第45話 値札を貼らないで
増え続ける通貨の価値を担保する取引実態の成長は、新製品の開発、インフラの整備といった形で社会をどんどん変えていった。そういった社会資本への投資という形で融資してカネを作り続けた金融機関はカネ作りが癖になった。実はなんのコストも掛からずいくらでも作り出せる数字に人々は頭を下げ隷従する。頭の悪い奴に貸し付けて騙して巻き上げると命すら投げ出して借金のカタとして私有財産を巻き上げるといった使い方もある。
担当者レベルではそれ(頭の悪い奴に貸し付けて巻き上げる)を生業にしてるのが金融機関の実態である。そして騙され身ぐるみ剥がれた債務者が次に差し出すもの、本来なら値札を貼ってはならない権利と自身の未来である。
「あと何日待ってくれ」、「来月分の債権を譲渡します」 「著作隣接権を譲渡します。」
未来の債権を商品化してしまった。
「うちの娘を……」他人の権利まで商品化してしまった。
「畑の地権を……」先祖代々の農地、生産手段を商品化してしまった。
しかし、そういった頭の悪い奴らから巻き上げ尽くすと、自然選択の結果バカが死滅して、木の葉のお金に対してカスミの財をカタにする猛者が現れた。
「炭酸ガス排出権を譲渡します」
炭酸ガス排出権なるものは虚像も虚像。はじめから存在しない社会問題に対する罰金制度を前提とした非科学的な、架空のストーリーである。しかし一度その思い違いによる罰金制度を作り上げてしまえば、こわ~い取り立て役としての国の軍隊や司法がそれに従って動かされる実体を持つ妄信となる。
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