは一本筋の電子の運動だからこそ出来ることで、社会や景気循環においては次の波動への影響は場所とマインドによって大きく変わり景気変動は静まる方向に動く。共振も共鳴もしない。
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