第47話 カロリー〜地母神と水神に由来する単位系〜

 今では定義が変わってしまったが一昔前は、大地と水が単位の基準だった。地球を縦に一周した長さを40000キロメートルと定義し、水の沸点を100度、一片の長さ0.01メートルの立方体を1ccとし、水の融点を0度とした摂氏温度で4度の水の1ccを1グラムとし、1ccの水を1度上げるのに必要になる熱量を1カロリーとした。


 地球が太陽のまわりを公転する時間を1年とし、太陽の方向を向いて自転する時間を1日とした。月の満ち欠けの周期を1月とした。歴史的に時間は12進法と60進法を使うが、実はそもそも1年と1月と1日では計測する自然現象が異なり、一意にきれいに割り切れるものではない。だいたい1月は30日、だいたい1年は365日であるため大の月、小の月、閏年で補正する。


 また、熱量の基準とした水は、いざ他のものと比べてみると異常な熱容量を持つ無自覚無双チート物質だった。この特性に目をつけた奴等は、温暖化による灼熱地獄を演出するために都市を改造した。まずは運河にハマって溺れ死んだ人々が不自然に増えた。大変だと運河輸送をやめて陸送とし排水機能は溝にした。今度は溝で転んで怪我をするクソガキが出た。下水管は地下に埋められた。


 エアコンの室外機は水冷クーリングタワー式が常識だったがその日まで無かった冷房病が何故か唐突に蔓延し、クリーニングタワーに関する法規制で、水冷エアコンの閾を高くして街から排除し、こうして灼熱地獄への道は善意によって(本当はゼニのために)舗装され演出された。そして最後の仕上げとして誰も熱容量について語れなくするために、カロリーの体系を廃した。代わりにジュールで語らなくては学術的な正当な文書と見做さないルールを徹底し、温暖化詐欺の準備が行われた。ジュールではどんな問題でも割り切れないので桁数を理由にどんな正答も間違いと出来るのである。そうして温暖化に疑問を持つものを学術を場から排斥した。現代の異端審問と魔女狩りである。

 なお、この話に疑問をもったなら夏場に山に登ってみると良い。涼しくて気持ちいいぞ。

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